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平安朝天暦期の文壇

定価: 13,200 (本体 12,000 円+税)

公宴詩の形式や詩人の述懐を分析する一方で、和歌における漢詩文表現や歌人の不遇感を解明する。時代によって紡ぎ出された表現とは。天暦詩歌の光と影に迫る。

【著者略歴】
小野泰央(おの やすお)
1965年 山梨県韮崎市生まれ
1995年 中央大学大学院文学研究科国文学専攻博士課程後期単位取得満期退学
現 在  国立群馬工業高等専門学校准教授
      博士(文学)
目次を表示します。
序章 平安朝漢文学史上の天暦期

第一章 人物論
 第一節 村上天皇論
  はじめに 一、文芸活動 二、文人との関係―文芸の督励― 三、遊戯作品 むすび
 第二節 大江朝綱論
  はじめに 一、家系 二、修学時代 三、儒者時代 むすび
 第三節 大江維時論―「稽古の力」―
  はじめに 一、家系 二、儒者時代 三、維時と朝綱 四、維時と天暦の文人 五、「稽古の力」 むすび
 第四節 菅原文時論
  はじめに 一、文才 二、累代儒者意識 三、自負と不遇感 四、晩年の閑居 むすび

第二章 漢詩文論
漢詩文論1―詩文の形式と表現―
 第一節 平安朝句題詩の制約―題字を発句に載せること―
  はじめに 一、中国の句題詩 二、日本の句題詩 三、佳句暗合 四、抄句意識 五、句題と天暦期 むすび
 第二節 公宴詩における「述懐」について 
  はじめに 一、平安朝公宴詩の「述懐」 二、申文と詩の自注と詩序 三、徳政および好文 四、詞華集 むすび
 第三節 「天徳闘詩」の結句―橘直幹の「述懐」について―
  はじめに 一、「天徳闘詩」の結句 二、直幹の結句と申文 三、直幹が望んだもの むすび
 第四節 菅原文時の文華意識
  はじめに 一、作品の傾向 二、推敲の手法 三、故事の引用方法 むすび
 第五節 申文の誇張表現―『本朝文粋』を中心として―
  はじめに 一、恣意的な故実引用 二、故実の付会・曲解 三、経歴の改竄 むすび
漢詩文論2―白詩受容考―
 第六節 『白氏文集』表現受容
  はじめに 一、白詩句の句題 二、句題による表現受容 三、白詩受容史における史的位置づけ むすび
 第七節 『白氏文集』諷諭詩受容
  はじめに 一、朝廷批判 二、諷諭詩受容 三、寛平期の社会詩 四、諷諭詩受容の実態 むすび
 第八節 『千載佳句』について
  はじめに 一、同時代における流行 二、前代作品の影響 三、重層表現 むすび
 第九節 兼明親王と『白氏文集』閑適作品
  はじめに 一、閑適 二、離俗感 三、身分地位―「池亭記」と「池上篇」― 四、「池亭記」から「兎裘賦」へ 五、勧学会へ むすび
  
第三章 和歌論
 第一節 後撰集時代前後の和歌と『白氏文集』
  はじめに 一、白詩句の変容 二、場について 三、白詩句の共有 むすび
 第二節 申文としての和歌―古今集時代から後撰集時代にかけて―
  はじめに 一、『古今集』撰進以前の不遇歌 二、奏上の和歌 三、申文に付した和歌 四、不遇歌の漢詩文表現 むすび
 第三節 『大江千里集』「詠懐」部の表現と主題―天暦期に先駆ける和歌の述懐として―
  はじめに 一、「詠懐」部と句題和歌 二、「詠懐」部の漢詩文表現 三、「添ふる歌」の「述懐」 四、「添ふる歌」と漢詩文 むすび
 第四節 『元輔集』にみる漢詩文表現―漢詩文の浸透度を中心として―
  はじめに 一、同時代における共通漢詩文受容 二、漢詩文受容の変遷 三、漢詩文表現の変容 四、漢詩文受容の動機―嘆老と沈淪― むすび
 第五節 「よのなかをなににたとへむ」歌連作―源順を中心にして―
  はじめに 一、漢詩による影響 二、源順と白楽天 三、源順の他の作品 むすび
 第六節 『蜻蛉日記』の和歌と漢詩文
  はじめに 一、漢詩文表現 二、関連受容 三、類書 むすび
 第七節 和歌から漢詩へ―『和漢朗詠集』「三月尽」所収「留春不用関城固」の解釈―
  はじめに 一、「三月尽」 二、「関」の歌 三、和臭作品 四、橘在列と源順 むすび

終章 平安朝のなかの天暦期文壇
  はじめに 一、天暦期以前―詩臣菅原道真― 二、天暦期文壇の表裏 三、一条朝へ むすび

初出一覧
索引
付記

   

 
著者小野泰央 著
発行年月日2008年10月15日
頁数418頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1696-6