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日系アメリカ人の文学活動の歴史的変遷

1880年代から1980年代にかけて

定価: 8,250 (本体 7,500 円+税)

北米の西海岸を中心に1880年代から1980年代までの日系アメリカ人の文学活動の変遷を辿る。移りゆく日系社会の歴史的流れに即して、彼らの多様な移民経験を描く。

【著者略歴】
水野真理子(みずの まりこ)
1975年富山県生まれ。新潟大学人文学部卒、富山大学大学院人文科学研究科修了、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。現在、富山大学、富山県立大学非常勤講師。アメリカ研究、日系アメリカ文学専攻。
※略歴は刊行当時のものです※
目次を表示します。
序論
 1.研究史と先行研究の問題点
 2.「移民」「移動」「越境」を伴う「文学活動の歴史」として
 3.論点
 4.用語の定義
第一部 19世紀末から20世紀初頭の北米における在米日本人の文学活動
    ―初期移民地の文学活動の多様性(1886年から1900年代)―
 第一章 黎明期の文学活動とその多様性
  はじめに
  第一節 日本人社会の黎明期と日本語新聞のはじまり
  第二節 黎明期の日本語新聞における「文芸欄」
  第三節 文学活動の「移植」
  第四節 「詩人」による文学活動―ミラー山荘と野口米次郎、菅野衣川―
  第五節 「作家」による文学活動―永井荷風、田村松魚―
  むすび
 第二章 翁久允の移民地文芸論と一世世代の文学活動
  はじめに
  第一節 シアトル・ブレマートン時代
  第二節 カリフォルニア時代前半
  第三節 カリフォルニア時代後半
  第四節 翁の抱えた葛藤―「世界人」という思想―
  第五節 黎明期の文芸から「移民地文芸」へ
  第六節 移民地文芸論の限界と一世一代の文芸の特徴
  むすび
第二部 移民法制定以後、太平洋戦争直前までの文学活動
    ―混沌と複雑性(1924年から1941年)―
 第三章 1930年代の文学活動の発展
     ―日本語文芸雑誌『収穫』を中心に―
  はじめに
  第一節 『収穫』創刊―日本語文学の発展・成熟に向かって―
  第二節 『収穫』にみる在米日本人社会の世代交代
  第三節 帰米二世の文学活動の開始―日本語文学の担い手として―
  第四節 『収穫』の休刊
  むすび
 第四章 二世の文化的アイデンティティを求めて
     ―『カレントライフ』をめぐる二世の文化・文学活動とアメリカニズムの理想―
  はじめに
  第一節 二世問題、二世アイデンティティ、アメリカ化
  第二節 二世のアイデンティティの探究―ジャーナリズムと文芸において―
  第三節 ジェームズ・オオムラと『カレントライフ』創刊の経緯
  第四節 二世の文化的アイデンティティとアメリカニズムの理想①
  第五節 二世の文化的アイデンティティとアメリカニズムの理想②
      ―『カレントライフ』とエスニック作家とのつながり―
  第六節 『カレントライフ』における文芸作品
  むすび
 第五章 トシオ・モリの1930年代―二世の文化的アイデンティティを求める動きの中で―
  はじめに
  第一節 モリの経歴―作家を目指して―
  第二節 モリの文学活動―二世アイデンティティ、マイノリティ文学を求める動きの中で―
  第三節 サロイヤンとモリ
  むすび
第三部 強制収容下での文学活動―「忠誠」「不忠誠」と文芸人の葛藤(1941年から1945年)―
 第六章 強制収容下での文学活動①
     ―二世の英語雑誌『トレック』『オールアボード』に見られるアメリカ化と文芸人たちの葛藤―
  はじめに
  第一節 強制収容とアメリカ化政策
  第二節 トパーズ収容所と『トレック』『オールアボード』
  第三節 トヨ・スエモトの場合―批判意識とアメリカニズム―
  第四節 トシオ・モリの場合―楽観主義とアメリカニズム―
  むすび
 第七章 強制収容下での文学活動②
     ―一世、帰米二世の日本語雑誌『鉄柵』と「日本化」「日本人化」―
  はじめに
  第一節 トゥーリレイク隔離収容所と文芸雑誌『鉄柵』
  第二節 『鉄柵』における「日本化」の試み―日本語の習得と研鑽
  第三節 『鉄柵』における山城正雄と「日本人化」
  第四節 日本の敗戦に際して―帰国か否か―
  むすび
第四部 戦後の文学活動―「日系アメリカ文学」の二つの流れ(1945年から1980年代)―
 第八章 戦後の英語文学と日本語文学
  はじめに
  第一節 再定住から補償請求運動へ
      ―1950年代から1980年代の日系人社会―
  第二節 アジア系アメリカ文学へ―二世、三世による文学活動―
  第三節 日本語による文学活動―『NY文藝』『南加文藝』を中心に―
  むすび
結論 日系アメリカ人の文学活動の変遷
 1.日系アメリカ人の文学活動の変遷―日本語文学に始まる流れ―
 2.日本語による文学活動の意味―アメリカで日本語によって創作する理由―
 3.「越境」と文学―国家、言語、アイデンティティの複雑な結びつき―
主要参考文献
あとがき
著者水野真理子 著
発行年月日2013年03月31日
頁数472頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1990-5