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蜻蛉日記の表現と構造

定価: 10,450 (本体 9,500 円+税)
『蜻蛉日記』の表現と構造を様々な角度から改めて検討し、作者は、何故、如何にして、私家集とも物語とも異なる女流日記文学を創始するに至ったのかを解明する。

【著者略歴】
長戸千恵子(ながと ちえこ)
1955年生まれ
1978年、お茶の水女子大学文教育学部国文学科卒業
1997年、同大学院博士課程人間文化研究科比較文化学専攻単位修得満期退学
2000年、博士(人文科学)号取得
現在、お茶の水女子大学大学院人間文化研究所研究員、秋草学園短期大学日本文化表現学科非常勤講師
目次を表示します。
凡例
序 章 『蜻蛉日記』の研究史と、本研究の課題
はじめに
一、『蜻蛉日記』の文学史的位置付けについて
二、研究史の動向について
 ―事柄に対する関心から表現に対する関心へ、そしてさらなる表現の問題の追究へ―
三、本研究の課題と研究史における位置付け、並びに構成
第一章 『蜻蛉日記』上・中・下巻の特質
 ―散文作品としての形成過程の展望―
一、上・中・下巻の差異の概観
二、上巻の特質
三、中巻の特質
四、下巻の特質
五、『蜻蛉日記』誕生の巻としての上巻の意義
第二章 『蜻蛉日記』上巻の構造と時間的叙述
 ―作品始発部における散文作品形成の意図と様相―
一、上巻の基本的な構造と本章の課題
二、単位記事によって見た上巻の構造
三、時間的叙述の検討
四、単位記事間の連接
五、時間的連続による作品形成の意図と様相
付表 [二章の表一]上巻の単位記事と記事群
   [二章の表二]上巻の時間的叙述
   [二章の表三]上巻の単位記事間の連接
   [二章の表四]上巻のつなぎの記述の数
第三章 『蜻蛉日記』の和歌素材と散文との関係
 ―散文作品形成の動機と様相―
一、私家集的性格の問題と本章の課題
二、和歌の直後の形態 - 文中における和歌の受け方 - 
三、各記事における和歌素材と散文との関係、及びその意義
四、和歌の直後の形態と各記事の性質との関係
五、和歌素材と散文との関係から見た、作品形成の動機と様相
付表 [三章の表一]『蜻蛉日記』上巻における和歌素材と散文との関係
   [三章の表二]『更級日記』における和歌素材と散文との関係
   [三章の表三]『蜻蛉日記』上巻と『更級日記』における歌の受け方
   [三章の表四]『蜻蛉日記』上巻と『更級日記』の記事の型
第四章 『蜻蛉日記』の成立過程
 ―上・中巻の表現・構造から見た起筆の問題を中心に―
一、成立に関する諸説と本章の課題
二、史実との照合
三、上巻の個別的成立について
四、「ふる雪に」の独詠歌と、その記事-上巻執筆との関連-
五、中巻始発部の問題と成立過程
六、作者の人生における執筆契機とその時期
付表 [四章の表一]中巻の記事内容
   [四章の表二]中巻の時間的叙述
第五章 『蜻蛉日記』序文に関する検討
一、『蜻蛉日記』序文の意義と問題点
二、解釈の問題の検討
三、序文に示された執筆意図、文学史的意義について
四、本章の結論と、その意義- 付、冒頭の「かく」と読者意識-
第六章 『蜻蛉日記』の叙述の視点の問題をめぐって
 ―『和泉式部日記』との比較を中心に― 
はじめに
第一節 『和泉式部日記』の叙述の視点
一、『和泉式部日記』の叙述の視点の問題と本稿の課題
二、和歌等を「とあり」で受ける表現
三、『和泉式部日記』の「女」の和歌等を「とあり」で受ける表現
四、『蜻蛉日記』の「とあり」との比較
五、歌物語の「とあり」との比較
六、『和泉式部日記』の叙述の視点『蜻蛉日記』との相違-
第二節 『蜻蛉日記』下巻の「物語性」と、叙述の視点
一、下巻の「物語性」に関する従来の説
二、養女迎えの記事に見る叙述の実態
三、下巻の「物語性」と、叙述の視点についての確認
第三節 『蜻蛉日記』の自ら語る視点の問題と、叙述の性質
一、叙述の視点と解釈の問題
二、解釈の問題の検討
三、叙述の性質に関する考察
四、視点の問題と叙述の性質-自ら語る叙述-
終章 『蜻蛉日記』の表現と構造
 ―女流日記文学の創始の様相―
一、第六章までのまとめ
二、結論
参考文献
初出一覧
あとがき
索引
著者長戸千恵子 著
発行年月日2005年10月31日
頁数290頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1526-6