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科学的リーダーシップ論とその課題

定価: 9,680 (本体 8,800 円+税)

組織におけるリーダーシップ理論を黎明期から現代まで、すなわち孫子から現代のグローバル・リーダーシップ論まで、その概要、課題について体系的に解説した大著。

【著者略歴】
松原 敏浩(まつばら としひろ)
1943年 愛知県に生まれる
1967年 愛知教育大学卒業
1969年 名古屋大学大学院教育学研究科修士課程修了
1993年 博士(教育心理学:名古屋大学)
1970年~1993年 大同工業大学助手,講師,助教授,教授
1993年~2013年 愛知学院大学経営学部・大学院経営学研究科教授
2013年~2015年 愛知学院大学経営学部・大学院経営学研究科客員教授
2005年 愛知学院大学大学院経営学研究科科長(2009年まで)
2015年 愛知学院大学名誉教授

学会活動
経営行動科学学会会長,日本労務学会,産業組織心理学,しごと能力研究学会各理事

主著
リーダーシップ効果に及ぼす状況変数の影響について 単著 風間書房(1995年)
組織心理学 共編著 福村出版(1988年)
社会心理学 共編著 ナカニシヤ出版(1999年)
経営組織心理学 共編著 ナカニシヤ出版(2008年)など
目次を表示します。
第Ⅰ部 リーダーシップの基礎理論
第1章 リーダーシップ研究の黎明期と科学的リーダーシップ研究の発達
  はじめに
 第1節 リーダーシップ研究の黎明期
  1.中国の歴史書―1 孫子
  2.中国の歴史書―2 老子
  3.欧米の歴史書―1 クセノポンによるアナバシス
  4.欧米の歴史書―2 プラトンの「国家」篇
  5.欧米の歴史書―3 マキアヴェッリの君主論
  6.日本の歴史書―1 日暮硯
  7.まとめと小括
 第2節 科学的リーダーシップ研究の発達
  1.リーダーシップの概念定義
  2.リーダーシップに関連した諸概念―リーダーシップとマネジメント
  3.リーダーシップ研究の発達
  4.リーダーシップ研究の分類
 第3節 リーダーシップの基礎―リーダーの社会的勢力

第2章 リーダー属性論―その成長,衰退,復活
  はじめに
 第1節 リーダー属性の概念とリーダーシップ効果の指標
  1.リーダー属性とは
  2.リーダーシップ結果の指標
 第2節 リーダー属性の実証的研究
  1.認知的能力
  2.性格(パーソナリティ)
  3.動機・価値・倫理
 第3節 新しい概念の提案と特性アプローチの精緻化
  1.新しい概念の提案
  2.特性アプローチの精緻化
  3.リーダー特性と状況との関係
 第4節 リーダー属性のプロセス・モデル
 第5節 まとめと結論

第3章 伝統的リーダーシップ・スタイル論
  はじめに
 第1節 マネジャーの役割
  1.ミンツバーグの理論
  2.Quinnらのマネジャーの役割モデル
  3.マネジャーの役割のまとめ
 第2節 リーダーシップの行動論的アプローチ
 第3節 リーダーシップ行動(スタイル)1:課題達成行動と配慮行動
  1.リーダーシップの機能論的アプローチ
  2.リーダーシップ機能論―2次元の組み合わせ
 第4節 リーダーシップ行動(スタイル)2:参加型リーダーシップ
  1.民主的・専制的リーダーシップ研究:アイオワ研究
  2.参加的,指示的,権限委譲的リーダーシップ・スタイル
 第5節 要約と結論

第Ⅱ部 リーダーシップの状況理論
第4章 Fiedlerの状況適合理論
  はじめに
 第1節 Fiedlerの理論の基本的構成
  1.リーダーシップ・スタイル:LPCスケール
  2.状況要因
  3.規準変数(従属変数)および研究結果の分析法
 第2節 Fiedlerの理論とその特色
  1.Fiedlerの理論  
  2.Fiedler理論の特色
 第3節 Fiedlerの理論の妥当性
 第4節 Fiedlerの理論の発展
  1.リーダーとしての経験と集団業績
  2.リーダーシップ能力開発法:リーダー・マッチ理論
 第5節 Fiedlerの理論の問題点
  1.LPC得点の意味と信頼性
  2.状況変数
  3.外的規準変数(指標)のとり方について
  4.リーダーシップ能力開発(リーダー・マッチ理論)
  5.その他の問題点
 第6節 今後の展望:試論の展開
  1.Fiedlerの理論の改訂(試論)
  2.結論

