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高千穂夜神楽の健康心理学的研究

神と人のヘルスケア・システム

定価: 15,400 (本体 14,000 円+税)
綿密なフィールドワークによって得られた質的・量的データをもとに高千穂夜神楽のヘルスケア効果を考察。心理学的見地からの初めての本格的な祭り(神楽)研究。

【著者略歴】
福島明子(ふくしま めいこ)
作新学院大学人間文化学部助教授
博士(学術):2001年3月お茶の水女子大学
専攻は健康心理学

北九州大学(現・北九州市立大学)外国語学部米英学科を卒業後、国際電信電話株式会社(現・KDDI)勤務、海外放浪、ツアーコンダクターなどを経てフリーライターに。フリーライターのかたわら法政大学文学部教育学科心理学コース卒業、お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程修了。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科文部科学教官助手を経て、2002年4月より現職。
目次を表示します。
はじめに
第Ⅰ部 目的と方法
序章 研究の発端
第1章 本書の目的と方法
 第1節 問題
  1.治療法の分類 
  2.Kleinmanのヘルスケア・システム
 第2節 目的
  1.祭りと健康
  2.研究対象の概要
  3.リサーチ・クエスチョン
 第3節 高千穂夜神楽を研究テーマとする理由と意義
 第4節 研究方法
 第5節 本書の構成とデータの表記法
第Ⅱ部 高千穂夜神楽
 第Ⅱ部の構成
第2章 神楽とは
 第1節 祭りと民俗芸能
 第2節 神楽
第3章 神と人が織りなす高千穂夜神楽の世界
 第1節 目的と方法
 第2節 神迎えの準備
 第3節 舞い入れ
 第4節 33番の神楽の始まり
  1. 命づけ
  2.『彦舞い』
  3.新人の登竜門『鎮守』
  4.おもて様と平手
  5.『弓正護』
  6.『袖花』、『本花』、『五穀』
  7.笛太鼓、神楽歌
 第5節 夜更け
  1.消えた神楽セリ
  2.神楽宿の外の賑わい
  3.深夜のお楽しみ『酒こしの舞い』こと『御神体』
 第6節 夜明け前
 第7節 夜が明ける 
  1.岩戸五番 
  2.老ホシャドンの舞う『大神』、『日の前』
  3.紙吹雪の舞うフィナーレ『注連口』、『繰り下ろし』、『雲下ろし』
 第8節 宴のあと 
 第9節 まとめ
第Ⅲ部 高千穂夜神楽を支えるコミュニティと集団 
 第Ⅲ部の構成
第4章 高千穂町
 第1節 目的と方法
 第2節 自然環境
 第3節 歴史
 第4節 産業その他
第5章 夜神楽の運営
 第1節 問題と目的
 第2節 方法
  1.調査地域
  2.調査方法
 第3節 各村の概要、行政、日常的交流
  1.各村の概要および行政 
  2.日常的交流 
 第4節 夜神楽の運営法
  1.押方 
  2.野方野 
  3.浅ヶ部 
  4.山中神社 
 第5節 まとめ 
第6章 神楽保存会
 第1節 問題と目的
 第2節 方法
  1.調査の対象と方法 
  2.調査内容 
 第3節 各神楽保存会の概要
  1.氏子の範囲 
  2.会員構成
  3.神楽 
 第4節 各神楽保存会の特徴
  1.押方 
  2.野方野 
  3.浅ヶ部 
  4.山中神社 
  5.その他 
 第5節 まとめ
第7章 夜神楽とコミュニティ意識および集団凝集性
 第1節 目的
 第2節 押方
  1.夜神楽の特徴とコミュニティ意識 
  2.神楽保存会の集団凝集性 
 第3節 野方野
  1.夜神楽の特徴とコミュニティ意識
  2.神楽保存会の集団凝集性
 第4節 浅ヶ部
  1.夜神楽の特徴とコミュニティ意識
  2.神楽保存会の集団凝集性
 第5節 山中神社
  1.夜神楽の特徴とコミュニティ意識
  2.神楽保存会の集団凝集性
 第6節 まとめ 
第Ⅳ部 高千穂夜神楽の担い手たち
 第Ⅳ部の構成
