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ヘルメスの変容と文学的解釈学の展開

ヘルメネイン・クリネイン・アナムネーシス

定価: 13,200 (本体 12,000 円+税)

神々のメッセージを伝えるギリシア神話のヘルメス神に由来する解釈学。その受容の軌跡をたどることは、古くて新しい真理の世界、人間の精神文化の豊かさを未来に伝えることに他ならない。そこに解釈学の現代的意義がある。

【著者略歴】
三浦國泰(みうら くにやす) 文学博士
1948年 札幌に生まれる。
1971年 北海道大学文学部独語・独文科卒業。
1971-75年 同大学大学院修士課程、博士課程に学ぶ。
1977-79年 (旧)西ドイツ政府給費生(DAAD-ドイツ学術交流会)としてボン大学哲学部留学。
1982年 ドイツ語学文学振興会奨励賞(受賞論文「解釈学の根本理念とその構造」ドイツ文学66号)。
1998-99年 ボン大学、ウィーン大学にて客員研究員。
現在 成蹊大学文学部教授
※略歴は刊行当時のものです※
目次を表示します。
プロロゴス ヘルメスとメタ・ホドス
第一部 解釈学の成立と文芸理論・批評の諸相
第一章 解釈学と文芸理論
 第一節 解釈学の基本的構造-古典文献解釈、聖書解釈より-
  一 解釈学的循環
  二 古代ギリシア時代の解釈学-ミュトスからロゴスへ
  三 後期ギリシアの解釈学から中世キリスト教神学の解釈学へ
  四 現世化としての新しい運動-ルネサンス、人文主義と宗教改革時代の解釈学
  五 近代文芸理論への展開
 第二節 近代文芸理論と方法論-その予備的考察-
  一 戦後東西分裂のドイツ文芸学
  二 実証主義と精神史的方法
  三 作品内在的研究とフォルマリズム
  四 社会主義リアリズムとマルクス主義
  五 「地平の融合」としてのH・R・ヤウスの「受容美学」
第二章 文学的解釈学と文芸批評
 第一節 規範詩学と近代文芸批評-「フランス〈新旧論争〉」と古代と近代の相克意識-
  一 アリストテレス『詩学』
  二 フランス(新旧論争〉
  三 ドイツ啓蒙主義の両義性
  四 歴史意識と文化の相対性
  五 近代文芸批評としての初期ロマン主義
 第二節 伝統の受容と文学的解釈学-受容の両義性-
  一 伝統の受容と解釈学
  二 解釈の葛藤
  三 解体構築の両義性
  四 解釈学の現代的課題
第三章 文芸批評とテクスト解釈の試み
 第一節 芸術作品の根源と初期ロマン主義文芸批評の概念
   -ベーダ・アレマンの『詩的なるものについて』より-
  一 解釈学的地平におけるベーダ・アレマンの立場
  二 『詩的なるものについて』
  三 『近代文芸学の初期ロマン主義概念』
 第二節 カフカの神話解釈、あるいは開かれたテクスト-『オデュッセイア』の冒険より-
  一 ヨーロッパ文学の 「連続性」と 「非連続性」
  二 オデュツセウス三つの冒険
  三 ウンベルト・エーコの記号論-「深読み」か「浅読み」か?-
  四 隠語と神格化
 第三節 近代と啓蒙のゆくえ、あるいは「ポストモダン」をどう読むか
  一 オデュツセウスの冒険と 『啓蒙の弁証法』
  二 「啓蒙の時代」 の二つの啓蒙概念
  三 ポストモダンの諸相と解釈学・
第二部 記憶と翻訳-解釈学の地平における-
第一章 アナムネーシスとしての文学機能
 第一節 古代の記憶術と現代文学ートーマス・マンとベンヤミンの場合ー
  一 想起とヘルメネイン
  二 想起とポイエーシス
  三 記憶術と場所、土地の名
  四 トーマス・マンの場合ー『ヨーゼフ』物語ー
  五 ベンヤミンの場合(その一)-『ドイツ哀悼劇の根源』-
  六 ベンヤミンの場合(その二)-『パサージュ』論-
  七 忘却と真理
 第二節 ベンヤミンの近代悲劇論、あるいは詩学の解体-『ドイツ哀悼劇の根源』より-
  一 新旧論争と批評概念:
  二 啓蒙的古典主義とアリストテレス『詩学』の規範化
  三 バロック演劇の復権と哀悼劇
 第三節 ミーメーシスとメタモルフォーシス一『変身物語』より一
  一 神話の伝承と物語性
  二 自立した語り手
  三 輪廻転生と作品の永遠性
  四 解釈のヴァリエーションとしての変容の姿
  五 ミーメーシスと現実描写
  六 『変身物語』の受容とその展開
  七 解釈としての「過去」との対話、あるいは永遠の現在(nuncstans)
第二章 解釈学と翻訳
 第一節 ガダマーの翻訳論
  一 『真理と方法』 (第三部)より
  二 異文化理解と翻訳
  三 コミュニケーションと翻訳.
  四 テクストと翻訳
  五 解釈学と言語性
  六 解釈学的地平における翻訳論の課題
 第二節 シュライアーマッハーの「プラトン翻訳」
  一 『ディルタイとヨルタ伯の往復書簡』、ディルタイの『シュライアーマッハーの生涯』より
  二 ディルタイの 『解釈学の成立』 の成立背景
  三 ディルタイの 『シュライアーマッハーの生涯』
  四 シュライアーマッハーの「プラトン翻訳」と 「プラトン研究」
  五 プラトン著作の 「真偽問題」と「序列問題」
  六 ディルタイの「プラトン研究」
  七 『パルメニデス』と物語の構造
 第三節 ベンヤミンの翻訳論一『翻訳者の使命』より一
  一 聖書の行間翻訳
  二 『書簡』にみる『翻訳者の使命』の位置づけ
  三 翻訳論と言語論
  四 「掟の想起」としての翻訳
  五 自国語の救済としての翻訳
  六 ボードレール『訳詩集』とその「序文」に対する反響
  七 ベンヤミンの履歴書
エピロゴス 再び「ガダマーの翻訳論」、あるいは「翻訳としての読書論」
注  解
あとがき
文献目録

著者三浦國泰 著
発行年月日2005年02月28日
頁数458頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1501-3