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教員自主研修法制の展開と改革への展望

行政解釈・学説・判例・運動の対立・交錯の歴史からの考察

定価:本体 11,500 円+税

前著『戦後日本教員研修制度成立過程の研究』を基盤に、戦後自主研修法制の展開を歴史的・原理的・総合的に考察。「学び続ける教員像」実現のための著者渾身の提言。

【著者略歴】
久保富三夫(くぼ ふみお)
1949年 兵庫県生まれ
1973年 京都大学経済学部卒業後、株式会社神戸製鋼所神戸製鉄所勤務を経て、
1976年 神戸市立高校教諭(兵庫商業高校、神戸商業高校、楠高校)
2004年 立命館大学教職教育推進機構教授
2008年 和歌山大学教育学部教授
2015年 帝塚山学院大学人間科学部教授  和歌山大学名誉教授
2017年 立命館大学大学院教職研究科教授 
1994年 神戸大学大学院教育学研究科修士課程修了。修士(教育学)
2002年 同大学院総合人間科学研究科博士後期課程修了。博士(学術)

主要著書・論文
・『戦後日本教員研修制度成立過程の研究』 風間書房、2005年
・「教育公務員特例法成立過程における長期研修制度構想の原理から見る制度改革の展望」(『教育学研究』第71巻第₄号、日本教育学会、2004年12月、68~79頁)
・「教員研修に関わる教育法学説の検討課題―90年代以降の判例・行政解釈等からの考察―」(『日本教育法学会年報』第36号、有斐閣、2007年3月、189~198頁)
・「免許更新制と現職研修改革」(『日本教師教育学会年報』第16号、学事出版、 2007年9月、25~32頁)
・「『学び続ける教員像』への期待と危惧―自主的・主体的研修活性化のための 必須課題」(『日本教師教育学会年報』第22号、学事出版、2013年9月、40~49頁)
目次を表示します。
序章 問題の所在と研究目的・構成
  1.問題の所在
  2.本書の目的
  3.研究対象の限定
  4.本書の構成
  5.本書の表記方法について
第1章 教職員組合の研修保障要求運動とその特質
 第1節 全国組織における研修保障要求運動
  1.第1期:教特法施行から1960年代半ばまで
  2.第2期:1960年代半ばから1970年代まで
   (1)労働条件改善・超過勤務改善運動からの自主研修保障要求
   (2)自主的教育研究活動推進運動からの自主研修保障要求
   (3)2つのルートからの自主研修保障要求結合の萌芽と停滞
   (4)研修保障要求運動停滞の要因
  3.教職員の勤務時間管理に関する立法と文部事務次官通達
第2節 地方組織における研修保障要求運動
  1.地方組織における研修保障要求運動の概観
   (1)「勤務時間内校外自主研修」の機会保障
   (2)研修費の支給
   (3)長期研修
  2.兵庫県における研修保障要求運動
   (1)運動の始まり
   (2)運動の高揚
   (3)運動の停滞と終焉
   (4)神戸市立高等学校における「研修日」獲得運動
    ①概要
    ②運動の意義と課題
 第3節 研修保障要求運動の特質
第2章 研修条項に関する行政解釈の変遷
 第1節 初期の文部省解釈
  1.教特法成立直後の文部省解釈
   (1)国公法原理との差異
   (2)研修の権利性と義務性
   (3)研修の自主性・主体性
   (4)「勤務時間内校外自主研修」
    ①職務性
    ②校長の裁量性
   (5)長期研修
  2.1950年代における文部省解釈
   (1)国公法・地公法原理との差異
   (2)研修の権利性と義務性
   (3)研修の自主性・主体性
   (4)「勤務時間内校外自主研修」
    ①職務性
    ②校長の裁量性
   (5)長期研修
 第2節 文部省解釈の転換
  1.1960年代初頭における文部省解釈の変化
   (1)国公法・地公法原理との差異
   (2)研修の権利性と義務性
   (3)研修の自主性・主体性
   (4)「勤務時間内校外自主研修」
    ①職務性
    ②校長の裁量性
   (5)長期研修
  2.文部省解釈の完全転換
   (1)国公法・地公法原理との差異
   (2)研修の権利性と義務性
   (3)研修の自主性・主体性
   (4)「勤務時間内校外自主研修」
   ①職務性
   ②校長の裁量性
  3.文部省解釈転換後の解釈整備
   (1)国公法・地公法原理との差異
   (2)研修の権利性と義務性
   (3)研修の自主性・主体性
   (4)「勤務時間内校外自主研修」
    ①職務性
    ②校長の裁量性
   (5)長期研修
 第3節 地方教育行政当局の解釈
  1.1950年代における地方教育行政解釈
   (1)国公法・地公法原理との差異
   (2)研修の権利性と義務性
   (3)研修の自主性・主体性
   (4)「勤務時間内校外自主研修」
    ①職務性
    ②校長の裁量性
  2.1960年代初頭における地方教育行政解釈
   (1)国公法・地公法原理との差異
   (2)研修の権利性と義務性
   (3)研修の自主性・主体性
   (4)「勤務時間内校外自主研修」