第5章 Vroomらの意思決定モデル
  はじめに
 第1節 Vroom&Yettonモデルの概要
  1.Vroom&Yettonの意思決定モデルのリーダーシップ理論としての特徴
  2.Vroom&Yettonモデル―規範モデルとして―
 第2節 規範モデルとしてのVroom&Yettonモデルの妥当性の検討
  1.Vroom&Yettonモデルの妥当性の研究法
  2.Vroom&Yettonモデルの妥当性の検討結果
 第3節 Vroom&Yettonモデルの発展としてのVroom&Jagoモデル
  1.Vroom&Jagoのモデル(Vroom&Yettonモデルの改訂版)
 第4節 意思決定の個人差,状況差:記述モデルとしてのVroomらのモデル
 第5節 Vroom&YettonモデルおよびVroom&Jagoモデルの評価
  1.Vroom&Yettonモデルの問題点
  2.Vroom&Jagoモデルの問題点
 第6節 討論とまとめ
  1.リーダーシップ・プロセスとしてみたVroomらの図式
  2.まとめ

第6章 パス・ゴール理論
  はじめに
 第1節 パス・ゴール理論の概要
  1.パス・ゴール理論の基本的構成要素
  2.パス・ゴール理論の基本的仮定
  3.パス・ゴール理論の仮説
  4.パス・ゴール理論の発展
  5.他のリーダーシップ理論との関連性
 第2節 パス・ゴール理論の特徴
  1.部下からみたリーダーシップ理論
  2.因果関係のリーダーシップ理論
  3.垂直二者間のリーダーシップ理論
  4.従属変数とリーダーシップ
  5.期待理論とリーダーシップ
  6.パス・ゴール理論には訓練プログラムがない
 第3節 パス・ゴール理論の経験的妥当性
  1.松原(1986)の研究
  2.Wofford&Liska(1993)の研究
  3.Podsakoff,et al.(1995)の研究
  4.結果についての討論
 第4節 パス・ゴール理論の総括―問題点と今後の課題―
  1.パス・ゴール理論の問題点の要約
  2.パス・ゴール理論の評価と今後の課題
 第5節 要約と結論

第7章 SL理論
  はじめに
 第1節 SL理論の要約
  1.SL理論の基本的な概念
  2.基本的な概念の測定法
  3.SL理論の基本的仮説
 第2節 SL理論の妥当性の検討
  1.理論の妥当性の研究
  2.SL理論の妥当性についての実証的研究
 第3節 SL理論の問題点
  1.Blake&Moutonによる批判
  2.Graeffによる批判
  3.Bassによる批判
 第4節 評価,まとめおよび結論

第Ⅲ部 ニューリーダーシップ・スタイル論
第8章 カリスマ型リーダーシップおよび変革型リーダーシップ論
  はじめに
 第1節 カリスマ型リーダーシップ理論
  1.カリスマ型リーダーシップ理論出現の時代的背景
  2.カリスマ型リーダーシップの意味と類型
  3.Houseのカリスマ型リーダーシップ論
  4.CongerとKanungoのカリスマ理論―カリスマの帰属理論―
  5.その他のカリスマ理論
  6.カリスマ型リーダーシップの実証的研究
  7.カリスマ型リーダーシップの諸問題
 第2節 変革型リーダーシップ理論
  1.初期の変革型リーダーシップ理論―Burnsの理論―
  2.Bassの変革型リーダーシップ理論
 第3節 評価,今後の課題,および結論
  1.総合的評価
  2.総合的考察および結論

