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戦前の東京市の初等教育と「特別な教育的配慮・対応」の研究

定価: 8,250 (本体 7,500 円+税)

戦前日本の初等教育にて子どもの多様な就学困難に応じた「特別な教育的配慮・対応」がいかなる経緯で誕生し、制度化されたのか、東京市を事例に実証的に解明。

【著者略歴】
石井智也(ISHII Tomoya)

1987年 千葉県南房総市生まれ
2010年 茨城大学教育学部学校教育教員養成課程養護学校教育コース卒業
2010年 東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程特別支援教育専攻入学(2013年修了)
2013年 国際協力機構(JICA)青年海外協力隊としてケニアの知的障害・肢体不自由特別学校(ナクル・ヒルズ特別学校)に教員派遣(~2015年)
2016年 東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科博士課程発達支援講座入学
2017年 日本福祉大学スポーツ科学部助教(~2021年)
2019年 東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科博士課程発達支援講座修了 博士(教育学)
2021年 東海学院大学人間関係学部子ども発達学科専任講師(現在に至る)
専 門 特別ニーズ教育、特別支援教育、日本教育史
学 会 日本特別ニーズ教育学会理事(事務局担当)
受 賞 日本子ども学会第12回子ども学会議優秀発表賞、2019年度日本特別ニーズ教育学会奨励賞、社会事業史学会第11回吉田久一研究奨励賞
目次を表示します。
刊行によせて 日本における特別ニーズ教育・特別支援教育の源流を探る(髙橋 智)

序章 研究の課題と方法
 1.問題の所在
  1.1 現代の特別支援教育・特別ニーズ教育と「特別な教育的配慮・対応」の歴史的検討
  1.2 明治・大正期の初等教育の成立・普及と「特別な教育的配慮・対応」
  1.3 東京市における初等教育の成立・普及と「貧困・児童労働・不就学」への対応
 2. 研究の目的と分析の視点
  2.1 研究の目的
  2.2 分析の視点
  2.3 分析に用いる主な史資料

第1部 明治・大正期の初等教育の成立・普及と「特別な教育的配慮・対応」の制度化に関する研究動向
第1章 明治期における初等教育の成立・普及と「特別な教育的配慮・対応」システムに関する教育史研究の動向と課題
 1.はじめに
 2.初等教育の成立と「特別な教育的配慮・対応」
  2.1 小学簡易科・私立小学校・慈善学校 
  2.2 子守学校・子守学級
 3.1900(明治33)年の小学校令改正以降の初等教育の普及と「特別な教育的配慮・対応」
  3.1 尋常小学校における特別学級編制
  3.2 半日学校・二部教授編制
  3.3 特殊小学校
  3.4 特殊夜学校(夜間小学校)・工場内特別教授
 4.おわりに

第2章 大正期における初等教育の普及・拡充と「特別な教育的配慮・対応」システムに関する教育史研究の動向と課題
 1.はじめに
 2.初等教育の普及・拡充と「特別な教育的配慮・対応」
 3.小学校の特別学級と「特別な教育的配慮・対応」
  3.1 障害児教育史研究における「特別学級史」の位置づけ
  3.2 近年の「特別学級史研究」の動向と「特別な教育的配慮・対応」
 4.新教育の展開と「特別な教育的配慮・対応」
 5.学校衛生・衛生教育の拡充と「特別な教育的配慮・対応」
 6.社会教育・都市教育の展開と「特別な教育的配慮・対応」
 7.多様な初等教育機関における教育的対応
  7.1 子守学校・子守学級
  7.2 特殊小学校・夜間小学校
  7.3 水上生活の子どもへの対応
 8.おわりに

第2部 明治期の初等教育の成立・普及と「特別な教育的配慮・対応」の制度化
第3章 1900年小学校令改正前の東京市域の子どもの「貧困・児童労働・不就学」問題と多様な初等教育機関
 1.はじめに
 2.学制以前の寺子屋・家塾における子どもの実態に応じた多様な学び
 3.明治期の初等教育の制度化と貧困・障害児童等の公立小学校からの排除
  3.1 明治初期の初等教育施策(1872~1885)
  3.2 小学校令期における初等教育施策と子どもの不就学(1886~1900)
 4.多様な初等教育機関における「貧困・児童労働・不就学」への教育対応
  4.1 貧困児童の実態 
  4.2 私立小学校における教育対応
  4.3 小学簡易科・貧民学校における教育対応
  4.4 夜学校における教育対応
 5.おわりに

