言葉から迫る平安文学 1のイメージ

著者
山口仲美 著
発行年月日
2018/10/31
頁数
614頁
判型
A5
ISBNコード
978-4-7599-2237-0
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山口仲美著作集 1

言葉から迫る平安文学 1

源氏物語

定価6,380(本体 5,800円+税)

 第一巻は、言葉や文体、そしてコミュニケーションといった言語学的な

立場から、『源氏物語』のさまざまな問題を追究。三部から成る。

 Ⅰ部は、「『源氏物語』男と女のコミュニケーション」。源氏物語に登場

する男と女は、どんなコミュニケーションをとっていたのか? その様相

を具体的に解明している。

 Ⅱ部は、「『源氏物語』の言葉と文体」。比喩や象徴詞(=オノマトペ)や形容語などに注目して、『源氏物語』独自の問題を解明する。

 Ⅲ部は、「文章・文体研究の軌跡と展望」。『言葉から迫る平安文学』1巻・2巻・3巻に共通する著者の立場を明確にしている。文章・文体研究の草創期の状態も明らかになる。

【著者略歴】

山口仲美(やまぐち なかみ)

1943年静岡県生まれ。お茶の水女子大学卒業。

東京大学大学院修士課程修了。文学博士。

現在―埼玉大学名誉教授。

専門―日本語学( 日本語史・古典の文体・オノマトペの歴史)

著書―『平安文学の文体の研究』( 明治書院、第12回金田一京助博士記念賞)、『平安朝の言葉と文体』(風間書房)、『日本語の歴史』(岩波書店、第55回日本エッセイスト・クラブ賞)、『犬は「びよ」と鳴いていた』(光文社)、『日本語の古典』(岩波書店)など多数。

2008年紫綬褒章、2016年瑞宝中綬章受章。

専門分野関係のテレビ・ラジオ番組にも多数出演。

☆☆☆メディアで紹介されました☆☆☆

2018年11月5日 秋田魁新報に紹介されました。「日本語論、硬軟織り交ぜ 山口仲美著作集発刊」

2018年11月11日 東京新聞に紹介されました。「出版情報」

2018年11月16日 週刊読書人(特集 全集・講座・シリーズ)に先生が執筆されたエッセイが掲載されました。「全集・著作集が役に立つ時 筆者が考える3つのメリット」

