高橋五山の総合的研究のイメージ

著者
髙橋洋子 著
発行年月日
2024/02/20
頁数
340頁
判型
A5
ISBNコード
978-4-7599-2501-2

高橋五山の総合的研究

デザイン・絵雑誌・紙芝居

定価8,250(本体 7,500円+税)

紙芝居創始者のひとりである高橋五山に焦点を当て、五山が出版した多様な紙芝居の検証と、そこに至る背景を同時代の文化や社会状況を参照しながら重層的に考察。五山の紙芝居が持つ本質的な特徴と芸術性を浮き彫りにする。

【著者略歴】

髙橋洋子(たかはし ようこ)

1961年 群馬県生まれ

2022年 法政大学大学院人文科学研究科日本文学専攻国際日本学インスティテュート博士後期課程修了 博士(学術)

現在、法政大学国際日本学研究所研究員

主な著書

『図説翻訳文学総合事典 第5巻(研究編)』分担執筆・大空社、2009年

『教育紙芝居集成―高橋五山と「幼稚園紙芝居」』編著・国書刊行会、2016年

『メディアのなかの仏教―近現代の仏教的人間像』分担執筆・勉誠出版、2020年

目次を表示

序章

一 研究背景と意義

二 視覚メディアと紙芝居

三 研究目的と方法

四 先行研究

五 高橋五山の略歴

六 論文の構成

第一部 紙芝居出版までの前史

第一章 高橋五山のデザインの多様性とその時代背景

はじめに

一 東京勧業博覧会出品「暖炉隠図案」(明治40年:1907)

二 東京瓦斯意匠懸賞当選「菖蒲式瓦斯燈釣金具図案」(明治41年:1908)

三 日英博覧会出品「綴織春秋模様図案」(明治43年:1910)

四 大礼献納品として東京府採用「書棚図案」(明治44年:1911)

おわりに

第二章 大正期から昭和初期における児童雑誌や絵本などの出版活動

はじめに

一 大正期の高橋五山の美術活動

二 文武堂創刊の絵雑誌『幼女絵噺』(1917)の主幹として

三 高橋五山の編集プロダクションと関係者

四 大正末の学年別雑誌の創刊

五 大正末の出版界の様相と全甲社設立へ

六 東京市立日比谷図書館編『子供雑誌に関する調査』(1930)に関して

七 全甲社と共同書籍との連携

八 出版統制と児童図書推薦

おわりに

第二部 幼稚園紙芝居の考察

第一章 城戸幡太郎の保育問題研究会における高橋五山の紙芝居の役割

はじめに

一 保育問題研究会の発足と紙芝居

二 保育問題研究会での五山の幼稚園紙芝居の活用

三 高橋五山の紙芝居とその評価

おわりに

第二章 高橋五山による「ピーターラビット」の紙芝居化から劇遊びへの展開

はじめに

一 幼稚園紙芝居『ピーター兎』の出版背景

二 幼稚園紙芝居『ピーター兎』(1938)の作品分析

三 番町幼稚園での『ピーター兎』の劇化

四 三作品の構成分析

五 戦前戦後をつなぐ「ピーターラビット」の受容

六 文部省の保育要領と東京都保育会文化部編『劇遊び脚本』

おわりに

第三章 紙芝居の保育への導入過程と倉橋惣三の紙芝居関与の再検討

はじめに

一 幼稚園令の保育項目「談話」について

二 内山憲尚の保育項目の「談話」観

三 内山憲尚による高橋五山の紙芝居の推奨

四 保育現場への紙芝居の普及

五 保育問題研究会での高橋五山の紙芝居活用

六 倉橋惣三の保育案と「談話」観および紙芝居観

七 「保育要領」における紙芝居の位置づけ

八 「幼稚園要領」における紙芝居の位置づけ

おわりに

第三部 仏教紙芝居の考察

第一章 『花まつり』の命名とその発展―高橋五山の紙芝居の寄与―

はじめに

一 花まつりの命名

二 花まつりの発展

三 高橋五山の『花まつり』と「花まつり」行事との関わり

おわりに

第二章 『花まつり』(1936)の演出上の工夫と仏教美術受容

はじめに

一 仏教紙芝居『花まつり』の構成と演出に関する分析

二 図像の源泉と仏教美術との関わり

おわりに

第三章 高橋五山と仏教紙芝居『勢至丸様』について

はじめに

一 高橋五山と仏教紙芝居

二 鈴木積善と浄土宗児童教化

三 『勢至丸様』の紙芝居について

四 『法然上人行状絵図』との比較分析

五 『勢至丸様』の対象者と紙芝居の特徴

六 浄土宗児童協会と勢至丸の銅像について

おわりに

第四部 戦時下から1950年代前後の紙芝居の様相

第一章 オリジナル紙芝居の考案

はじめに

一 戦時下における手作り紙芝居の推奨

二 戦後の貼り絵紙芝居

三 第一回芸術選奨文部大臣賞『こねこのちろちゃん』(1949)

四 保育界への貢献

五 貼り絵紙芝居のデザイン性と評価

おわりに

第二章 戦後の紙芝居活動と日本紙芝居幻灯株式会社をめぐって

はじめに

一 1946年から1950年の全甲社と紙芝居界の動向

二 日本紙芝居幻灯株式会社とその経営実態

三 日本紙芝居幻灯株式会社の活動

四 日本紙芝居幻灯株式会社の倒産から童心社の設立へ

五 高橋五山の苦心と倒産に関する考察

六 その後の展開

おわりに

終章

一 要約と結論

二 本研究のまとめ

謝辞

参考文献

高橋五山(1888-1965)の略年譜

初出一覧

公表論文等