第9章 戦略的およびトップマネジメントのリーダーシップ
  はじめに
 第1節 戦略的リーダーシップとは
  1.戦略的リーダーシップの定義
  2.戦略的リーダーシップの領域
 第2節 経営者に求められる機能
 第3節 トップマネジメントに求められる能力とリーダーシップ・スタイル
  1.経営者に求められるリーダーシップ能力
  2.経営者のリーダーシップ・スタイル
 第4節 戦略的リーダーシップのプロセス
 第5節 トップマネジメントのリーダーシップの有効性についての実証的研究
 第6節 トップマネジメント・チーム
 第7節 戦略的リーダーシップ研究の今後の課題,および結論

第10章 サーバント・リーダーシップ理論
  はじめに
 第1節 サーバント・リーダーシップ理論の特質
  1.サーバント・リーダーシップとは―サーバント・リーダーシップ特性―
  2.サーバント・リーダーシップ理論と他のリーダーシップ理論との比較
  3.サーバント・リーダーシップの因果関係モデル
 第2節 サーバント・リーダーシップ理論の実証的研究の統合
  1.サーバント・リーダーシップの測定尺度
  2.サーバント・リーダーシップの実証的研究
 第3節 サーバント・リーダーシップ理論の評価
  1.サーバント・リーダーシップ理論の長所・短所と今後の課題
  2.結論

第11章 オーセンティック・リーダーシップ
  はじめに
 第1節 オーセンティック・リーダーシップ理論とその発展
  1.オーセンティック・リーダーシップとは
  2.オーセンティック・リーダーシップ理論の発展
 第2節 オーセンティック・リーダーシップの測定法
 第3節 オーセンティック・リーダーシップの実証的研究
  1.実証的研究のスタートとしての事例研究
  2.オーセンティック・リーダーシップの妥当性の研究
  3.リーダーシップ・プロセス(媒介過程およびモデレータ要因)の検討
  4.オーセンティック・リーダーシップの弁別的妥当性の研究
 第4節 オーセンティック・リーダーシップの発達
  1.オーセンティック・リーダー発達の先行要因
  2.オーセンティック・リーダーシップの能力開発(介入計画)研究
 第5節 オーセンティック・リーダーシップの評価と今後の課題
  1.オーセンティック・リーダーシップの優れている点
  2.オーセンティック・リーダーシップの弱点ないしは暗い側面
 第6節 結論

第12章 リーダー・メンバー交換関係(LMX理論)
  はじめに
 第1節 LMX理論の基本的考え方:LMX理論とその発達
  1.Graenのリーダーシップの考え方
  2.LMX理論の萌芽(垂直二者連関モデル(VDLモデル))
  3.LMX理論
  4.リーダーシップ・メイキング・モデル(リーダーシップ・ライフサイクル・モデル)
  5.有効なチームづくりモデル
  6.LMX理論の適用範囲
 第2節 LMX関係の測定法
  1.LMX関係の測定法の発達
  2.GraenらのLMX測定尺度:LMX-7
  3.LidenらのLMXの多次元測定尺度:LMX-MD
  4.尺度の信頼性 評定者(リーダー・メンバー)による差
 第3節 LMXの実証的研究
  1.LMXの因果のプロセス
  2.LMXの先行要因
  3.LMX理論と結果変数との関係
  4.媒介要因(メディエータ)および調整要因(モデレータ)としてのLMX
 第4節 LMX理論の最近の研究課題:部下の視点からのLMX差別化の研究
  1.LMX differentiation(LMX差別化)とは
  2.差別化の諸概念とその測定方法―分析のレベルからの分類
  3.LMX差別化の実証研究(1):差別化をもたらす原因
  4.LMX差別化の実証研究(2):差別化がもたらす結果
 第5節 日本におけるLMX研究
  1.日本のLMX研究についてのレビューの必要性
  2.日本におけるLMX実証研究の文献展望
  3.日本のLMX研究のまとめ
 第6節 LMX理論の評価と結論
  1.LMX理論の評価
  2.結論(今後の発展も踏まえて)

