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源氏物語表現論

定価: 13,200 (本体 12,000 円+税)
源氏物語は言葉を厳密に使い分けることで豊かな表現世界を構築している。特定の人物や言葉、事項に注目して物語理解のための問題点を詳細に例証、考察する。

【著者略歴】
池田 節子(いけだ せつこ)
1955年 東京都生まれ
1977年 東京大学文学部国文学科卒業
1987年 東京大学大学院博士課程(国文学)単位修得退学
現在、共立女子短期大学・放送大学非常勤講師
目次を表示します。
はじめに
第一篇 源氏物語の言葉
第一章 同語反復表現―同語の結び付きによるもう一つの表現―
  一 はじめに / 二 研究史 / 三 同語群による表現 /
 四 同語反復への積極性 / 五 遠隔の同語反復―薫の「恥づかし」
「恥づかしげ」― / 六 特定の人間関係における同語反復 /
 七 『竹取物語』『晴蛤日記』の同語反復表現 / 八 まとめ
第二章 場面と物語の反復―柏木物語の同語反復を中心に―
  一 はじめに / 二 車争い直後の訪問と野宮訪問 / 
三 賢木巻における源氏と藤壺の対面 / 四 女三の宮への見舞い/
 五 柏木物語の特殊性 / 六 まとめ
第三章 心情語―「心」の付く形容詞―
  一 はじめに / 二 『源氏物語』『蜻蛉日記』『枕草子』における
形容語の用例数の比較 / 三 「憂し」「心憂し」 /
 四 「恥づかし」「心恥づかし」/ 五 「苦し」「心苦し」「いとほ
し」 / 六 まとめ
第四章 『紫式部日記』の日記的部分の表現―『栄花物語』「はつはな」
と比較して―
  一 はじめに / 二 五壇の御修法の段の比較 / 三 女房の記事
をめぐって / 四 対読者意識 / 五 『紫式部日記』の備忘
録的要素 / 六 『紫式部日記』の執筆動機をめぐって / 
七 終わりに
第五章 紫式部の言葉―『源氏物語』『紫式部日記』『栄花物語』を比較
して―
  一 はじめに/ 二 『紫式部日記』の冒頭 / 三 凝集する表現/
  四 時間の逆行/ 五 『源氏物語』と『紫式部日記』の表現の相違/
  六 終わりに
第六章 『蜻蛉日記』の表現―『源氏物語』との共通点と相違点―
  一 はじめに/ 二 反復表現/ 三 場面の反復/ 四 挿入句/
五 凝集する表現 / 六 相違点 / 七 序文 / 八 終わりに
第二篇 主題と人物
第七章 光源氏と内大臣―少女巻から藤裏葉巻まで―
  一 「御仲らひ」の物語への変化 / 二 少女・梅枝・藤裏葉巻の
「夕霧恋物語」―内大臣家の人間像― / 三 玉鬘十帖における
「夕霧恋物語」 / 四 光源氏の相対化 / 五 内大臣の成長/
 六 批判し、批判される人間像 / 七 終わりに
第八章 「いまめかし」考―玉鬘十帖の光源氏―
  一 はじめに / 二 はめ言葉としての「いまめかし」 /
 三 紫の上における「いまめかし」 / 四 権勢の証としての「いま
めかし」 / 五 光源氏の「いまめかし」 / 六 権勢家とし
ての光源氏 / 七 内大臣一族の人数 / 八 終わりに
第九章 女三の宮造型の諸問題―紫の上と比較して―
  一 はじめに / 二 幼稚性について / 三 政治性と高貴性 /  四 女三の宮の軌跡 / 五 終わりに
第十章 光源氏から薫へ―恋愛と道心の面から―
  一 はじめに / 二 光源氏の「まめ」 / 三 光源氏と朝顔の
姫君、夕霧と落葉の宮、薫と大君の関係 / 四 父母の欠落 /
 五 光源氏の道心/ 六 薫の道心の理由 / 七 薫の道心の行方/  八 終わりに
第十一章 大君の結婚拒否―朝顔の姫君・落葉の宮・紫の上からの連続―
  一 はじめに / 二 結婚拒否の理由―中の君の結婚以前― / 
三 匂宮と中の君の結婚後の拒否理由/ 四 薫が大君に求めたもの/
 五 山里の美女の現実 / 六 終わりに
第十二章 「似ている」人々―光源氏と冷泉帝を中心に―
  一 はじめに / 二 先行物語の場合 / 三 日記文学の場合 /  四 『源氏物語』の場合 / 五 形が似ているものは同一 / 
六 朱雀帝と桐壺院 / 七 薫をめぐる「似ている」人々 / 
八 宇治の三姉妹 / 九 終わりに
第三篇 源氏物語の月日設定 
第十三章 月設定のしくみ
―五、六、七月の欠落、および季節と人の一生の重ね合わせ―
   一 はじめに / 二 『源氏物語』の五、六、七月の特徴 / 
三 人の一生と一年の月日の対応 / 四 月日設定の原則に合致し
ないもの / 五 平安時代における元服・入内などの月日 /
 六 哀傷歌の季節 / 七 中国思想の影響 / 八 終わりに
第十四章 一か月の日々
   一 はじめに / 二 『源氏物語』における日付表現 / 
三 上旬・中旬・下旬の配分 / 四 生死の日 / 五 終わりに
付篇 平安文学の言葉
〈心情〉あぢきなし あやし いとほし・心苦し 憂し・つらし すずろ
   つれなし らうたし・らうたげ
〈美〉なまめく・なまめかし みやび らうらうじ
〈生活〉元服・裳着 手習 犀風・屏風歌 物忌・方違え
〈その他〉按察使
初出一覧
あとがき
著者池田節子 著
発行年月日2000年12月28日
頁数386頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1243-2