2018年12月26日 日本経済新聞(夕刊)にインタビュー記事が掲載されました。「日本語学者・山口仲美の著作集刊行」

2019年1月18日 週刊読書人に『言葉から迫る平安文学3 説話・今昔物語集』が紹介されました。

2019年3月9日 図書新聞(3390号) に『言葉から迫る平安文学1 源氏物語』の書評が掲載されました。

「言語学的な方法に拠る分析の数々 山口仲美の長く充実した研究人生の、豊饒なその成果」評者は浅川哲也先生(首都大学東京教授)です。 

目次を表示

著作集の刊行にあたって 

まえがき 

I 『源氏物語』男と女のコミュニケーション 

 男の表現・女の表現 

  1 はじめに  

  2 男と女の会話場面  

  3 会話のイニシアチブをとるのは、誰か  

  4 男と女の発言内容  

  5 女は態度でもコミュニケーションをとる  

  6 愛の告白―男性多用表現(1)―  

  7 質問―男性多用表現(2)―  

  8 弁解・事情説明―男性多用表現(3)―  

  9 教え・言い聞かせ―男性多用表現(4)―  

  10 批評・見解―男性多用表現(5)―  

  11 要求―男性多用表現(6)―  

  12 その他の男性多用表現  

  13 拒否―女性多用表現(1)―  

  14 反論・異論―女性多用表現(2)―  

  15 同意・同調―女性多用表現(3)―  

  16 その他の女性多用表現  

  17 感情表出―男女共用表現―  

  18 おわりに  

 男と女の会話のダイナミクス 

  1 はじめに  

  2 光源氏と空蝉―理詰めの会話―  

  3 光源氏と夕顔―余韻のある会話―  

  4 光源氏と藤壺―究極の愛の会話―  

  5 光源氏と源典侍―露骨な会話―

  6 光源氏と葵の上・六条御息所―傷つけ合う会話―  

  7 光源氏と紫の上(1)―無垢な会話―  

  8 光源氏と玉鬘―「下燃え」の愛の会話―

  9 光源氏と紫の上(2)―諦観の会話―

  10 光源氏と女三の宮―苦悩の会話―

  11 夕霧と雲居雁―夫婦暄嘩の会話―  

  12 夕霧と落葉の宮―不器用な会話―  

  13 薫と大君―すれ違う会話― 

  14 薫・匂宮と浮舟―理性の会話と感性の会話―  

  15 おわりに

Ⅱ 『源氏物語』の言葉と文体

 文体論の新しい課題

  1 はじめに

  2 直喩と隠喩

  3 つくられた直喩

  4 新鮮な印象

  5 源氏物語以前

  6 おわりに

 比喩の表現論的性格と「文体論」への応用

  1 はじめに

  2 比喩の成立契機

  3 比喩の効果

  4 比喩と個性

  5 分析の方法

  6 古典を例にとって

  7 源氏物語と宇津保物語の比喩の素材

  8 源氏物語と宇津保物語の個的特性

  9 おわりに

 『源氏物語』の比喩表現と作者

  1 はじめに

  2 対象とする比喩

  3 比喩の用例数

  4 比喩のあらわれ方―差異点(1)―

  5 技巧的な比喩―差異点(2)―

  6 観念的な比喩―差異点(3)―

  7 複雑な文構造―差異点(4)―

  8 「花」のイメージ―差異点(5)―

  9 差異点(1)の意味

  10 差異点(2)(3)(4)の意味

  11 差異点(5)の意味

  12 同一の作者の影

  13 共通性をさぐる

  14 一致する比喩―共通点(1)―

  15 「死」に関する比喩―共通点(2)―

  16 「光」に関する比喩―共通点(3)―

  17 比喩の種類と用法―共通点(4)―

  18 体言性の比喩―共通点(5)―

  19 個性をえがく比喩―共通点(6)―

  20 鮮明なイメージ―共通点(7)―

  21 適切な関係―共通点(8)―

  22 共通点と作者同一人説

 『源氏物語』の擬人法

  1 「藤」が「なよぶ」

  2 「白き花」は「笑みの眉ひらけたる」

  3 「空」は「見知り顔」

  4 「鹿」は「たたずみ」「愁へ顔」

  5 「真木の戸口」は「月入れたる」

  6 説話文学の動物たち

  7 和歌の擬人法

  8 新しい言葉で積極的に

  9 おわりに

 『源氏物語』のテクニック―破局への布石―

  1 発端

  2 偶然の契り

  3 日撃される

  4 当てこすられる

  5 雷鳴とともに露見

 『源氏物語』の歌語と文体

  1 はじめに

  2 「呉竹」の用法

  3 「泡」の用法

  4 「玉水」の用法

  5 「きりぎりす」の用法

  6 おわりに

 『源氏物語』の象徴詞の独自用法

  1 はじめに

  2 人物造型のために

  3 人柄の描写

  4 前期物語では

  5 後期物語では

  6 黒髪の描写

  7 物語文学では

  8 泣哭・落涙の描写

  9 全体のなかで位置づけられる語

 『源氏物語』の並列形容語

  1 はじめに

  2 並列形容語の概念

  3 並列形容語の用例

  4 異質な語の並列(1)

  5 異質な語の並列(2)

  6 同質な語の並列

  7 源氏物語の並列形容語の特色

  8 異質な語の並列にみる特色

  9 情意語の並列にみる特色

  10 相反する情意語の並列

  11 異なる立場からする情意語の並列

  12 宇津保物語の情意語の並列

  13 状態語の並列にみる特色

  14 おわりに

 『源氏物語』の女性語

  1 はじめに

  2 女性語はどこに

  3 平安時代では

  4 「ここ」と「まろ」

  5 「まろ」は光源氏、「ここ」は薫

  6 女性特有語を求めて

  7 男性特有語

  8 「まま」は、女性語

  9 おわりに

 『源氏物語』の雅語・卑俗語

  1 はじめに

  2 典型的な雅語

  3 散文部分に出現する歌語

  4 高く張った和歌の調子を

  5 美的な情景を演出

  6 人物造型に

  7 重層効果を狙って

  8 他作品では

  9 卑俗語とは

  10 大夫の監の言葉

  11 近江の君と常陸の介の言葉

  12 洗練されていない人物の造型

  13 おわりに

 『源氏物語』の漢語  

  1 はじめに

  2 漢語の割合

  3 地の文で活躍する漢語

  4 男性だけが用いる漢語

  5 僧侶だけが用いる漢語

  6 女性が用いる漢語

  7 特殊な女性が使う漢語

  8 おわりに

 「『つぶつぶと』肥えたまへる人」考

  1 肉体のふくよかさを表す「つぶつぶと」

  2 紫式部の造語か

  3 その根拠(1)

  4 その根拠(2)

 「『つと』抱く」考

  1 意味不明

  2 辞書の説明

  3 第三の意味がある

 「そら」をめぐる恋愛情緒表現

  1 はじめに 

  2 辞書では、すべて「うわのそら」 

  3 「空なり」は、心が空虚な状態ではない

  4 「心も空に」なるのは、男性 

  5 他作品では 

  6 「上の空なり」は、女の気持 

  7 「上の空」は、より所なく心細い 

  8 『源氏物語』が初出 

  9 「中空なり」は、男と女の気持 

  10 「中空」は、どっちつかずの状態

  11 三語の違い

 『源氏物語』と『細雪』の表現

  1 はじめに 

  2 人物造型 

  3 揺れる心 

  4 他者への思いやり 

  5 世間の眼 

  6 身分意識 

  7 死の場面

  8 おわりに

Ⅲ 文章・文体研究の軌跡と展望

 文章・文体研究の軌跡

  1 はじめに 

  2 文体論 

  3 文章論 

  4 表現論 

  5 文章作法論

 文章・文体研究参考文献

  1 文章論 

  2 文体論 

  3 表現論 

  4 文章作法 

  5 文章文体関係の研究史・展望・文献目録・特集号・講座

 昭和49・50年における国語学界の展望―文章・文体―  

  1 はじめに 

  2 単行本(個人の論文集) 

  3 文体関係論文(1)―文体一般― 

  4 文体関係論文(2)―個性面に関する研究― 

  5 文体関係論文(3)―類型面に関する研究―

  6 文章・表現関係論文 

  7 史的研究の論文 

  8 おわりに

 文体研究の回顧と展望

  1 文体研究の危機 

  2 文章心理学の誕生 

  3 統計学の導入 

  4 直観による文体把握 

  5 文学的文体論の隆盛 

  6 語学的文体論の隆盛 

  7 文学的文体論と語学的文体論の対立 

  8 活性化の道を求めて(1) 

  9 活性化の道を求めて(2)

  10 活性化の道を求めて(3)

既発表論文・著書との関係

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