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日本における義肢装着者の生活援護史研究

定価: 9,350 (本体 8,500 円+税)

明治から昭和までの80年間にわたる四肢切断者の生活支援を通して、義肢の発達と制度の歴史並びにわが国独自のリハビリテーション史を追究した総合援護史研究として最初の書。

【著者略歴】
坪井良子(つぼい よしこ)
1938年長野県生まれ。
1959年慈恵高等看護学院卒業。東京慈恵会医科大学病院勤務を経て国立公衆衛生院保健指導学科、日本女子大学家政学部食物学科卒業。同大学文学部社会福祉学科研究生を経て、1992年筑波大学大学院教育研究科リハビリテーションコース修了、修士(リハビリテーション)。同大学院研究生。この間、慈恵看護専門学校教育主事として勤務する。
1993年自治医科大学看護短期大学教授。
1996年山梨医科大学医学部教授、1999年同大学院医学系研究科看護学専攻基礎看護学教授,現在に至る。
2000年東亜大学大学院より博士(学術)の学位を授与される。
※略歴は刊行当時のものです※
目次を表示します。
序文
序章
 第1節 問題の所在と研究の目的
  1.四肢切断者にとってのリハビリテーション
  2.研究の目的と意義
 第2節 先行研究と課題の設定
  1.先行研究
  2.研究の課題
  3.研究の方法
  4.研究の分析・検討の視点
第Ⅰ章 四肢切断者の生活問題の提起と義肢の出現
 第1節 障害者の生活問題の提起
  1.近代社会と生活問題
  2.貧しい生活援護制度
  3.障害者の増加と生活問題
  4.四肢切断者の生活問題
 第2節 義肢製作への試行
  1.わが国における初期の義肢製作
   1)人形師の製作による義足 
   2)佛師の製作による義足
   3)四肢切断者の生活の中から生まれた自製の義足 
  2.洋式義肢の導入
   1)アメリカセルフォー社製作の義足 
   2)オランダから購入された義足
   3)アメリカA.A.マークス社製作による義足
   4)A.A.マークス社製義足での生活の実態
第3節 義肢供給システムの模索―西南戦争時の障害者に支給された義肢
第4節 まとめ
第Ⅱ章 義肢装着者の生活の社会的問題化と義肢供給システムの形成
 第1節 戦争・労災による大量の義肢装着者の出現と生活援護問題
  1.戦争に伴う四肢切断者の出現と生活援護問題
   1)日清戦争に伴う戦傷者の出現と生活援護問題
   2)八甲田山雪中訓練による障害者の出現と生活援護活動
   3)日露戦争による戦傷者の大量出現と生活援護活動 
   4)日露戦争時の俘虜障害者に対する援護活動
  2.四肢切断者の生活問題と援護制度の成立
   1)戦争障害者の援護制度の成立 
  3.労災による障害者の援護制度の成立
 第2節 日本型義肢製作への努力
  1.義肢製作者の形態
   1)義肢専門取扱店の出現
   2)義肢製作専門者の出現
   3)乃木式義手の開発
  2.欧米事情の研究と紹介
 第3節 義肢供給システムの形成
  1.軍による支給システムの形成
  2.恩賜の義肢製作者の選定
  3.恩賜の義肢の利用状況
第4節 まとめ
第Ⅲ章 義肢装着者の生活問題と義肢供給システムの展開
 第1節 災害・戦争による義肢装着者の生活問題の深刻化
  1.地震災害による障害者の生活問題と同潤啓成社の設立
   1)関東大震災と障害者の生活問題
   2)同潤啓成社の設立とその事業
  2.戦争による新たな義肢装着者の増加
  3.傷兵保護事業の展開
   1)教養教化に関する事業 
2)医療保護に関する事業
   3)職業保護に関する事業
  4.義肢装着者の生活問題
第2節 本格的義肢製作への道程
  1.義肢研究と装着訓練の始まり
   1)義肢学の創始
   2)義肢装着訓練の萌芽 
  2.義肢研究・製作専門機関の発足
   1)啓成社での義肢研究および製作
   2)傷痍軍人福岡職業補導所での義肢研究と製作
  3.用途別の義肢及び補助具の開発
   1)用途別義肢
   2)作業義肢とその配給
   3)義肢の修理
   4)義肢の利用調査 
第3節 義肢の供給システムに関する環境整備
  1.軍隊・民間における傷病者の援護活動
   1)日中戦争以後の傷痍軍人援護の展開 
   2)陸軍における傷病者の診療体系の整備とその内容
   3)社会復帰を目的とした義肢装着訓練の体系化
   4)傷痍軍人に対する介護要具の支給と義肢製作及び義肢修繕 
  2.傷痍軍人の職業に関する援護体制の推進
   1)職業再教育施設 
   2)官庁、公共団体における傷痍軍人採用状況 
   3)傷痍軍人教員養成所の設置
   4)傷痍軍人教員養成所での教育の展開 
  3.傷痍軍人の職業生活の実際
1)傷痍軍人の職業調査 
   2)就業している傷痍軍人の障害状況
   3)傷痍軍人の就業実例 
第4節 まとめ
終章 考察と残された課題
 第1節 考察
  1.障害者の生活問題と義肢の役割
  2.義肢の研究、製作、装着訓練の発展とその歴史的意味
  3.日本リハビリテーション史への展開
 第2節 残された課題
文献
あとがき 
著者坪井良子 著
発行年月日2002年02月28日
頁数230頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1312-5