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村落共有空間の観光的利用

定価: 10,450 (本体 9,500 円+税)
フィールドワークに基づき、入会林野・地先漁場に代表される村落共有空間(コモンズ)の現代的な利用と、今後の集団的な所有・管理のあり方を問うた地理学書。

【著者略歴】
池俊介(いけ しゅんすけ)
早稲田大学教育・総合科学学術院教授。博士(学術)。

1959年東京都生まれ。早稲田大学教育学部地理歴史専修卒業。東京学芸大学大学院教育学研究科(地理学講座)修士課程修了。静岡大学教育学部教授を経て、2006年より現職。

専門分野は農村地理学・地誌学・地理教育論。
目次を表示します。
まえがき
第1章 序論
I  村落共有空間の推移と現状
II  村落共有空間における観光的利用の進展
III 集団的所有・管理方法の再評価
IV 本書の目的と構成
第2章 入会林野の林業的利用とその限界
―長野県飯田市を事例として―
I はじめに
II 大瀬木区における林野利用の推移
 1)所有林野の構成
 2)林野利用の変容過程
III 山林荒廃と造林事業の展開
 1)山林の荒廃と保護規定
 2)造林活動の進展
IV 林業低迷下の財産区運営の動向
 1)山林経営の不振と観光的林野利用
 2)人口増加への財産区の対応
V おわりに
第3章 入会林野の解体と林野利用の粗放化
   ―静岡県沼津市愛鷹山麓を事例として―
I はじめに
II 愛鷹山組合の成立と林野の農地化
 1)明治初期までの林野利用
 2)愛鷹山組合の成立
 3)開墾地の拡大過程
 4)開墾地における農業経営
 5)林野の耕地化の要因
III 植林事業の展開過程
 1)愛鷹山組合による植林事業
 2)農用林としての利用
 3)農地解放と山林の分割
 4)第二次大戦後の造林の進展
IV 農林業的土地利用の後退
 1)第二次大戦後の農業経営の変化
 2)ゴルフ場開発の進展
 3)企業による林野の集積
V おわりに
第4章 入会林野の観光的利用の展開
    ―長野県茅野市蓼科山麓を事例として―
I はじめに
II 蓼科山麓における林野利用の推移―柏原・湯川の例―
 1)財産区有林野の成立
 2)草肥農業と林野利用
 3)林業的土地利用の展開
 4)林野利用と村落社会
III 観光地化と入会林野利用の変容
 1)高度経済成長期における就業構造の変化
 2)白樺湖周辺観光地の発展
 3)蓼科高原の観光地化の過程
IV 観光地化に伴う財産区の動向
 1)財産区財政の拡大
 2)「区」の再編成と財産区
 3)財産区の運営
 4)財産区と村落社会との関連
V おわりに
補章 近年の財産区をめぐる動向
I 観光客数と観光施設の変化
II 財産区運営の動向
第5章 地先漁場を基盤とした観光地域の形成
    ―静岡県沼津市大瀬崎を事例として―
I はじめに
II スキューバダイビングの発展とダイビングスポットの分布
 1)日本におけるスキューバダイビングの普及
 2)全国のダイビングスポットの分布
III 大瀬崎における民宿地域の形成過程
 1)観光地化以前の生業構造
 2)民宿地域の形成
IV ダイビング観光地への変容
 1)ダイビングスポットの開設
 2)観光施設経営の実態
 3)ダイビング観光地の成立要因
V 地元村落社会への影響
 1)観光関係収入とその配分
 2)潜水料徴収をめぐる問題
VI おわりに
第6章 地先漁場におけるダイビング事業の展開
   ―静岡県伊東市富戸地区を事例として―
I はじめに
II 富戸地区における観光地化の進展
 1)観光地化以前の生業形態
 2)観光地化の進展
III スキューバダイビングの導入と展開
 1)ダイビングスポットの開設
 2)ダイビングサービスの進出と経営内容
 3)ダイビングサービス進出の要因
VI スキューバダイビングと地域社会
 1)漁協・漁業経営への影響
 2)宿泊施設経営への影響
 3)伝統的村落社会との関係
V おわりに
第7章 結論
I 村落共有空間の観光的利用の意義
II 観光的利用の進展に伴う諸問題
III 集団的所有・管理の今後のあり方
あとがき
事項索引
著者池俊介 著
発行年月日2006年11月15日
頁数266頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1592-1