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古代的象徴表現の研究

古代的自然把握と序詞の機能

定価: 12,100 (本体 11,000 円+税)

自然や景物に人事を投影し心や姿を具象化する表現に焦点をおき、古代的象徴表現の特質を解明。特に万葉集独自の表現を探り古代的思考と自然観を明らかにする。

【著者略歴】
和田明美(わだ あけみ)
1956年 高知県宿毛市に生まれる
1979年 高知女子大学文学部国文学科卒業
1989年 名古屋大学大学院博士課程後期中途退学(国語学専攻)
1995年 博士(文学)取得
現 在 愛知大学文学部助教授
※略歴は刊行当時のものです※

【主な著書】
『万葉集の表現の研究』(共著、風間書房、1986年)
『古代日本語の助動詞の研究』(風間書房、1994年)
目次を表示します。

第一章 序論
  一 本書の観点とその概要
  二 古代日本語の成立と古代歌謡・万葉集
第二章 万葉集の表現の歴史的変遷―神話時代から歴史時代へ―
  一 「神」と「神代」を詠む歌
  二 「世の中」の嘆きを詠む歌
  三 大伴家持「独居沈思」歌の独自性と言語イメージ
第三章 古代的「時」の観念とその表現
  一 古代的「時」の観念と時制
  二 古代日本語としての「時」
  一 一日の区分と「時」の表現
第四章 古代的象徴表現
  一 古代的自然把握と象徴表現
  二 序詞の機能と構造―〈……の〉形式の序詞―
  三 枕詞の機能と構造―〈……の〉形式の枕詞―
  四 序詞の象徴機能と枕詞
第五章 序詞の象徴機能と言語イメージ
  一 神聖・清浄な女性美の形象化―「久方の 天の香具山 とかまにさ渡る鵠」(記二七)―
   1 古事記二七・二八番歌謡についての諸説とその問題 
   2 〈~に渡る・さ渡る〉の構造と意味
   3 「久方の 天の香具山」の象徴機能
   4 「とかまに さ渡る鵠」の意味と美夜受媛像
  二 神威と権勢の形象化―「しが下に 生ひ立てる 葉広 ゆつ真椿」
(記五七)―
   1 古事記五七番歌謡についての諸説とその問題 
   2 〈~に生ふ・生ひ立つ〉の象徴機能と「しが下」の意味
   3 「大君ろかも」と宮廷寿歌
   4 「照る」「広る」の意味と大君像
   5 「此時歌日」と古事記歌謡との関係 
   6 当該歌謡の真意と序詞 
  三 女性の姿と心の形象化―「波のむた靡く玉藻」(十二、三〇七八)

   1 万葉集巻十二、三〇七八番歌についての諸説とその問題
   2 「片息」「片恋」の象徴表現
   3 「波のむた靡く玉藻」の象徴機能
   4 陰在的被序詞と序詞との関係
   5 「わが思ふ人の言の繁けく」の真意
  四 東歌の序詞の独自性―「鴨の這ほのす」(十四、三五二五)―
   1 東歌の表現の特色
   2 東歌における「鴨」とその言語イメージ
   3 古代的自然把鐘と東歌の序詞
第六章 「じもの」の意味―「男じもの」―
  一 古代日本語「じもの」と「なす」「ごと(し)」との関係
  二 従来の研究とその問題
  三 「じもの」の意味と言語イメージ
  四 「男じもの」について
第七章 万葉集の恋の歌とその表現
  一 万葉集と八代集の表現の相違
  二 万葉集の類句と古代的象徴表現
   1 〈恋(をし)すれば〉
   2 〈恋もするかも(かな)〉〈恋(を)もわれはするかも(かな)〉
   3 〈恋は〉〈わが恋は〉〈(わが)恋ふらくは〉
  三 古代的思考と恋の歌の表現
初出一覧
索引
あとがき
著者和田明美 著
発行年月日1996年11月30日
頁数292頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1010-0