市民運動としてのNPO
1990年代のNPO法成立に向けた市民の動き
定価2,530円(本体 2,300円+税)
NPO法施行から20年、今改めて1990年代の「市民活動」を問い直し、日本へのNPOの導入過程とその後の展開について詳述。「市民社会」の実現に向けた足がかりを得る。
【著者略歴】
高田昭彦(たかた あきひこ)
1947年生。成蹊大学名誉教授。専門はNPO・市民活動論,環境社会学。主要業績に論文「環境問題への諸アプローチと社会運動論」(『社会学評論』1995.3),「市民運動の新しい展開」(『都市問題』2003.8),「市民・NPOによる公的空間の創造」(『都市問題』2004.8),単著『政策としてのコミュニティ』(風間書房 2016),共著に『環境と生態学の社会学』(岩波書店 1996),『環境運動と政策のダイナミズム』(新曜社 2001),『社会運動研究入門』(文化書房博文社 2004),『公助・共助・自助のちから』(風間書房 2006)など。
※データは刊行当時のものです※
目次を表示
序
1.本書執筆のきっかけ
2.社会運動研究におけるNPO の位置づけ
3.本書の目的
4.「社会運動」,「市民運動」,「市民活動」という言葉の使い方について
5.各章の構成と内容
第Ⅰ部 NPO が登場した1990 年代
第1章 1990 年代の日本における市民運動―ネットワーキングの導入,NPOの発見,NPO法の制定をめぐって
第1節 復興期・高度経済成長期からネットワーキング導入まで(1945年~1985年前後)
1.現在の市民運動と行政・企業との関係
2.戦後復興期から高度経済成長期にかかる時期の市民運動(1945年~1965年前後)
①大組織による大衆運動と自主的な個人の「草の根」運動
②市民運動の4つの型
3.高度経済成長期から低成長期にかかる時期の市民運動(1965年前後~1985年前後)
①1960年代の運動の反組織的傾向
②1970年代の「新しい社会運動」の登場
③1980 年代前半の閉塞的な社会をもたらした諸要因
4.「ネットワーキング」の登場(1985年前後)
①『ネットワーキング』の翻訳と紹介
②「ネットワーキング」は「ネットワーク」組織とは別物
5.「ネットワーキング」が日本の市民運動にもたらしたもの
①日本の市民運動のミッションは「もう一つの日本」の形成
②「市民活動」とは「ネットワーキング」を経験した「市民運動」
第2節 市民運動としての「ネットワーキング」の展開(1985年前後~1990年前後)
1.「オルタナティブな日本」をめざす草の根市民運動
①『ネットワーキング』の翻訳(1984 年)
②「ばななぼうと」の企画
③「生活提案型市民運動」の登場
2.「ネットワーキング」への批判
3.「ネットワーキング」を通して現れてくるもの
①「ネットワーキング」に対する3つの展望とそれへの対応
②「ネットワーキング」の導入の際に欠けていたもの
第3節 NPOの発見とその後の市民運動(1990年前後~1995年)
1.NPOの発見
①「ネットワーキング」を支えていたNPO
②企業の社会貢献活動と「第3 セクター」論
2.市民活動の制度的基盤づくり
①市民側からの取り組み
「日本ネットワーカーズ会議」
「地域調査計画研究所」
「奈良まちづくりセンター」
「大阪ボランティア協会」
②行政と企業からの取り組み
「世田谷まちづくりセンター」による取り組み
個別の企業による取り組み
3.「市民活動」の社会的認知―NIRA報告書『市民公益活動基盤整備に関する調査研究』を通じて
①NIRA報告書作成による「ネットワーキング」の形成
NIRA報告書の作成メンバー
NIRA報告書の構成
②「市民公益活動」の規定
4.市民活動の基盤整備―NPOの制度化
①NIRA報告書における基盤整備の提案
②C’s(シーズ)の登場
③「NPO 研究フォーラム」の活動
④「市民公益活動基盤整備を考える会」の結成
第4節 NPO法の提案から成立まで(1995年~1998年)
1.阪神・淡路大震災が市民活動にもたらしたもの
①行政への信頼の崩壊と公益領域の出現
②「被災地の人々を応援する市民の会」の結成
2.NPO法案提出の動き
①「市民活動の制度に関する連絡会」の結成
②NPO法案が成立するまでの経緯
衆議院での審議
与党3 党と民主党との協議
参議院での審議
付帯決議
③NPO法成立後を見通した市民側の動き
第5節 NPO法成立後の市民運動の動向(1998年~2000年前後)
1.「特定非営利活動促進法」(NPO法)に対する市民団体の不満と評価
