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図式的表現期における子どもの画面構成プロセスの研究

―視覚的文脈と物語的文脈に着目して―

定価: 8,800 (本体 8,000 円+税)

図式的表現期の子どもは絵を描く過程で何を体験しているのか、何が要因で描き続けるのか、視覚的文脈と物語的文脈に注目して分析し、子どもにとっての面白さ(リアリティ)を考察した。

【著者略歴】
栗山 誠(くりやま まこと)
1992年 大阪市立大学文学部(社会学)卒業
1995年 大阪教育大学大学院教育学研究科(美術教育学)修士課程修了
2013年 大阪市立大学大学院生活科学研究科博士後期課程単位取得満期退学
2015年 博士(学術)(大阪市立大学)学位を取得
2015年 大阪総合保育大学教授
※データは刊行当時のものです※
目次を表示します。
序章 研究の背景
 第1節 生活・保育・教育の中の描画活動
 第2節 描画活動に消極的になる子どもの存在
 第3節 描画表現に消極的になる子どもの要因
  (1)大人の期待(リアリズムの観点による大人からの評価)
  (2)自己認識の発達
  (3)情報のインプットとアウトプットの問題
  (4)言葉の発達と形態概念(図式)獲得の問題
  (5)図面空間の認識の変化
 第4節 図式的表現期の課題整理
 引用文献
第Ⅰ部 基礎的研究
第1章 研究の目的と特徴
 第1節 研究の目的
 第2節 研究の特徴
  (1)描画過程への注目
  (2)描画における遊び活動への注目
 第3節 研究の方向と構成
 引用文献
第2章 意図と解釈~物語的な文脈へ
 第1節 本章の概要
 第2節 対象を見ることと記憶
 第3節 描くことと記憶
 第4節 描画時における記憶と「知っていること」
  (1)記憶
  (2)何を描いているのか~言語発達との関連
  (3)何を描いているのか~内的モデル
  (4)何を描いているのか~身体的感覚との関連
  (5)何を描いているのか~情動との関連
  (6)「知っていること」とは何をさすのか~まとめ
 第5節 描く行為を‘見る’
 第6節 意図と解釈
 第7節 描画における認知処理へのプロセス
 第8節 概念の連合~物語的文脈へ
 第9節 まとめと課題
 引用文献
第3章 描画の視覚的な情報~視覚的文脈へ
 第1節 本章の概要
 第2節 研究方法
 第3節 描画手順と文脈
  (1)描画手順について
  (2)描画単位の選択による文脈性
  (3)描き順と文脈との関連
  (4)大きさによる文脈性
 第4節 形態と空隙の情緒的内容
  (1)形態の情緒的内容
  (2)基礎平面と異方性
  (3)基礎平面の異方性についての検証
  (4)バランスの視覚的情報
 第5節 繰り返して描く子どもの発達的特性
 第6節 まとめ~視覚的文脈の流れを作るもの
 引用文献
第4章 描画過程における触覚性
 第1節 本章の概要
 第2節 図式的表現期における非図式的要素
  (1)描画過程に見られる非図式的要素
  (2)調査方法
  (3)結果
  (4)考察
 第3節 触覚と視覚の関連に関する先行研究
 第4節 描画過程における触覚性
 第5節 まとめ
 引用文献
第Ⅱ部 画面構成過程の臨床的研究
第5章 描画プロセス分析シートによる描画過程の分析
 第1節 はじめに~分析の手がかり
 第2節 描画過程の研究方法
  (1)「描画プロセス分析シート」の概要と特質
  (2)「描画プロセス分析シート」の作成手順
  (3)研究対象とする描画タイプと分析シート
 第3節 描画プロセス分析シートの結果
 第4節 シートから見えた描画を楽しむ子どもの特徴
第6章 画面構成過程における意味の変化
 第1節 本章の概要
 第2節 研究の実際
 第3節 描画プロセス分析シートからの考察
  (1)部分と全体の意識について
  (2)描画手順の影響
  (3)部分と部分の関連付け
 第4節 成果と課題
 引用文献
第7章 物語性と画面構成の関係
 第1節 本章の概要
 第2節 画面の捉え方について
 第3節 本来見えない部分を描いてしまう描画の先行研究
  (1)知的リアリズムに要因があるとする見方
  (2)視覚の本質的機能に由来するという見方
  (3)触覚的な認識からくる描き方
  (4)先行研究の成果と課題
 第4節 物語的文脈が画面構成過程に及ぼす影響に関する調査
  (1)調査1 描画プロセス分析シートからの考察
  (2)調査2 物語の手順の変更が画面構成に及ぼす影響についての実験的検証
 第5節 まとめ
 引用文献
第8章 描画過程にみられる「動きのイメージ」
 第1節 本章の概要
 第2節 本章の研究の実際と対象
 第3節 描画プロセス分析シートからの考察
  (1)動きのイメージと図式の変化
  (2)図式からの動きイメージの連想
  (3)身振りによる動きの表現
  (4)画面構成と動きイメージ~異なる時間を一つの画面に
  (5)画面構成と動きイメージ~異なる場面を一つの画面に
  (6)時間の経過を表す絵画について
 第4節 まとめと課題
 引用文献
第9章 身振りと描画表現の関連
 第1節 本章の概要
 第2節 研究の方向
 第3節 描画における身振り表現の選考研究
  (1)子どもの描画研究について
  (2)描画途中の劇化と身振り表現
  (3)シンボルの形成と身振り行為についての研究
  (4)癒着した表現系
 第4節 実証的研究
  (1)調査の方法
  (2)考察
 第5節 まとめ
 引用文献
終章
 第1節 描画のリアリティについて
 第2節 図式期の描画の捉え直し
 第3節 今後の課題

あとがき
著者栗山誠 著
発行年月日2017年02月15日
頁数240頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-2162-5