第8章 客神としてのホシヤ奉仕者ドン殿
 第1節 目的と方法
 第2節「神楽バカ」とよばれる男たち
 第3節 我が人生は神楽とともに
  1.野方野神楽保存会の師匠・甲斐締さん
  2.浅ヶ部神楽保存会の師匠・熊谷誠さん
 第4節 押方神楽保存会の変遷
  1.土臭かった昔のホシャドン 
  2.神楽保存会の民主化
  3.同期が我が道を歩み始めるまで
  4.会の若返り 
 第5節 ホシャドンの妻
  1.夫について 
  2.妻自身について 
 第6節 まとめ 
第9章 客神を迎える主・神楽宿
 第1節 目的と方法
 第2節 神楽宿の家族
 第3節 神様ごとだから 
 第4節 亡き夫に捧げた夜神楽
 第5節 4年に1度の神楽宿
 第6節「神楽の館」で村おこし
 第7節 まとめ
第10章 観客
 第1節 目的と方法
 第2節 昔の夜神楽
  1.神楽セリ 
  2.男女の出会いの場 
 第3節 神楽の論客
 第4節 観光客
  1.インタビューより
  2.質問紙調査より 
  3.ホシャドンに対する意識
 第5節 まとめ 
第11章 客人を迎える主・女性
 第1節 問題と目的
 第2節 方法
  1.女人禁制 
  2.「家の祭り」
 第3節 女人禁制に対する意識
  1.ホシャドンへのインタビュー 
  2.ホシャドンの妻への質問紙調査
  3.女人禁制に対する一考察 
 第4節「家の祭り」
  1.家に客を招待することに対する意識
  2.女主人の2カ月間 
  3. 結婚40年後に見た夫の舞い姿 
 第5節 まとめ 
第12章 夜神楽に対する意識と夜神楽による欲求充足
 第1節 問題と目的
 第2節 方法
  1.調査対象と手続き 
  2.調査内容 
 第3節 結果
  1.夜神楽に対する意識
  2.夜神楽による欲求充足
 第4節 考察
第13章 夜神楽による気分と活動の変化
 第1節 問題と目的
 第2節 方法
  1.調査手続き 
  2.被調査者 
  3.調査内容 
  4.分析方法 
 第3節 結果
  1.気分と活動の変化
  2.夜神楽への参与と気分、活動
  3.抑うつと活動 
  4.地域観と気分
 第4節 考察
第14章 夜神楽と家族および社会的ネットワーク
 第1節 家族レベルのヘルスケア効果
  1.家族の凝集性
  2.自宅の開放
  3.家族システムの均衡
 第2節 社会的ネットワーク 
 第3節 まとめ
第Ⅴ部 高千穂夜神楽のヘルスケア効果
 第Ⅴ部の構成
第15章 ヘルスケアとしての高千穂夜神楽
 第1節 時代特有の特徴と意義
  1.山の暮らしと夜神楽 
  2.戦争と夜神楽 
  3.高度成長期以降の夜神楽 
 第2節 身体的なヘルスケア効果
  1.身体感覚の変化 
  2.活動の質と量の変化 
  3.個人空間の変化 
  4.身体的感情表出
 第3節 心理的なヘルスケア効果
  1.自尊心および生きがい
  2.気分の高揚 
 第4節 社会的なヘルスケア効果
  1.他者との交流 
  2.役割 
  3.所属感 
  4.アイデンティティの獲得と維持 
  5.ライフサイクルにおける発達課題の達成 
 第5節 まとめ
終 章 神々と人々が交わる時空間・高千穂夜神楽
 第1節 知見のまとめ 
 第2節 Kleinmanのヘルスケア・システム理論を用いた有効性
 第3節「民俗心理学」の提唱に向けて
文献
おわりに 
謝辞
あとがき―あの頃、そしてこれから
初出一覧
付録 1.高千穂夜神楽の心理社会的研究調査票(奉仕者用)
   2.高千穂夜神楽の心理社会的研究調査票(奉仕者の配偶者用)
   3.高千穂夜神楽の心理社会的研究調査票(神楽宿用)
   4.高千穂夜神楽の心理社会的研究調査票(観光客用)
   5.地域社会と精神的健康調査票
   6.高千穂夜神楽の心理学的研究調査票
著者福島明子 著
発行年月日2003年03月15日
頁数524頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1371-2