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ドイツ自由学校共同体の研究

オーデンヴァルト校の日常生活史

定価: 10,450 (本体 9,500 円+税)

ドイツ新教育を代表する自由学校共同体、オーデンヴァルト校。同校の生徒・教師が織りなす関係性の諸相を、未刊行一次史料の分析を通して実証的に解明した大著。

☆★☆2016年度日本WEF小原賞受賞☆★☆


【著者略歴】
渡邊隆信(わたなべ たかのぶ)
1967年 兵庫県生まれ
1996年 広島大学大学院教育学研究科博士課程後期(教育学専攻)単位取得退学
    日本学術振興会特別研究員(PD)
1997年 兵庫教育大学学校教育学部講師
2001年~2002年 文部科学省在外研究員(若手)(ドイツ・ゲッティンゲン大学)
2003年 兵庫教育大学学校教育学部助教授
2011年 兵庫教育大学大学院学校教育研究科教授
2014年 神戸大学大学院人間発達環境学研究科教授
※データは刊行当時のものです※
目次を表示します。
序章 研究の課題と方法 
 1.研究の課題と先行研究
 2.研究の視点と方法
第Ⅰ部 自由学校共同体理念の形成と特質
第1章 ゲヘープにおける自由学校共同体理念の形成 
 第1節 時代精神としての「共同体(ゲマインシャフト)」
  1.工業化の進展と共同体の危機
  2.ゲゼルシャフト批判とゲマインシャフトへの思慕
  3.ドイツ新教育における共同体のテーマ化
 第2節 オーデンヴァルト校設立にいたるゲヘープの思想形成
  1.生い立ち―ガイザ―
  2.「宗教による社会改革」から「教育による社会改革」へ
    ―ベルリン/イエナ―
  3.オーデンヴァルト校設立への助走
    ―ハウビンダ/ビィッカースドルフ―
  4.オーデンヴァルト校の設立―ヘッペンハイム―
 第3節 ゲヘープにおける自由学校共同体理念の特質
     ―ヴィネケンとの対比で―
  1.自由学校共同体の2つのメルクマール
  2.ヴィネケンの自由学校共同体理念
  3.ゲヘープの自由学校共同体理念
  小括
第2章 田園教育舎運動と自由学校共同体
 第1節 田園教育舎系自由学校の簇生
 第2節 「ドイツ自由学校連盟」の創設
     ―ネットワークの形成―
  1.ネットワーク形成の端緒
  2.オーデンヴァルト校会議の開催と連盟の創設
 第3節 ベルリン大会の開催―ネットワークの始動―
  1.中央教育研究所の組織と活動
  2.共同開催の経緯と大会名称の決定
  3.大会の内容と意義づけ
  4.大会をめぐる報道と出版
  小括
第Ⅱ部 自由学校共同体における関係性の諸相
第3章 生徒-生徒関係の位相(1)
    ―異年齢集団による共同生活―
 第1節 異年齢生徒の混在
  1.生徒の構成
  2.生徒の時間的・空間的分離とそれへの対応
 第2節 生徒-生徒間における制度上の同権
 第3節 生徒-生徒間における能力上の差異
  小括
第4章 生徒-生徒関係の位相(2)―男女共学の実験―
 第1節 男女共学の制度的背景
 第2節 ゲヘープによる男女共学の実践とその理念
  1.男女共学実践への道程
  2.男女共学の理念
  3.性をめぐる葛藤
 第3節 男女共学に関する生徒の経験・知覚・行為
  1.生徒の経験
  2.生徒の知覚
  3.生徒の行為
 第4節 男女共学に対する社会の反応
  1.肯定的評価
  2.否定的評価
  小括
第5章 生徒-教師関係の位相
    ―〈学校共同体〉と〈作業共同体〉―
 第1節 制度としての〈学校共同体〉
  1.〈学校共同体〉の起源
  2.〈学校共同体〉の実施形態
  3.〈学校共同体〉の討議内容
  4.〈学校共同体〉にみられる生徒-教師関係 
 第2節 〈作業共同体〉の設立と展開
  1.〈作業共同体〉設立の提議 
  2.〈作業共同体〉の実施形態―自由意志の原則を中心に―
  3.〈作業共同体〉の討議内容
  4.〈作業共同体〉にみられる生徒-教師関係
  小括
第6章 教師-教師関係の位相―教職員組織の多層性―
 第1節 教職員の構成
  1.教師
  2.教師以外の職員
 第2節 教師以外の職員の役割
 第3節 意志疎通の場としての〈教師会議〉
 第4節 教師間の関係
  1.教師間の連携と乖離
  2.教師間の序列性
 第5節 教師組織におけるゲヘープの位置
     ―教師からみたゲヘープ像―
  小括
第Ⅲ部 自由学校共同体を支える時間と空間
第7章 オーデンヴァルト校における時間割の創造
 第1節 19/20世紀転換期ドイツにおける時間割
  1.教育学辞典における項目「時間割」の変遷
  2.19/20世紀転換期の標準的時間割モデル
  3.時間割厳密化のパラドックス
 第2節 オーデンヴァルト校と他の田園教育舎系自由学校の日課
 第3節 オーデンヴァルト校におけるコース組織の理念と実践
  1.コース組織の導入の経緯
  2.エアドマンによるコース組織の理念
  3.コース組織の実践
  小括
第8章 オーデンヴァルト校における学校空間の創造
 第1節 20世紀初頭ドイツの学校建築をめぐる議論
 第2節 オーデンヴァルト校の学校空間の構成
  1.学校の立地とハウスの購入・増築
  2.建築家メッツェンドルフ
  3.学校空間に対する教員の認識
 第3節 学校空間と学習活動
  1.コース組織における学習
  2.コース以外の活動
  3.ハウスの使用例
 第4節 学校空間創造への生徒の関与
  1.運動場建設への協力
  2.運動場建設の新教育的意味
  小括
終章 ナチス期における自由学校共同体の変容
 第1節 ナチス体制下の田園教育舎系自由学校
 第2節 ナチス期前夜のオーデンヴァルト校
     ―ファミリーシステムから世話係システムへ―
 第3節 ナチスによるオーデンヴァルト校の干渉とゲヘープのスイス移住
  小括
付論 新教育の「大きな合流」を創る試み
   ―新教育連盟とヴェーニガー―
 第1節 ロッテンとドイツ本部
 第2節 教育アカデミー教授としてのヴェーニガー
 第3節 新教育連盟との出会い
  1.エルシノーア会議での報告
  2.ノールの消極的協力
 第4節 ドイツ支部創設と会長への就任
  1.ハンブルク地域グループの創設
  2.ドイツ支部会長への就任
 第5節 ニース会議に向けての準備
  1.マルクトブライトでの会合
  2.準備協議会の結成
 第6節 「大きな合流」形成の困難
 第7節 会長としての最後の活動
  小括

主要参考文献
初出一覧
あとがき
事項索引
人名索引
著者渡邊隆信 著
発行年月日2016年02月25日
頁数362頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-2116-8

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