2.「特定非営利活動促進法」(NPO法)成立後の税制優遇の動き
3.NPO法が社会にもたらしたもの
4.市民活動団体(NPO法人を含む)と行政・企業との関係
①行政のNPOへの無理解と過剰期待
市民活動・NPOへの行政の過剰期待
市民活動・NPOに対する行政の無理解
②事業型NPO―コミュニティ・ビジネスと社会資本マネジメント
事業型NPOへの道
コミュニティ・ビジネス
社会資本マネジメント
5.NPOサポートセンターによるNPO支援―インターミディアリー(中間支援組織)の重要性
①「NPO サポートセンター」の登場
②サポートセンターは「公設公営」から「民設民営」ヘ
③インターミディアリーの場としてのプラットフォーム
第2章 1990 年代の市民運動がもたらしたもの―「市民」による「公的空間」拡大のメカニズム
1.「市民活動」における「公益」
①NPO法における「公益」
②「市民活動」側の主張する「公益」すなわち「市民公益」
2.「市民活動」における「市民」の捉え方
3.「市民活動」を行う「市民」の社会の中での位置づけ
①「私的空間」と「公的空間」
②「市民」の4 類型
〈公的市民〉
〈私的市民〉
権力機構
〈ブルジョア的市民〉
〈行政的市民〉
③4種の「市民」間の比較
4.「市民」による「公的空間」の実現(1990年代に起きたこと)
①「市民活動」の基盤整備
②NPOのための法制度の確立
③NPOサポートセンターの役割とその活動実態
NPOサポートセンターの役割
NPOサポートセンターの実際の活動
④「市民社会」の実現に向けて
第Ⅱ部 1990 年代の理解のために
第3章 1980 年代のアメリカの草の根市民運動―「ネットワーキング」の源流
はじめに 「ネットワーキング」の源流を辿る
1.1980 年代の市民運動の「新しい動き」
2.オルタナティブとしての草の根運動
①草の根運動の「新しい動き」の起源
②80年代社会の中での草の根運動の位置
3.80年代の草の根運動がもたらした価値観と特質
①80年代草の根運動の4 つの価値観
②80年代草の根運動の4 つの特質
4.草の根運動の組織特性
①草の根組織の5つの特質
②草の根運動の組織形態としての「コレクティブ」
③コレクティブと類似の組織形態
④コレクティブ組織の限界から「アメーバ的組織」による〈うねり〉へ
第4章 1990年代の市民運動の「原型」―「反原発運動ニューウェーブ」の登場
はじめに 「ニューウェーブ」の衝撃
1.「反原発運動ニューウェーブ」の登場
2.「ニューウェーブ」の活動
①小原良子氏
②「ヒロセタカシ現象」
3.「反原発運動ニューウェーブ」の特性
①高松行動3原則
②「ニューウェーブ」の行動4原則
③「ニューウェーブ」の行動現場での4特質
4.「ニューウェーブ」をどのように捉えればいいのか
①〈うねり〉としての「ニューウェーブ」運動
②「ニューウェーブ」とオールドウェーブとの断絶?
5.反原発オールドウェーブの意識と構造
6.「反原発運動ニューウェーブ」登場の意義
①「ニューウェーブ」のアメーバ的なゆるい結合組織
②小さな〈うねり〉と大きな〈うねり〉
第5章 パートナーシップによるまちづくり―川越・蔵造りの町並み保全運動
はじめに NPOと「パートナーシップ」
1.川越の蔵造りによるまちづくり
①川越の蔵造りの町並みへの注目
②川越市と一番街
2.蔵造りへの注目から「川越蔵の会」の誕生まで
①町並み保全運動の始まり
②建築系の視点と都市計画系の視点
③「蔵造り」のビデオ制作と「川越蔵の会」の誕生
3.「川越蔵の会」誕生から「町づくり規範」の成立まで
①「蔵の会」から「一番街商店街」へ
②『川越一番街商店街活性化モデル事業報告書』(「コミュニティ・マート調査」報告書)
③「町づくり規範」と「町並み委員会」
4.「町づくり規範」の限界から重要伝統的建造物群保存地区の指定まで
①新たなマンション問題の勃発
②伝統的建造物群保存地区指定への障害
③伝統的建造物群保存地区選定の実現に向けて
5.一番街のまちづくりにおける地元住民と専門家と行政とのパートナーシップ
①「川越蔵の会」を中心に
地元住民と行政とのパートナーシップ
パートナーシップの構造と「川越蔵の会」
②「町づくり規範」と「町並み委員会」
「町づくり規範」作成におけるパートナーシップ
「町並み委員会」と行政との「上手なパートナーシップ」
「川越式ネットワーク」
住民・行政・専門家のパートナーシップによる「川越式」まちづくり
③「伝統的建造物群保存地区」の選定
