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フランスの学校教育におけるキャリア教育の成立と展開

定価: 11,000 (本体 10,000 円+税)

フランスにおけるキャリア教育について、その成立から現代に至るまでを制度と実践の両面から検討。進路形成に関する機能の変容とその帰結を明らかにする。

☆★☆2016年度日本産業教育学会細谷賞(学会賞)受賞☆★☆

【著者略歴】
京免徹雄(きょうめん てつお)
愛知教育大学学校教育講座講師。博士(教育学)。
1982年広島生まれ。2011年に早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程を単位取得退学,郡山女子大学短期大学部講師を経て,2014年から現職。現在,日本キャリア教育学会理事(事務局長),日本特別活動学会理事。専門はキャリア教育・特別活動の比較研究。
※略歴は刊行当時のものです※
目次を表示します。
序章 本書の基本的枠組み
 1.問題の所在
 2.本書のキーワードと目的
 3.先行研究との関係
 4.本書の意義―国際的視野にみるフランスの進路指導―
第1章 学校教育における職業指導と進学指導の成立
 第1節 学校教育における「職業指導」概念の生成―1871年以前―
  1.アンシャン・レジーム期における職業指導
  2.フランス革命期における職業指導
  3.産業革命期における職業指導
  4.第二共和政から第三共和政にかけての職業指導
 第2節 学校教育における職業指導の発展―1871年から1910年代―
  1.職業指導としての「手工」の条件
  2.職業学校における「手工」の実態
  3.普通義務教育における職業指導と「手工」
  4.教科書を用いた職業指導
 第3節 職業指導の校外移転と進学指導の誕生―1920年代から1945年―
  1.学校教育における職業指導の盛衰
  2.職業指導センターにおける職業指導の展開
  3.中等教育における進学指導の成立
  4.ゼイ改革による進学指導の発展に向けた萌芽
 小結―戦前における「診断的概念」と「教育的概念」の関係―
第2章 戦後期における進路決定システムの形成
 第1節 ベルトワン改革による「観察課程」の設置
  1.観察課程設置の背景と経緯
  2.小学校における進路指導
  3.観察課程における進路指導
  4.進路に関する不平等が発生するメカニズム
 第2節 フーシエ改革による観察課程の修正とその影響
  1.フーシエ改革の背景と内容
  2.観察指導課程における進路指導の方法
  3.学級評議会の運営と課題
  4.社会階層と生徒の進路形成
  5.進路指導による不平等拡大のメカニズム
 第3節 アビ改革による診断的進学指導の確立とその綻び
  1.アビ改革の背景と内容
  2.統一コレージュにおける進路指導
  3.進路選択の実態からみたアビ改革の影響
  4.『シュワルツ報告』にみる移行支援
  5.『シュワルツ報告』の影響―「診断的概念」脱却に向けて―
 小結―戦後における「診断的概念」と「教育的概念」の関係―
第3章 「進路教育」による進路指導モデルの転換
 第1節 「進路教育」の理念・理論と導入経緯
  1.「進路教育」の理念とその限界
  2.「進路教育」の基盤となる理論
  3.進路指導政策にみる「進路教育」導入の経緯
  4.研究開発校における「進路教育」の試行
 第2節 「進路教育」のカリキュラム構造
  1.進路指導における「進路教育」の位置
  2.「進路教育」の教育課程基準
  3.トレンズ中学校の学校教育プロジェクト
  4.ル・ルドゥネ中学校の学校教育プロジェクト
  5.ジェラール・フィリップ中学校の学校教育プロジェクト
  6.「進路教育」における教育課程編成の特色
 第3節 「進路教育」における教員の役割
  1.進路指導にみる教員の役割変化
  2.「進路教育」に対する教員の意識
  3.「進路教育」と「学級生活の時間」の関係
  4.「学級生活の時間」を用いた「進路教育」の実践
 小結―進路指導史にみる「進路教育」導入の意味―
第4章 「職業」による進路指導と教科指導の融合
 第1節 科目「職業発見」における教育的進路指導
  1.「職業発見」の創設とその社会背景
  2.DP3のカリキュラム―一般教養の拡大と補完―
  3.活動ノートからみるDP3の実践原理
  4.DP6のカリキュラム―学習に対する動機付け―
  5.進路指導におけるDP3とDP6の位置
  6.「職業発見」の現実的課題
 第2節 「職業と教育・訓練の発見行程」を通じた移行支援
  1.PDMF導入の背景と経緯
  2.PDMFの基本的構造
  3.各段階におけるPDMFの展開
 第3節 教科指導を通した進路形成に向けた挑戦
  1.進路指導と教科指導の統合プロセス
  2.「職業と教育・訓練の発見行程」(PDMF)における教科指導
 小結―進路指導と教科指導の関係性の再検討―
第5章 進路指導における学校と外部機関の連携
 第1節 学校内外における進路指導心理相談員の役割
  1.情報・進路指導センター内部におけるCOPの役割
  2.学校内部におけるCOPの役割
  3.COPが直面する職務遂行上の困難
 第2節 教育困難校における教員と進路指導心理相談員との連携
  1.調査の概要と対象校の進路指導プログラム
  2.授業外における教員とCOPとの連携
  3.授業を通じた教員とCOPとの連携
  4.連携を阻害する要因とその改善策
 第3節 進路指導サービスの「質保証」をめぐる葛藤
  1.進路指導心理相談員の免許状と養成制度
  2.国立労働・職業指導研究所のCOP養成課程
  3.国家免許状創設の意義と課題
  4.欧州における進路指導の質保証に向けた動き
  5.質保証の方法―3つのパターン―
  6.COPに関する政府の事前規制
  7.進路指導サービスの評価―事前規制から事後監視へ―
 小結―「教育的概念」の具現化による連携の揺らぎ―
終章 進路指導の展開過程にみる機能変容とその帰結
 1.結論
 2.本書の課題
参考文献
関係法令
初出(関連論文)一覧
年表:フランスにおける進路指導の動き
あとがき
著者京免徹雄 著
発行年月日2015年01月31日
頁数428頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-2064-2

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