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現代自然体験学習の成立と発展

定価: 7,700 (本体 7,000 円+税)
自然体験学習の現状と課題の分析、ネイチャーゲームの概略と課題、日米におけるSLE研究にも言及し、環境教育学の視点から現代日本における自然体験学習を省察。

【著者略歴】
降旗信一(ふりはた しんいち)
1962(昭和37)年、東京都杉並区生まれ
東京農工大学大学院連合農学研究科博士課程修了
博士(学術・東京農工大学)
カリフォルニア州立大学ソノマ校客員研究員、鹿児島大学産学官連携機構特任准教授を経て、
現在、東京農工大学大学院農学研究院共生持続社会学部門准教授
目次を表示します。
序章
 1.本書の目的
 2.持続不可能性としての現代的諸課題
 3.環境教育実践の3つの源流
 4.環境教育実践における自然体験学習の位置と本書の構成
第1章 自然体験学習実践における青少年教育の現状と課題
    ―自然学校の成立と発展に着目して―
 はじめに
 1-1.自然学校の特徴
 1-2.自然学校を成立させた社会的背景
  1-2-1.青少年の状況の変化に対応する自然体験学習の流れ
  1-2-2.環境教育に対応する自然体験学習の流れ
  1-2-3.専門家集団としての自然学校の成立の背景
 1-3.自然学校の課題意識と活動内容
  1-3-1.基礎的課題意識と力量形成の方向
  1-3-2.自然学校の活動内容
  1-3-3.自然学校ネットワークによる協同化戦略
 1-4.自然学校の現状にみる自然体験学習の今日的課題
  1-4-1.公共性と当事者意識をめぐる課題
  1-4-2.地域教育実践における課題
  1-4-3.学習内容・方法論としての課題
第2章 市民運動としての自然体験学習の成立と発展
    ―ネイチャーゲーム事例研究―
 はじめに―ネイチャーゲームの概略と本章の課題―
  1.ネイチャーゲームの概略
  2.ネイチャーゲームに関する既往研究の整理
  3.本章の課題
 2-1.ネイチャーゲームの思想的起源
  2-1-1.ジョセフ・コーネルの思想と実践
   (1)ジョセフ・コーネルの生い立ち
   (2)シェアリングネイチャーの理念
   (3)ネイチャーゲームのアクティビティとフローラーニング
   (4)生命(自然)中心主義からみたネイチャーゲームのアクティビティ
  2-1-2.日本ナチュラリスト協会の思想と実践
   (1)日本ナチュラリスト協会の成立
   (2)日本ナチュラリスト協会の自然保護教育実践
   (3)ネイチャーゲーム導入をめぐる日本ナチュラリスト協会の会員意識の変容
  2-1-3.コーネルと日本ナチュラリスト協会の出会い
   (1)原書の翻訳と出版
   (2)ジョセフ・コーネルの初来日ワークショップ
   (3)コーネルの初来日シンポジウム
 2-2.ネイチャーゲームの歴史的展開過程
  2-2-1.第1期「導入期」
   (1)原書の翻訳と初期の実践
   (2)「ネイチャーゲーム」という名称に関する議論
   (3)コーネルの初来日に向けて
  2-2-2.第2期「模索期」
   (1)シェアリングネイチャーゲームグループとナチュラリスト環境教育センター
   (2)ネイチャーゲーム研究所の設立へ
  2-2-3.第3期「指導者養成期」
   (1)初のネイチャーゲーム指導員養成講座
   (2)指導員ハンドブックの作成と頒布
   (3)活動プログラムの絞り込みとマニュアルによる標準化
   (4)段階的指導者登録制度の採用
   (5)ネイチャーゲーム実践の場づくりの必要性
  2-2-4.第4期「普及組織養成期」
   (1)日本ネイチャーゲーム協会の設立
   (2)公益法人の設立をめざして
   (3)阪神淡路大震災と日本海重油流出事故義援活動
  2-2-5.第5期「法人活動充実期」
   (1)法人設立許可証の受け取り
   (2)「ネイチャーな生き方」の議論と次の時代への萌芽