「町並み委員会」での伝建地区指定への検討
「川越式パートナーシップ」
6.伝建地区選定後に残された2つの大きな課題
①「町づくり会社」設置の検討
町並み保全のための財団形成と「町づくり会社」
「株式会社まちづくり川越」の設立
②「保全」と「観光」のせめぎあい
「町づくり規範」の限界
川越の「商人魂」と「生きてる蔵」
川越 蔵造りのまちづくり 年表
終 章 本書によって明らかになったこと―「公益」「オルタナティブ」「エコロジー」「パートナーシップ」
おわりに
引用文献
1.本書執筆のきっかけ
2.社会運動研究におけるNPO の位置づけ
3.本書の目的
4.「社会運動」,「市民運動」,「市民活動」という言葉の使い方について
5.各章の構成と内容
第Ⅰ部 NPO が登場した1990 年代
第1章 1990 年代の日本における市民運動―ネットワーキングの導入,NPOの発見,NPO法の制定をめぐって
第1節 復興期・高度経済成長期からネットワーキング導入まで(1945年~1985年前後)
1.現在の市民運動と行政・企業との関係
2.戦後復興期から高度経済成長期にかかる時期の市民運動(1945年~1965年前後)
①大組織による大衆運動と自主的な個人の「草の根」運動
②市民運動の4つの型
3.高度経済成長期から低成長期にかかる時期の市民運動(1965年前後~1985年前後)
①1960年代の運動の反組織的傾向
②1970年代の「新しい社会運動」の登場
③1980 年代前半の閉塞的な社会をもたらした諸要因
4.「ネットワーキング」の登場(1985年前後)
①『ネットワーキング』の翻訳と紹介
②「ネットワーキング」は「ネットワーク」組織とは別物
5.「ネットワーキング」が日本の市民運動にもたらしたもの
①日本の市民運動のミッションは「もう一つの日本」の形成
②「市民活動」とは「ネットワーキング」を経験した「市民運動」
第2節 市民運動としての「ネットワーキング」の展開(1985年前後~1990年前後)
1.「オルタナティブな日本」をめざす草の根市民運動
①『ネットワーキング』の翻訳(1984 年)
②「ばななぼうと」の企画
③「生活提案型市民運動」の登場
2.「ネットワーキング」への批判
3.「ネットワーキング」を通して現れてくるもの
①「ネットワーキング」に対する3つの展望とそれへの対応
②「ネットワーキング」の導入の際に欠けていたもの
第3節 NPOの発見とその後の市民運動(1990年前後~1995年)
1.NPOの発見
①「ネットワーキング」を支えていたNPO
②企業の社会貢献活動と「第3 セクター」論
2.市民活動の制度的基盤づくり
①市民側からの取り組み
「日本ネットワーカーズ会議」
「地域調査計画研究所」
「奈良まちづくりセンター」
「大阪ボランティア協会」
②行政と企業からの取り組み
「世田谷まちづくりセンター」による取り組み
個別の企業による取り組み
3.「市民活動」の社会的認知―NIRA報告書『市民公益活動基盤整備に関する調査研究』を通じて
①NIRA報告書作成による「ネットワーキング」の形成
NIRA報告書の作成メンバー
NIRA報告書の構成
②「市民公益活動」の規定
4.市民活動の基盤整備―NPOの制度化
①NIRA報告書における基盤整備の提案
②C’s(シーズ)の登場
③「NPO 研究フォーラム」の活動
④「市民公益活動基盤整備を考える会」の結成
第4節 NPO法の提案から成立まで(1995年~1998年)
1.阪神・淡路大震災が市民活動にもたらしたもの
①行政への信頼の崩壊と公益領域の出現
②「被災地の人々を応援する市民の会」の結成
2.NPO法案提出の動き
①「市民活動の制度に関する連絡会」の結成
②NPO法案が成立するまでの経緯
衆議院での審議
与党3 党と民主党との協議
参議院での審議
付帯決議
③NPO法成立後を見通した市民側の動き
第5節 NPO法成立後の市民運動の動向(1998年~2000年前後)
1.「特定非営利活動促進法」(NPO法)に対する市民団体の不満と評価
2.「特定非営利活動促進法」(NPO法)成立後の税制優遇の動き
3.NPO法が社会にもたらしたもの
4.市民活動団体(NPO法人を含む)と行政・企業との関係
①行政のNPOへの無理解と過剰期待
市民活動・NPOへの行政の過剰期待
市民活動・NPOに対する行政の無理解
②事業型NPO―コミュニティ・ビジネスと社会資本マネジメント
事業型NPOへの道
コミュニティ・ビジネス
社会資本マネジメント
