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外傷後成長に関する研究

ストレス体験をきっかけとした青年の変容

定価: 7,700 (本体 7,000 円+税)
「外傷後成長(PTG)」を、わが国の青年を対象に、ストレス体験をきっかけとした自己成長感が生じるメカニズムを質的研究・量的研究により検討し、明らかにした画期的な書。
【2010年12月初版発行】

【著者略歴】
宅 香菜子(たく かなこ)
1991年 茗渓学園高等学校卒業
1996年 神戸大学教育学部卒業
1998年 千葉大学大学院教育学研究科(修士課程)修了
2000年 臨床心理士資格取得
2005年 名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士(心理学)学位取得
2005年 ノースカロライナ大学シャーロット校心理学部客員研究員
2008年 オークランド大学心理学部アシスタントプロフェッサー
現在に至る
目次を表示します。
序文(田畑 治)
はじめに
第1章 外傷後成長―ストレス体験をきっかけとした変容―に関する研究の背景
 第1節 危機と転機
   1.はじめに
   2.艱難辛苦,汝を玉にす
 第2節 青年の心理的成長に関する研究の動向
   1.成長と発達
   2.自我の強さ
   3.自我機能の分類
   4.原因及び結果としての自我の強さ
 第3節 青年の自我発達に関する研究の動向
   1.ブロスによる自我発達理論
   2.エリクソンによる漸成的発達理論
   3.これらの理論の意義と課題
 第4節 危機の肯定的な意義に関する研究の動向
   1.危機の二面性
   2.意味づけ
   3.知覚された恩恵
   4.ストレスに関連した成長
 第5節 外傷後成長(ポストトラウマティック・グロウス)に関する研究
   1.外傷後成長の定義及び理論モデル
   2.外傷後成長尺度
   3.パーソナリティ,精神的健康,認知プロセスとの関連
   4.思春期における外傷後成長
   5.外傷後成長に関する研究の意義と課題
第2章 本研究の目的,方法論,そして全体構成
 第1節 本研究の目的
   1.先行研究から導き出された課題
   2.成長の定義
   3.つらい体験の定義
   4.本研究の全体的な目的とその意義
 第2節 本研究で採用される方法論
   1.循環的仮説検証過程
   2.多様な研究方法の組み合わせ
 第3節 本研究の構成
   1.本論文の全体構成
   2.各章の要約
第3章 高校生における「ストレス体験と自己成長感をつなぐ循環モデル」の構築(研究1)
 第1節 主観性及び個別性を重視したモデルの構築に向けて
   1.はじめに
   2.研究1の目的:主観性と個別性
 第2節 研究1の方法
   1.面接対象
   2.面接手続き
   3.分析手法:マッピングについて
 第3節 研究1の面接結果
   1.事例A(高校2年生,男子)の概要とマッピング
   2.事例B(高校2年生,女子)の概要とマッピング
   3.事例C(高校2年生,男子)の概要とマッピング
   4.事例D(高校2年生,女子)の概要とマッピング
   5.事例E(高校2年生,男子)の概要とマッピング
 第4節 共通性の抽出
   1.ストレス体験
   2.自己成長感
   3.ストレス体験に対する意味の付与
   4.部分的な自我の強化
   5.種々の調節変数
 第5節 研究1の考察
   1.仮説構築された「ストレス体験と自己成長感をつなぐ循環モデル」
   2.モデルの意義と応用への示唆
   3.本章の要約とモデルの限界,次なる課題
第4章 ストレス体験をきっかけとした自己成長感が生じるメカニズムの検討(研究2・3)
 第1節 ストレス体験をきっかけとした自己成長感の数量的検討(研究2)   
   1.ストレス体験をきっかけとした成長を測定する既存の尺度
   2.既存の尺度が有する意義と課題
   3.研究2の目的と仮説
   4.調査対象者及び調査時期
   5.調査内容
   6.結果:ストレス体験をきっかけとした自己成長感尺度の因子分析
   7.結果:ストレス体験をきっかけとした自己成長感と解決度合いとの関連
   8.研究2の考察と次なる課題
 第2節 ストレス体験領域ごとのメカニズムの検討(研究3)