第Ⅳ部 リーダーシップの諸分野
第13章 チームリーダーシップ
  はじめに
 第1節 チームについて
  1.チームとは何か
  2.チーム研究の歴史
 第2節 チームリーダーシップ
  1.チームリーダーシップとは
  2.チームリーダーシップの諸アプローチ
  3.状況とチームリーダーシップ
 第3節 チームリーダーシップの有効性
  1.チームリーダーシップの有効性とは何か
  2.チームリーダーシップ有効性のモデル
  3.チームリーダーシップ有効性の実証的研究
 第4節 チームリーダーシップ研究の今後の課題:結論にかえて

第14章 ジェンダーとダイバーシティのリーダーシップ
  はじめに
 第1節 ジェンダーとリーダーシップ
  1.ジェンダーとリーダーシップの関係のアプローチ
  2.リーダーシップ出現とジェンダー
  3.リーダーシップ行動(スタイル)とジェンダー
  4.リーダーシップの有効性とジェンダー
  5.社会の変化とジェンダーのリーダーシップ
 第2節 ダイバーシティとリーダーシップ
  1.ダイバーシティへのアプローチ
  2.ダイバーシティの有効性を高めるリーダーの視点
 第3節 今後の課題と結論

第15章 クロス・カルチャー・リーダーシップとグローバル・リーダーシップ
  はじめに
 第1節 クロス・カルチャー・リーダーシップ
  1.クロス・カルチャー・リーダーシップとは:クロス・カルチャー・リーダーシップとグローバル・リーダーシップとの差異
  2.文化とその特徴
  3.文化とリーダーシップとの関係:The GLOBE研究を中心に
  4.実践上の示唆
 第2節 グローバル・リーダーシップ
  1.グローバル・リーダーシップとは
  2.グローバル・リーダーシップとそのコンピテンシー
  3.グローバル・リーダーシップの内容モデル
  4.グローバル・リーダーシップの測定
  5.グローバル・リーダーの能力開発
 第3節 今後の方向
  1.比較文化研究アプローチとグローバル・リーダーシップ・アプローチの統合
  2.実践的な問題の解決―グローバル・リーダーの育成について
 第4節 要約と結論

第16章 リーダーシップ能力発達
  はじめに
 第1節 リーダーシップ能力発達とその関連概念
  1.リーダーシップ能力発達の定義
 第2節 リーダーシップ能力発達理論
  1.能力発達の諸側面:どのような能力の発達か
  2.リーダーシップ能力発達の理論:リーダーシップ能力発達に固有な理論はあるか
 第3節 リーダーシップ能力発達のプロセスとその規定要因
  1.リーダーシップ能力発達のプロセス・モデル
  2.リーダーシップ能力発達の規定要因(1)―個人差要因
  3.リーダーシップ能力発達の規定要因(2)―プロセス促進要因
 第4節 リーダーシップ能力開発の方法
  1.能力開発の諸技法
  2.能力開発プログラムの実施手順―ベスト・プラクティス
  3.リーダーシップ教育(大学教育)
 第5節 リーダーシップ能力開発プログラムの評価
 第6節 リーダーシップ能力発達の課題および将来展望
  1.リーダーシップ能力発達の課題
  2.能力開発の手法の課題
  3.今後の課題
 第7節 結論

特論 3軸リーダーシップ・モデルについての一考察
   ―リーダーシップ・スタイルとリーダーの人間性の統合―
  はじめに
 第1節 本研究の理論的基礎  
  1.本研究のリーダーシップ・スタイルの理論的基礎
  2.「リーダーに求められる人間性」の理論的基礎
 第2節 3軸リーダーシップ・モデルの構築
  1.本研究の基本的立場
  2.本研究の3軸リーダーシップ・モデルについての立場
 第3節 3軸リーダーシップの影響過程:プロセスモデル  
  1.3軸リーダーシップとリーダーへの信頼および同一化
  2.リーダーへの信頼および同一化の媒介効果
 第4節 今後の研究および実践上の示唆
  1.研究上の示唆
  2.実践上の示唆
 第5節 結論

引用文献一覧
付記
事項索引
著者松原敏浩 著
発行年月日2022年12月25日
頁数656頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-2458-9