第4章 1900年小学校令改正以降の東京市における初等教育普及と「貧困・児童労働・不就学」問題への対応
 1.はじめに
 2.東京市における1900年小学校令改正以降の初等教育施策の展開
 3.子どもの身体・健康問題の深刻化と学校衛生の促進 
 4.学年制学級編制の定着と学力格差の顕在化
 5.1907(明治40)年の小学校令改正に伴う義務教育年限延長と二部教授問題
 6.子どもの「貧困・児童労働・不就学」等の深刻化と「特殊小学校」「特殊夜学校(夜間小学校)」の開設
 7.おわりに

第5章 1900年代の東京市における「特殊小学校」「夜間小学校」の開設と子どもの「貧困・児童労働・不就学」問題への対応
 1.はじめに
 2.子どもの「貧困・児童労働・不就学」問題と東京市による特別な初等教育機関の開設
 3.特殊小学校における子どもの教育的困難への対応
  3.1 万年小学校における教育的対応
  3.2 霊岸小学校における教育的対応
  3.3 鮫ヶ橋小学校における教育的対応
  3.4 三笠小学校における教育的対応
  3.5 玉姫小学校における教育的対応
  3.6 芝浦小学校における教育的対応
  3.7 絶江小学校における教育的対応
  3.8 林町小学校における教育的対応
  3.9 菊川小学校における教育的対応
  3.10 猿江小学校における教育的対応
 4.特殊小学校における「特別学級」の開設と「特別な教育的配慮・対応」
 5.おわりに

第3部 大正期の初等教育の普及・拡充と「特別な教育的配慮・対応」の制度化
第6章 1920年代における東京市長・後藤新平の児童保護施策と教育改善事業
 1.はじめに
 2.後藤新平の東京市長就任と都市施策の着手
  2.1 東京市における産業化・重化学工業化と都市問題の激化
  2.2 後藤新平の東京市長就任と市政刷新
  2.3 市長・後藤新平の都市施策
 3.東京市長・後藤新平の児童保護施策
 4.東京市長・後藤新平の教育改善事業
 5.おわりに

第7章 1920年代における東京市教育課の教育救済事業と特別学級編制
 1.はじめに
 2.1910年代の東京市における児童・教育問題
 3.東京市教育課と教育救済事業の促進
 4.東京市教育課の教育救済事業と特別学級編制
 5.おわりに

第8章 1920年代の東京市における特別学級の児童実態と教育実践
 1.はじめに
 2.東京市林町小学校「促進学級」の開設
 3.喜田正春の林町小学校「促進学級」の教育実践
  3.1 促進学級の児童実態
  3.2 促進学級における教育実践
 4.太平小学校「補助学級」の開設と教育実践
  4.1 太平小学校校長・吉田圭
  4.2 太平小学校「補助学級」の児童実態と教育実践
 5.東京市小学校特別学級編制の拡充整備と「特別な教育的配慮・対応」
 6.おわりに

第9章 関東大震災後の東京市の教育復興計画と多様な教育困難を有する子どもの特別学級編制
 1.はじめに
 2.関東大震災後の子どもの多様な困難の顕在化
 3.東京市学務課の教育復興計画と教育救済事業
  3.1 東京市学務課の教育復興計画
  3.2 東京市学務課による教育救済事業の促進
 4.東京市における特別学級の復旧と特別学級編制促進
  4.1 特別学級の復旧と補助学級研究科
  4.2 特別学級児童の医学的調査
  4.3 東京市による特別学級編制の促進
 5.おわりに

終章 本書のまとめ
 1.各章のまとめ
 2.今後の課題と展望
  2.1 総力戦体制・戦時総動員体制と初等教育の拡充
  2.2 国民学校制度の成立と「特別な教育的配慮・対応」システム 
  2.3 子どもの困難・障害・疾病に応じた「特別学級」編制の促進

文献
あとがき
索引
著者石井智也 著
発行年月日2022年09月30日
頁数348頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-2437-4