5.NPOサポートセンターによるNPO支援―インターミディアリー(中間支援組織)の重要性
①「NPO サポートセンター」の登場
②サポートセンターは「公設公営」から「民設民営」ヘ
③インターミディアリーの場としてのプラットフォーム
第2章 1990 年代の市民運動がもたらしたもの―「市民」による「公的空間」拡大のメカニズム
1.「市民活動」における「公益」
①NPO法における「公益」
②「市民活動」側の主張する「公益」すなわち「市民公益」
2.「市民活動」における「市民」の捉え方
3.「市民活動」を行う「市民」の社会の中での位置づけ
①「私的空間」と「公的空間」
②「市民」の4 類型
〈公的市民〉
〈私的市民〉
権力機構
〈ブルジョア的市民〉
〈行政的市民〉
③4種の「市民」間の比較
4.「市民」による「公的空間」の実現(1990年代に起きたこと)
①「市民活動」の基盤整備
②NPOのための法制度の確立
③NPOサポートセンターの役割とその活動実態
NPOサポートセンターの役割
NPOサポートセンターの実際の活動
④「市民社会」の実現に向けて
第Ⅱ部 1990 年代の理解のために
第3章 1980 年代のアメリカの草の根市民運動―「ネットワーキング」の源流
はじめに 「ネットワーキング」の源流を辿る
1.1980 年代の市民運動の「新しい動き」
2.オルタナティブとしての草の根運動
①草の根運動の「新しい動き」の起源
②80年代社会の中での草の根運動の位置
3.80年代の草の根運動がもたらした価値観と特質
①80年代草の根運動の4 つの価値観
②80年代草の根運動の4 つの特質
4.草の根運動の組織特性
①草の根組織の5つの特質
②草の根運動の組織形態としての「コレクティブ」
③コレクティブと類似の組織形態
④コレクティブ組織の限界から「アメーバ的組織」による〈うねり〉へ
第4章 1990年代の市民運動の「原型」―「反原発運動ニューウェーブ」の登場
はじめに 「ニューウェーブ」の衝撃
1.「反原発運動ニューウェーブ」の登場
2.「ニューウェーブ」の活動
①小原良子氏
②「ヒロセタカシ現象」
3.「反原発運動ニューウェーブ」の特性
①高松行動3原則
②「ニューウェーブ」の行動4原則
③「ニューウェーブ」の行動現場での4特質
4.「ニューウェーブ」をどのように捉えればいいのか
①〈うねり〉としての「ニューウェーブ」運動
②「ニューウェーブ」とオールドウェーブとの断絶?
5.反原発オールドウェーブの意識と構造
6.「反原発運動ニューウェーブ」登場の意義
①「ニューウェーブ」のアメーバ的なゆるい結合組織
②小さな〈うねり〉と大きな〈うねり〉
第5章 パートナーシップによるまちづくり―川越・蔵造りの町並み保全運動
はじめに NPOと「パートナーシップ」
1.川越の蔵造りによるまちづくり
①川越の蔵造りの町並みへの注目
②川越市と一番街
2.蔵造りへの注目から「川越蔵の会」の誕生まで
①町並み保全運動の始まり
②建築系の視点と都市計画系の視点
③「蔵造り」のビデオ制作と「川越蔵の会」の誕生
3.「川越蔵の会」誕生から「町づくり規範」の成立まで
①「蔵の会」から「一番街商店街」へ
②『川越一番街商店街活性化モデル事業報告書』(「コミュニティ・マート調査」報告書)
③「町づくり規範」と「町並み委員会」
4.「町づくり規範」の限界から重要伝統的建造物群保存地区の指定まで
①新たなマンション問題の勃発
②伝統的建造物群保存地区指定への障害
③伝統的建造物群保存地区選定の実現に向けて
5.一番街のまちづくりにおける地元住民と専門家と行政とのパートナーシップ
①「川越蔵の会」を中心に
地元住民と行政とのパートナーシップ
パートナーシップの構造と「川越蔵の会」
②「町づくり規範」と「町並み委員会」
「町づくり規範」作成におけるパートナーシップ
「町並み委員会」と行政との「上手なパートナーシップ」
「川越式ネットワーク」
住民・行政・専門家のパートナーシップによる「川越式」まちづくり
③「伝統的建造物群保存地区」の選定
「町並み委員会」での伝建地区指定への検討
「川越式パートナーシップ」
6.伝建地区選定後に残された2つの大きな課題
①「町づくり会社」設置の検討
町並み保全のための財団形成と「町づくり会社」
「株式会社まちづくり川越」の設立
②「保全」と「観光」のせめぎあい
「町づくり規範」の限界
川越の「商人魂」と「生きてる蔵」
川越 蔵造りのまちづくり 年表
終 章 本書によって明らかになったこと―「公益」「オルタナティブ」「エコロジー」「パートナーシップ」
おわりに
引用文献