  2-2-6.第6期「持続型地域社会創造推進期」
 2-3.ネイチャーゲーム実践の構造と変容
  2-3-1.定型教育におけるネイチャーゲーム実践
   (1)学校教育におけるネイチャーゲーム実践
   (2)成人定型教育としてのネイチャーゲーム指導員養成制度
  2-3-2.不定型教育としてのネイチャーゲーム実践
   (1)地域ネイチャーゲームの会による不定型教育実践
      ―全国一斉・自然とふれあうネイチャーゲーム大会―
   (2)都道府県ネイチャーゲーム協会による不定型教育実践
      ―ネイチャーゲーム指導員ステップアップセミナー―
   (3)日本ネイチャーゲーム協会による不定型教育実践
      ―戸隠高原自然学校―
  2-3-3.非定型教育としてのネイチャーゲーム実践
   (1)地域ネイチャーゲームの会による非定型教育実践
   (2)都道府県ネイチャーゲーム協会による非定型教育実践
  2-3-4.各教育実践間をつなぐ相互関係と実践形態の変容
 2-4.環境教育実践としてのネイチャーゲームの評価
  2-4-1.ネイチャーゲームがもとづくべき自然観
   (1)ネイチャーゲームにおける「自然」の認識
   (2)「山の自然保護」と「海の自然保護」をめぐって
   (3)マイナーサブシステンスとしてのネイチャーゲーム
   (4)環境倫理思想関係性におけるネイチャーゲームの役割
  2-4-2.ネイチャーゲームの運動と事業
   (1)環境保護運動とネイチャーゲーム
   (2)自己決定とマニュアル化の問題点
  2-4-3.地域づくり教育としてのネイチャーゲーム実践の可能性と課題
   (1)意識化の学習としてのネイチャーゲーム実践
   (2)自己意識化の学習としてのネイチャーゲーム実践
   (3)『現代の理性』形成の学習としてのネイチャーゲーム実践
   (4)『自己教育主体の形成』の学習としてのネイチャーゲーム
第3章 補論:自然体験学習過程論の研究
    ―SLE(Significant Life Experiences)研究に着目して―
 はじめに
 3-1.SLEの底流としての米国の環境教育研究史
  3-1-1.米国における環境教育研究の成立
  3-1-2.「環境教育カリキュラムの開発目標」の構築
  3-1-3.「環境に責任ある態度」の要因を探る研究
  3-1-4.「環境に責任ある市民の態度モデル」の提示
 3-2.SLE研究の歴史的展開過程
  3-2-1.SLE研究初期―ターナーとピーターソンのSLE研究―
   (1)ターナーによる初のSLE研究
   (2)環境への感性を探ったピーターソンの研究
  3-2-2.SLE研究第二期―パルマ―とチャウラのSLE研究―
   (1)英国の環境教育学会会員を対象に行なわれたパルマ―の調査
   (2)様々な環境分野での活動家を対象にしたチャウラのSLE調査
  3-2-3.SLE研究第三期―ゴウらによるSLEへの疑問とチャウラからの回答―
  3-2-4.SLEをめぐる既往研究の成果と課題
   (1)「環境に責任ある態度」が生み出す「行動」について
   (2)「環境への感性」について
   (3)調査方法をめぐる議論
   (4)記憶の信頼性について
 3-3.日本におけるSLE調査の課題と可能性
  3-3-1.調査・分析の対象者と方法
   (1)調査の枠組み
   (2)調査の対象
   (3)調査の方法
  3-3-2.「環境的行動」と「重要な体験」の検討過程
   (1)ワークショップ調査結果による検討
   (2)インタビュー調査による検討
  3-3-3.調査結果の総括
総括
初出一覧
謝辞
著者降旗信一 著
発行年月日2012年02月29日
頁数264頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1892-2

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