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無心の詩学

大橋政人、谷川俊太郎、まど・みちおと文学人類学的批評

定価: 3,850 (本体 3,500 円+税)

世俗的な価値観を離れて現実へと回帰する無心の詩のありようを、大橋政人、谷川俊太郎、まど・みちおの作品を具体例に、文学人類学的批評に基づき大胆に考察する。

【著者略歴】
大熊昭信(おおくま あきのぶ)
1944年生まれ、群馬県出身。東京都立大学大学院および東京教育大学大学院修士課程修了。佐賀大学、京都教育大学、筑波大学を経て、現在成蹊大学文学部教授、博士(文学)。
※略歴は刊行当時のものです※
目次を表示します。
まえがき――バベルの塔と白アリ
第一章 私的抒情か言語の効果か――大橋政人からみる現代詩
1 言語の自己表出と詩人の自己表出
2 寓意と脱構築の手法
3 「変テコな地平」――詩人の自己表出、言語の自己表出のかなたへ
第二章 「気の在りよう」あるいは大橋政人のポスト・ポストモダンな生の形
1 「日曜詩人」
2 ケ、ケガレ、ハレとカレ
3 豊穣なるケガレ
(1)弱者とともにケガレからカレへ
(2)動物たちとともにカレへ
(3)言葉をとおしてカレへ
(4)〈空〉が語るカレの境地――「縁側」をめぐって
4 カレからケへ――透明化する日常と他者の存在感
5 『秋の授業』にみられるケ、ケガレ、ハレ、カレ
第三章 根源的な無心――まど・みちおとウィリアム・ブレイク
1 抒情詩と児童詩と無心
2 ブレイクの無心
3 まど・みちおの無心
(1)言葉あそび――存在感からの離反
(2)存在観の達成――根源的無心へ
(3)「リンゴ」論――深化する無心の思想
(4)日常のほうへ――実在感の達成
(5)「ぞうさん」――存在の全肯定
4 根源的無心の様式――ブレイク、まど、大橋の童話的文体
第四章 朔太郎、恭次郎、暮鳥と金子光晴
1 「感情の構造」と「気の構造」――詩的言説の布置
2 萩原朔太郎とケガレ
3 萩原恭次郎とハレ
4 山村暮鳥とカレ
5 無国籍者としての金子光晴
第五章 〈詩心なき私心〉から〈私心なき詩心〉へ――存在観の探求
1 存在の賛歌――宮沢賢治の場合
2 存在観の諸相――カレの領域でのケ、ケガレ、ハレ、カレ
(1)ハレの領域でのケ、ケガレ、ハレ、カレ
(2)ケ、ケガレ、ハレ、カレのなかのケ、ケガレ、ハレ、カレ
(3)カレ(ケ、ケガレ、ハレ、カレ)をめぐる思弁――井筒俊彦の場合
(4)超越論の言語論化――柄谷行人とカレ(ケ)の領域
(5)水墨画とケ、ケガレ、ハレ、カレ
(6)存在観と小林秀雄の「観」と〈もの〉――ケガレの領域へのこだわり
3 谷川俊太郎、まど・みちお、大橋政人の〈もの〉
第六章 「感性の人」から「行動の人」へ――実在感の経験
1 実在感とはなにか
(1)存在観から実在感へ
(2)無心のイメージ
2 政治的な実在感――瀬尾育生の『アンユナイテッド・ネイションズ』
(1)メニッペアの手法
(2)純粋言語と神的権力と国連
(3)レーニンの言説へのコミットメント
(4)「意識」から「存在」へ
3 ポストコロニアルな実在感
(1)四元康祐の場合
(2)大橋政人の場合
4 自然との調和――エコロジカルな実在感
5 新たな共同体――ヴァナキュラーでコンヴィヴィアルな
6 詩人の在り方――結びにかえて
参照文献
あとがき
著者大熊昭信 著
発行年月日2012年07月31日
頁数322頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1935-6