   1.ストレス体験の内容とストレス体験からの経過期間
   2.研究3の目的と仮説
   3.調査対象者及び調査時期
   4.調査内容
   5.結果:きっかけとなったストレス体験の分類
   6.結果:モデルに組み込まれる観測変数の吟味
   7.結果:ストレス体験からの経過期間と自己成長感との関連
   8.結果:ストレス体験の内容ごとにみたメカニズム
   9.研究3の考察
 第3節 本章の総合的考察と今後の課題
   1.日本人高校生に特有の自己成長感の内容
   2.量的に検証された「ストレス体験と自己成長感をつなぐ循環モデル」
   3.研究2・研究3の限界
   4.本章の要約と応用への示唆
第5章 「ストレス体験と自己成長感をつなぐ循環モデル」のバリエーションの検討(研究4)
 第1節 循環性及び個別性に着目したモデルの更なる精緻化に向けて
   1.はじめに
   2.研究4の目的:循環性と個別性
 第2節 研究4の方法
   1.面接対象
   2.面接手続き
   3.分析手法:研究4におけるマッピングの意義
 第3節 研究4の面接結果
   1.事例の分類
   2.適合・部分的適合・不適合事例選出の3つの基準
   3.適合事例の代表例(事例B)の概要とマッピング
   4.不適合事例の代表例(事例F)の概要とマッピング
   5.部分的適合事例の代表例その1(事例H)の概要とマッピング
   6.部分的適合事例の代表例その2(事例I)の概要とマッピング
 第4節 研究4の考察
   1.縦断面接によるモデルの検証
   2.モデルのバリエーションと個別性
   3.聞き手の役割とインタビューの意義
   4.本章の要約と次なる課題
第6章 「ストレス体験と自己成長感をつなぐ循環モデル」の実践場面への適用(研究5・6)
 第1節 中学生の保健体育の授業における実践例(研究5)
   1.中学生への適用可能性を検討する意義
   2.授業場面への適用可能性を検討する意義
   3.研究5の目的
   4.参加者及び実施時期
   5.授業プログラムの内容
   6.ストレス体験の「良かったところ」と「悪かったところ」に関する内容分析
   7.ストレス体験が成長に及ぼす意味についての意見の内容分析
   8.授業に対する生徒の反応,及び感想のまとめ
   9.研究5の考察と次なる課題
 第2節 スクールカウンセリング活動におけるコンサルテーションへの応用例(研究6)
   1.スクールカウンセリング活動への適用可能性を検討する意義
   2.研究6の目的
   3.コンサルテーションの概要と経過
   4.コンサルテーションにモデルを活用する意義
   5.モデルをスクールカウンセリング活動に応用する際の留意点
 第3節 本章の総合的考察と実践場面への示唆,及び今後の課題
   1.本章の要約
   2.成長促進的介入と予防的介入
   3.本章における研究の限界と次なる課題
第7章 総括的討論
 第1節 本研究の全体的意義
   1.はじめに
   2.既存のストレス研究との関連
 第2節 ストレス体験をきっかけとした自己成長感が生じるメカニズム
   1.きっかけとなりうるストレス体験の特徴
   2.ストレス体験に対する意味の付与
   3.ストレス体験をきっかけとした自己成長感
   4.部分的な自我の強化
   5.成育歴・家族背景
   6.パーソナリティ等の心理特性
   7.重要な他者との関係
   8.文化的・社会的背景
 第3節 本研究の問題点と今後の展望
   1.成長と臨床
   2.成長とアイデンティティ
   3.成長とナラティブ
 第4節 本研究フその後:近年の外傷後成長研究の動向
   1.日本語版外傷後成長尺度(PTGI-J)
   2.日本人における外傷後成長
   3.終わりに

初出一覧
文献
Abstract
資料
  付録1 中学生保健体育授業用ワークシート
  付録2 中学生保健体育授業用ワークシート2
謝辞
著者宅香菜子 著
発行年月日2014年12月25日
頁数290頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1828-1

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