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話しことば教育の実践に関する研究

大正期から昭和30年代の実践事例を中心に

定価:本体 17,500 円+税
大正期より昭和30年代における先駆的な「話しことば教育」実践の事例研究。それらの様相を明らかにし、特質を具体的に分析した。未発表の第一次資料を多数収録。

【著者略歴】
有働玲子(うどう れいこ)
1954年4月 東京都に生まれる。
1976年3月 東京学芸大学教育学部国語科卒業
1978年3月 東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程国語教育専攻修了
2009年3月 兵庫教育大学連合大学院博士課程言語系修了
博士(学校教育学)
職歴 埼玉県公立高等学校、東京都公立中学校を経て、
1991年4月 聖徳大学短期大学部講師に着任。
2010年 聖徳大学児童学部教授、現在に至る。
目次を表示します。
序章 ―研究の目的・課題・方法・意義―
 第一節 本研究の目的
 第二節 本研究の課題と史的区分
  (1)話しことば教育の実践の模索期―大正期―
  (2)話しことば教育の実践の発展期―昭和初期―
  (3)話しことば教育の実践の雌伏期(戦時下)―国民学校期―
 第三節 本研究の方法と先行研究
 第四節 本研究の意義
第一章 話しことば教育の実践の模索期―自己表現への着目・大正期―
 はじめに
 第一節 大正期の話しことば教育について
  (1)実践の模索期としての大正期
  (2)大正期の四つの潮流
  (3)話しことば教育の個別実践の背景
 第二節 口演童話の指導の系列―下位春吉・水田光を中心に
  (1)口演童話に対する評価
  (2)大正期の口演童話運動の広がり
  (3)児童文化としての「口演」体験の教育的意義
  (4)大塚講話会の周辺―下位春吉の口演童話家としての独自性
  (5)『お噺の仕方』の先駆性
  (6)お話の翻訳家―水田光(山崎光子)
  (7)『お話の研究』の口演性
  (8)口演童話の必要性
 第三節 児童の表現としての話しことば指導の重視―飯田恒作を中心に
  (1)話しことば指導―東京高等師範学校附属小学校訓導・飯田恒作の試み
  (2)東京高等師範学校附属小学校での実践―話方と表現科の関連
  (3)児童の表現の重視―話しことば教育の重視―
  (4)飯田恒作の指導による児童の話しの事例
  (5)東京高等師範学校附属小学校のカリキュラム―「表現科」の位置
 第四節 児童の「内的発表」指導の重視―友納友次郎を中心に
  (1)広島高等師範学校附属小学校訓導・友納友次郎の実践
  (2)児童の「内的発表」と「外的発表」―『尋常小学校話方授書』より
  (3)友納友次郎の指導による児童の事例
 第五節 児童の話しことば指導の系統性を目指す実践―田中確治(確一)・中井新三郎を中心に
  (1)茨城県女子師範学校訓導・田中確治(確一)の実践
  (2)茨城県太田尋常高等小学校の指導の特色
  (3)中井新三郎の教育課程の「話方教授細目」の位置づけ
 第六節 話しことば指導の内容の探求を目指す―福田謹四郎・稲垣太吉・赤塚吉次郎・青山師範学校附属小学校を中心に
  (1)対話意識を目指す―福田謹四郎の実践
  (2)入門期指導の必要性―稲垣太吉の実践
  (3)範話の必要性―赤塚吉次郎の実践
  (4)入門期の綴り方との関連―青山師範学校附属小学校の実践
第二章 話しことば教育の実践の発展期―個別性と普遍性・昭和初期―
 はじめに
 第一節 前期からの話しことば指導の発展と継承
  (1)昭和初期の社会状況と話しことば指導
  (2)柏熊俊司の指導による児童の事例
  (3)実験教育における話しことば指導―児童の村小学校教師・峰地光重を中心にして
  (4)飯田恒作の表現指導の発展性
  (5)児童の生活の重視―遠藤熊吉の『言語教育の理論及び實際』より
 第二節 話しことばの記録への着目―標準朗読・児童綴り方レコードを中心に
  (1)話しことば指導の記録への着目―音声言語教材による話しことば指導
  (2)昭和初期の社会状況―音声学協会の設立
  (3)ラジオ放送による話しことば指導の事例―国定読本の朗読番組
  (4)ラジオ放送による話しことば指導の事例―児童を対象にした教材
  (5)レコードによる話しことば指導の事例―東京高等師範学校附属小学校児童による「標準朗読・児童綴り方レコード」より
  (6)ラジオ・レコードを用いた昭和初期の話しことば指導―綴り方指導との関連性
  (7)レコードによる話しことば指導の特色―理解と表現の融合として
  (8)昭和初期の話しことば指導の特色―表現指導との融合
  (9)次時代の話しことば指導への提言
 第三節 話しことば指導とサクラ読本
  (1)サクラ読本における「話しことば指導」
