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教育言語学論考

文法論へのアンチテーゼと意味創りの教育

定価: 7,150 (本体 6,500 円+税)
教育は意味の創造である―言葉と教育は分離できないという本質に基づく研究領域「教育言語学」を提唱する論考書。言葉を見つめるすべての教育関係者のために。

【著者略歴】
宇都宮裕章(うつのみや ひろあき)
1969年生まれ
横浜国立大学教育学研究科修士課程修了(教育学)
共立女子大学、横浜国立大学、British Columbia大学を経て、
現在、静岡大学教育学部助教授(日本語教育)
目次を表示します。

第1部 原論
第1章 教育言語学への誘い
 1 伝達からの脱却
  (1) 対話の意味
  (2) 破綻の前に
 2 言葉と意味
  (1) 時枝とソシュール
  (2) ラング分析の不自然さ
  (3) 発達論と意味
  (4) 意味は言葉の中に存在しない
 3 意味創りと共存
  (1) 教育は意味創り
  (2) 共存の中から生まれる意味
  (3) 物象化の回避
 4 学びの発生論
  (1) 因果律の呪縛
  (2) 発生論の視点
 5 教育学的言語学へ
  (1) 言語観と教育実践
  (2) 生態学の視座
     関係
     文脈
     型と体系
     創発
     質
     価値
     批判性
     可変性
     多様性
     動性
 6 まとめ―言語観の変容と教育言語学(第1章)
第2部 言語論
第2章 言葉の成立
 1 言葉を成り立たせるもの
  (1) 文法体系の問い直し
  (2) 言葉の存在条件
  (3) 表現の制約
    境界性
    次元性
    可塑性
 2 言語単位の幻想
  (1) 情報と意味
  (2) 分割の意義
  (3) 言語学の下位部門
  (4) 循環論の発生
  (5) 分割すると言葉は成立しない
 3 まとめ―教育への示唆(第2章)
第3章 意味創りによる秩序の発生
 1 秩序の発生
  (1) 言葉が通じる不思議
  (2) 秩序の始原
  (3) 意味の創発
 2 意味創りの場面
  (1) 記述場面
    記述場面での認定
    認定は意味創りの過程
    連合関係
  (2) 配列場面
    配列場面での認定
    統合関係
    肌理と語順
  (3) 選択場面
    生起制約
    共起条件
    選択制限
  (4) 循環論の回避
 3 まとめ―意味と秩序(第3章)
第4章 意味創りと変化の様相
 1 言葉の力への問い
 2 言葉の変化
  (1) 系統発生的変化(言葉の歴史)
    活用の変化
    音の変化
  (2) 個体発生的変化(言葉の習得)
    習得研究への疑義
    意味づけの個体発生
    変化の方向
    意味づけと母語を越えた理解
  (3) 経験発生的変化(言葉の使用)
    意味付与の変化
    意味関係の抽出
  (4) 変化の肌理
 3 まとめ―意味創りによる言葉の力(第4章)
第3部 実践論
第5章 基準設定への批判
 1 問題提起の落とし穴
 2 目標言語は基準になるか
  (1) 学習者の言葉
  (2) 学校の言葉
 3 学習言語は基準になるか
  (1) 学習言語存在の論拠
  (2) 反論
  (3) 区分の意義と問題点
 4 認知能力は基準になるか
  (1) 教育学からの考察
  (2) 認知の基準化
  (3) 認知機構の普遍性と個別性
 5 まとめ―言葉には基準がない(第5章)
第6章 意味創りによる協働的な学びの場へ
 1 問題解決法の希求から素材間の調和へ
  (1) 学級の雰囲気
  (2) 協働的学級の形成
  (3) 素材間の相補的関係と主体間の信頼関係
 2 意味創りによるカリキュラム
  (1) 限られた素材の意味を生み出す
  (2) 力リキュラム原理
  (3) カリキュラムデザイン
    意味創りの周縁
    場面の活性化
    場面ごとの対処法
    組織的対応
 3 教育言語学的実践研究
  (1) 場の共存型研究
  (2) 場の共存型の長所と短所
  (3) 共存型研究の意義の向上へ
 4 まとめ―対話的教育に向けて(第6章)
引用文献
索引
著者宇都宮裕章 著
発行年月日2006年10月31日
頁数324頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1588-4