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D・H・ロレンスの文学人類学的考察

性愛の神秘主義、ポストコロニアリズム、単独者をめぐって

定価:本体 10,000 円+税

文学人類学の視点から、ロレンスの作品を網羅的に検討し、霊魂論や性愛観にみる神秘主義や自然主義を再考し、「無場所を希求する単独者の連帯」の思想を摘出する。

【著者略歴】
大熊昭信(おおくま あきのぶ)
1944年生まれ、群馬県出身。東京都立大学大学院および東京教育大学大学院修士課程修了。佐賀大学、京都教育大学、筑波大学を経て、現在成蹊大学文学部教授、博士(文学)。
※略歴は刊行当時のものです※
目次を表示します。
序章 読むことの倫理―「作家のモラル」と「物語のモラル」
 1 「意味の過剰性」と作家の固有名
 2 神的暴力、コムニタス、構成的権力、普遍的言説そして無名性へ
 3 記号過程―権力の生成と解体のメカニズム
 4 存在感―根源的と習慣的
 5 存在感、存在観、実在感そして無名性へ
 6 単独者
 7 無場所を求める単独者―『死んだ男』とユートピア
第一章 ロレンスの偽神学―自我を呪縛/解縛する言説
 1 ハロルド・ブルームの〈生-政治〉
 2 ロレンスの霊魂論―soul,spirit,bodyをめぐって
 3 三位一体論―「トマス・ハーディ研究」と『息子たちと恋人たち』への「序文」
 4 四極構造―『無意識の幻想』の「聖霊」論
 5 呪縛する記号過程とそれからの開放―三極構造と四極構造
 6 「人間と機械」と「福音書的動物」を読む
 7 序文「現在の詩」の意味するもの
第二章 ロレンスの性愛の神秘主義
 1 性愛の否定神学
 2 性愛その儀礼の過程
 3 『みろ、俺たちは生き延びた』―性愛の神秘主義の確立
 4 『息子たちと恋人たち』―ポール、ミリアム、クララ
 5 「非人格的愛」の方へ―『虹』の三つの性愛の形
 6 「どこにもない」が「どこにでもある」―アーシュラとバーキンの性愛の否定神学
 7 「情欲の純化の諸段階」―コニーとオリバーの場合
第三章 言説の政治学―階級、民主主義、ファシズム、ポストコロニアリズム
 1 ロレンスの〈生-政治〉
 2 『息子たちと恋人たち』―登場人物の政治的寓意
 3 アルヴィナとチッチョと旅芸人の一座―『失踪した女』の言説の政治学
  (1)アルヴィナの政治的表象
  (2)旅芸人の一座の寓意
 4 言語の寓意―『カンガルー』の言説の政治的磁場
  (1)求心力―ヘゲモニーとしての英語
  (2)遠心力―英語の土着化
  (3)言説の磁場の外へ
第四章 ロレンスと歴史意識―アジア・フォービアとダーウィニズム
 1 現実感をめぐって―ロレンスと生の直接性
 2 『アーロンの杖』のアジア・フォービアとその克服の論理
 3 『セイント・モー』のテキストの亀裂
 4 アジア・フォービアとダーウィニズム
 5 生存競争から生の根源へ
 6 社会ダーウィニズムと『白孔雀』の動植物の意味
  (1)孔雀の寓意
  (2)小動物たちのダーウィニズム
  (3)階級闘争
 7 『翼ある蛇』―世俗的国家に抗して
  (1)神話の絶対化と相対化
  (2)ポスト植民地主義的な手法としての自由間接話法
第五章 無名性
 1 単独者と無名性
 2 単独者の肖像
 3 作家の無名性
 4 『侵入者』―改作という技法
  (1)神話という参照枠
  (2)ヘレナ―夢想の言説への自己幽閉者
  (3)言説の呪縛とその外部
  (4)個人的営為としての創作をこえて
 5 『ブッシュの少年』―共作という手法
  (1)植民者のポストコロニアリズム
  (2)宗主国文化と植民地文化を超えて
  (3)言説の政治学
  (4)脱欧入墺の言説―霊魂、精神、肉体をめぐって
  (5)無場所を希求する無名の単独者の連帯

参照文献
あとがき
著者大熊昭信 著
発行年月日2009年03月15日
頁数412頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1723-9