  (2)「言語活動」の重視―話しことば指導との関係
 第四節 昭和初期における朗読指導―神保格を中心に
  (1)昭和初期における朗読指導の様相
  (2)言語学者・神保格の国語教育との関わり
  (3)当時の朗読指導書の様相
  (4)朗読指導の重視―東京高等師範学校の教師教育として
  (5)神保格の朗読指導の特色―『話言葉の研究と実際』より
  (6)神保格が児童に強調した指導内容―「アクセント」「発音」の指導から「断続・速度・抑揚調子」の指導へ
  (7)神保格の目指した模範朗読指導―『読本の朗読法』より
第三章 話しことば教育の実践の雌伏期―全体主義・国粋主義の影響・国民学校期―
 はじめに
 第一節 試案実践期―形式を限定した話しことば指導
  (1)国粋主義による「国語」観―山田孝雄・安藤正次など
  (2)「国語」の立場からの話しことば指導―保科孝一など
  (3)言語教育の立場からの「国語」の話しことば指導―輿水実を中心にして
  (4)社会的な潮流の中での「国語」の話しことば指導
 第二節 話しことば教育の推進―『コトバ』『教室』を中心に
  (1)国民科国語と『コトバ』『教室』に掲載された事例
  (2)「純正日本語」の確立を目指す立場と語法指導を目指す立場
  (3)言語生活に根差した理論と指導方法
  (4)輿水実の話しことば指導観―揺れと「時局」
 第三節 話しことば指導の事例―朗読指導を中心に
  (1)西尾実の話しことば指導の意識
  (2)読むことの指導と朗読の指導との融合―田中豊太郎の試み
  (3)一般小学校の朗読指導事例―杉並第五国民学校における詩の指導案
  (4)社会教育運動―国民詩の朗読運動
 第四節 話しことば指導の事例―東京府杉並第五国民学校の朗読指導における戦中から戦後への継続性
  (1)形式を尊重する指導―カリキュラムの中の表現活動の位置づけ
  (2)「時局」の限界の中での試み―東京府杉並第五国民学校の特異性
  (3)継承されていく話しことば指導の形成―戦後の杉並第五小学校のカリキュラム
第四章 話しことば教育の実践の復興期―戦前との断絶と継承・戦後期(昭和20-30年代)―
 はじめに
 第一節 国語教育における話しことば教育の位置
  (1)昭和20年代―経験主義の影響
  (2)昭和30年代―能力主義の影響
 第二節 戦後期の話しことば教育と聞くことの指導の重視
  (1)米国教育使節団の報告―聞くことの指導の重視
  (2)理想的な話しことば教育―ヴァージニアプランの一例
  (3)文部省が目指した話しことば教育―石井庄司が受けたサジェッション
  (4)聞くことの系統的指導の事例―香川県国語科教育課程(試案)と長野県立教育研究所案
  (5)1951年(昭和26)版学習指導要領と話すこと・聞くことの指導
  (6)戦後の話しことば指導―古田拡の「聞くこと」の指導
  (7)学力テストの話しことばの項目―聞くこと・話すこと
  (8)揺れる話しことば指導―具体的な指導
 第三節 昭和20年代の話しことば教育―「批判的に聞く」ことの指導
  (1)「批判的に聞く」ことを指導する意義
  (2)昭和20年代の話しことば指導と聞くことの指導―
  (3)先駆的な話しことば教育事例―中央区立月島第二中学校のカリキュラム
 第四節 昭和20年代における「話すこと」「聞くこと」の授業実践―東京都杉並区を中心にして
  (1)昭和20年代の国語教育における授業実践
  (2)『国語科における基礎的指導技術』の構成
  (3)『国語科における基礎的指導技術』低学年の部の指導の内容
  (4)『国語科における基礎的指導技術』低学年の部の表現指導
  (5)まとめと今後の示唆
 第五節 昭和30年代の話すこと・聞くことの先駆的実践―東京都杉並区を中心にして
  (1)吉田瑞穂の影響―杉並区における先駆的実践家(一)
  (2)西村省吾の影響―杉並区における先駆的実践家(二)
  (3)視聴覚教具の先駆性―杉並区視聴覚教育部と国語教育部との関連
  (4)当時の視聴覚教育と話しことば教育―国語教育の教具の工夫
  (5)先駆的指導事例―杉並区済美小学校教諭・関口重平による口頭作文指導
  (6)話しことばの学習を定着させる三つの方針―関口重平の教材開発事例
  (7)昭和20・30年代における話しことばの実践事例と教材開発事例の今日的意義
終章 終わりに
 第一節 本論文における話しことば教育の総括
 第二節 話しことば教育の成果
 第三節 話しことば教育の展望
《参考資料》
 第一章関係(大正期)
 第二章関係(昭和初期)
 第三章関係(国民学校期)
 第四章関係(戦後期)
あとがき   
著者有働玲子 著
発行年月日2011年02月28日
頁数552頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1849-6