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鉱害の法社会学

島根県笹ヶ谷鉱害を基礎にして

定価: 20,350 (本体 18,500 円+税)

笹ヶ谷鉱山を基礎に全国の鉱山公害を視野に入れてその歴史的展開を論じ、現在直面する健康鉱害対策と農地補償、さらに鉱害賠償問題について法社会学的に詳述する。

【著者略歴】
斉藤政夫(さいとう まさお)
大正5(1916)年8月19日、山口県に生まれる。
京都帝国大学農学部農林経済学科卒業。
島根大学教授(農学部)を経て、昭和55(1980)年4月より島根大学名誉教授、佛教大学教授(社会学部)
昭和57(1982)年9月より佛教大学社会学部学部長、昭和60(1985)年4月より佛教大学社会学研究所所長を経て、
平成2(1990)年の現在、佛教大学非常勤講師

農学博士(京都大学)
※略歴は刊行当時のものです※
目次を表示します。
まえがき
Ⅰ 序説
 第1章 序文
 第2章 鉱害賠償における無過失責任主義
  第1節 序
  第2節 鉱害法にける「無過失責任制」
   1.概説
   2.富山県神通川流域のイタイイタイ病
   3.企業内損害賠償と「その他」の無過失責任法
  第3節 無過失責任の根拠
   1.報償責任―公平の原則
   2.危険責任―絶対的注意義務
  第4節 結論
 第3章 挙証責任の転換と蓋然性への置換
Ⅱ 健康鉱害対策
 第1章 健康鉱害の原因とその条件
 第2章 健康鉱害に対する地元行政の対応経過
  第1節 休廃止鉱山の全国一斉調査―昭和45年当時
  第2節 行政の本格的対策の開始―昭和46年当時
  第3節 マスコミの取り上げと一斉検診―昭和47年当時
  第4節 患者認定のための絞り込み検診―昭和48年当時
  第5節 地域と疾病の指定および患者の認定―昭和49年当時
 第3章 被害者個人に対する行政側の救済措置の一例
 第4章 健康鉱害に対する地区住民の対応
第5章 元鉱山主の地元住民に対する健康鉱害補償
 第6章 公害健康被害認定条件の問題
  第1節 慢性砒素中毒症の認定要件
  第2節 水俣病における認定促進例
 第7章 患者認定行政不服審査請求事件
 第8章 健康「障害保障」の給付水準の問題
  第1節 現行障害補償費の給付方法
  第2節 平均賃金80%目安の根拠
Ⅲ 近代日本鉱山保安史
 第1章 日本鉱山の近代前史
 第2章 明治期の鉱山保安
  第1節 日本坑法(M.6)まで
  第2節 鉱業条例(M.23)の時代
  第3節 旧「鉱業法」の制定(M.38)
 第3章 明治期(石炭)鉱業と納屋制度
 第4章 大正期の鉱山保安
 第5章 下請掘契約における「斤先掘」と「請負掘」
 第6章 昭和戦中・後期の鉱山保安
  第1節 昭和戦中期の鉱山保安
  第2節 昭和期終戦直後の鉱山保安
 第7章 鉱山保安法の制定(S.24)
  第1節 概説
  第2節 保安監督枚構の重畳性 
  第3節 鉱山保安の責務
   1.鉱業権者の責務
   2.鉱山労働者の保安責務と保安権 
   3.鉱山保安監督機関の行政責務 
  第4節 その他の鉱山保安関連機関
第8章 現「鉱業法」の制定(S.25)
  第1節 制定経過
  第2節 現「鉱業法」の特徴
  第3節 現行の鉱害防止・鉱害賠償の措置
第9章 行政機構の商工省から通商産業省へ
  第1節 通産省発足当時(S.24)
  第2節 戦後日本独立後の通産省機構(S.27)
第10章 戦間期鉱業振興と戦後の鉱害賠償裁定機関
  第1節 戦間期の鉱業振興
   ① 重要鉱物増産法
   ② 鉱業奨励規則
  第2節 戦後の鉱害賠償裁定機関
   ① 土地調整委員会と中央公害審査委員会の統合
   ② 公害等調整委員会
  第3節 むすび
Ⅳ 農地鉱害補償
第1章 農地鉱害補償の条件
第2章 旧木部村鉱害対策期成同盟会の展開(S.5~14)
第3章 鉱害防止ダム建設(S.25~28)
第4章 笹ケ谷の農地鉱害状況と行政の対応
  第1節 島根県鉱害の農地汚染状況
  第2節 笹ケ谷農地被害に対する地元行政の対応経過―昭和45年
「土汚法」以降―
  第3節 近代笹ケ谷鉱毒田事件史
第5章 笹ケ谷の農地鉱害補償(S.45以降)
  第1節 津和野町の農地鉱害補償
  第2節 日原町(渓村宿ノ谷・程彼,池村曾庭を含む)の農地鉱害補償
第6章 鉱害農地の土地改良
  第1節 土地改良農地(水田)面積
  第2節 公害防止事業費負担者と負担額
  第3節 工事内容の結果
Ⅴ 総括
 第1章 健康鉱害対策の総括
  第1節 地元鉱業主の長期支配
  第2節 加害者企業と賠償金額の確定の困難性
  第3節 第三者支援団体の無介入―自主解決 
  第4節 科学的資料の不足と11割補償の精神欠如
  第5節 金銭賠償主義から原状回復主義へ
  第6節 乱訴社会における調停前置主義の採用 
 第2章 近代日本鉱山保安史の総括
  第1節 鉱業の自由解放と自営主義
  第2節 鉱業警察の成立と展開
  第3節 鉱業の無過失責任と保安法への進展
  第4節 結語
第3章 農地鉱害補償の総括
第1節 笹ケ谷鉱害補償の法形式
第2節 藩政時代の「相対済」と「内済」制度
  第3節 公害紛争処理対策
  第4節 結語
第4章 鉱害賠償の法理
  第1節 無過失責任理論の台頭 
  第2節 鉱害賠償の消滅時効並びに起算点の問題
  第3節 賠償義務者の問題
あとがき
事項索引
人名索引
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著者斉藤政夫 著
発行年月日1991年02月28日
頁数606頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-0784-1