博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

学習障害研究における人間精神学の展開

新仮説の提唱および学習適応性尺度の構成

定価: 9,020 (本体 8,200 円+税)
LD(ADHDを含む)児教育現場の混迷。豊富なデータや事例に基づき、これらの子どもたちに関わるすべての人々に、理論・実践両面から大きな示唆を与える。

【著者略歴】
中塚善次郎(なかつか ぜんじろう)
1938年 岡山県に生まれる
1976年 大阪市立大学大学院博士課程(心理学専攻)修了
1982年 文学博士
1988年 得度・僧階取得、法名善成(ぜんじょう)
現在 鳴門教育大学障害児教育講座教授

小川 敦(おがわ あつし)
1965年 神奈川県に生まれる
2000年 鳴門教育大学大学院学校教育研究科(障害児教育専攻)修了
現在 鳴門教育大学学校教育学部研究補助員
目次を表示します。
序章 本書のもつ意義
 第1節 「流行」する学習障害
 第2節 人間精神学に対する本研究の意義と各章の概要
 第3節 出典となった論文
理論編
第1章 従来の学習障害研究及び教育実践に見られる問題点と限界
 第1節 学習障害をめぐる現状
  1.「学習障害」に関する用語の変遷
  2.学習障害の定義とその変化
  3.学習障害をめぐる混乱
 第2節 日本の学習障害研究と教育実践
  1.情報処理過程への着目 
  2.神経心理学的見地
  3.従来の流れを乗り越えようとする動き
  4.学習障害児教育の現状
  5.包括的理解の必要性
第2章 学習障害研究に対する心理学モデルの提示
 第1節 中塚(1993c;1994a)のモデルと理論の概要 
  1.心理学的モデルの欠如とその必要性
  2.人間精神の心理学モデルと自己・他己双対理論 
  3.モデル、理論の基本的な考え方 
  4.モデル構築にいたる研究的基礎 
  5.人間生存の構造と生きる基本命題 
  6.人間精神の心理学モデル
第2節 モデルと理論に基づく学習障害の新解釈
  1.自我一人格障害仮説の提唱 
  2.モデル及び理論の「学習」のとらえ方
  3.「能力」をどうとらえるか
  4.文部省の「能力」観
  5.各機能領域に現れた障害
  6.従来の研究の検討
  7.各モデルの限界
  8.自我―人格機能の重要性
第3節 症例に見る「自我―人格機能障害」
研究編
第3章 第1研究「学習適応性尺度」(Adjustment Scales of Learning:
ASL)の構成
 第1節 問題と目的
 第2節 方法
  1.被験者
  2.質問紙の作成と配布 
  3.回収結果
  4.分析 
  5.結果と考察
第4章 第2研究 ASLの適用による「自我―人格障害仮説」の検証
第1節 問題と目的
第2節 方法
1.質問紙の作成と配布、及び被験者
  2.回収結果
  3.分析
  4.結果と考察
第3節 学習障害児診断法構築の試み 
総合考察
第5章 教育への提言 
 第1節 自我―人格障害仮説に基づく学習障害児教育のあり方
  1.学習障害児教育の目標 
  2.学習障害研究と教育の現状にある限界 
 第2節 学習障害児と「他己」教育
  1.実践を支える思想
2.自己肥大社会の危機
3.他己回復の必要性 
4.自我―人格教育のあり方
5.「情育」との関連
第6章 学習障害に関する心理学的、哲学的、教育学的考察
 第1節 保護者の悩み
 第2節 認知―言語障害説
 第3節 認知障害説の限界
 第4節 自我―人格障害仮説の提唱
 第5節 仮説の検証と心理測定尺度の構成
第6節 学習障害児の教育に望まれること
第7節 学習障害児と「人格の完成」
第7章 学習障害児が問いかけること
 第1節 学校教育は変わるか
 第2節 現代社会の抱える病理
 第3節 目指すべき生き方は何か
終章 学習障害児の福祉と安寧を目指して
文献
謝辞 
資料
著者中塚善次郎・小川敦 著
発行年月日2001年09月30日
頁数254頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1276-0