    ①職務性
    ②校長の裁量性
  3.文部省解釈の転換と地方教育行政解釈
   (1)国公法・地公法原理との差異
   (2)研修の権利性と義務性
   (3)研修の自主性・主体性
   (4)「勤務時間内校外自主研修」
    ①職務性
    ②校長の裁量性
   (5)長期研修
   (6)研修費
第3章 教育法学説にみる研修条項解釈
 第1節 教育法学説の形成と発展
  1.教育法学説形成以前
  2.教育法学説の概観
  3.学説の形成と発展
   (1)国公法・地公法原理との差異
   (2)自主研修と行政研修の関係(権利性と義務性、自主性・主体性)
   (3)「勤務時間内校外自主研修」
    ①職務性
    ②校長の裁量性
 第2節 教育法学説(通説)の補強学説
  1.教育法学
   (1)教師の研修権の淵源
   (2)行政解釈との接点
    ①国公法・地公法原理との差異
    ②自主研修と行政研修の関係(権利性と義務性、自主性・主体性)
    ③「勤務時間内校外自主研修」
   (3)「研修の目的性・集団性・開放性」の提言
    ①研修権の本質と目的性
    ②学校の教育責任と研修権
    ③研修権の行使と成果の公表・交流
  2.労働法学
   (1)「職務」の定義
   (2)研修の職務性
第4章 判例にみる研修条項解釈
 第1節 「研修関係裁判」の概観と先行研究
 第2節 研修条項解釈に関係する判例
 第3節 判例の争点別検討
  1.「研修関係裁判」の争点
  2.教特法、地公法・国公法、地方教育行政の優先関係
  3.初等・中等教育機関の教員と高等教育機関の教員の研修における差異
  4.研修の義務と権利の法的性質
   (1)教特法第19条の「研修に努める義務」の法的性質
   (2)研修の権利性
   (3)「研修」の語義について
  5.研修活動の職務性
  6.本属長の承認の法的性質と不承認の相当性
   (1)承認の法的性質
   (2)承認・不承認の相当性
    ①授業への支障
    ②研修内容の研修性・緊急性
   (3)不承認の告知義務
  7.教職員組合主催の教育研究集会参加のとり扱い
 第4節 判例形成と学説・行政解釈の関係性
第5章 教員研修に関わる教育法学説の検討課題
 第1節 1990年代以降の「研修関係裁判」
  1.裁判の特徴
  2.1980年代からの変化
   (1)川上教諭事件(教研参加事件)札幌高裁判決の継承
    ①「研修権」の否認
    ②「勤務時間内校外自主研修」は「職務専念義務免除」扱い
   (2)川上教諭事件(教研参加事件)札幌高裁判決からの変化
   ①1990年代初頭
   ②1993年11月以降
 第2節 教員研修政策の特徴と文部科学省の研修条項解釈
 第3節 教育法学説検討の視点
  1.「授業に支障のない限り」の解釈
  2.校長の裁量性
  3.計画書・報告書の提出
第6章 自主研修法制の実態と課題
 第1節 「勤務時間内校外自主研修」の逼塞状況
  1.教職員養成審議会の「自主的・主体的研修の奨励・支援」方針
   (1)研修統制・行政研修強化の半世紀
   (2)個性豊かな教員像と自主的・主体的研修奨励・支援
   (3)中央教育審議会答申での後退と継承
  2.「勤務時間内校外自主研修」の逼塞状況
   (1)2002年7月の文部科学省通知
   (2)長期休業中の「職専免研修」取得状況の変化
  3.「自主的・主体的研修の奨励・支援」の実態―2006・2007年度調査から―
 第2節 長期派遣研修の実態と課題
  1.教育行政当局の研修法制認識
  2.研修の自由
   (1)研修機関
   (2)研修内容
   (3)研修の自主性・主体性
  3.研修の機会均等性
   (1)研修の機会
    ①長期研修機会の稀少さと機会不均等
    ②海外留学は退職
   (2)派遣希望者の募集
   (3)入学金・授業料・日当等の支給
  4.研修の職務性
  5.研修条件の整備義務
   (1)研修条件整備と機会均等性の対立
   (2)「14条特例」についての教育行政当局の認識
 第3節 大学院修学休業制度の創設とその教育法的検討
  1.大学院修学休業制度の創設と課題
   (1)大学院修学休業制度の適用状況
   (2)積極的側面
    ①自主性・主体性の重視
    ②教特法の研修原理の再確認
   (3)問題点
    ①研修の自由(研修機会)の制約
    ②「研修3分類説」の矛盾
    ③研修条件整備義務遂行の遅滞
  2.大学院修学休業制度の教育法的検討
   (1)大学院修学休業制度の性格
   (2)研修の自主性と職務性の対立的把握
    ①職務性の同一性
    ②職務研修における自発性の否定
    ③職務性の否定=無給
    ④待遇上の差異の過大
  3.教育行政の役割
 第4節 大学院での長期研修が教員の力量形成に与える影響
  1.調査対象・方法・質問内容
  2.調査結果からの考察
  3.考察のまとめ
終章 自主研修法制の改革構想
 第1節 「一定勤務年数での長期研修機会附与制度」の創設
  1.教特法成立過程における長期研修制度構想の特徴
   (1)長期研修制度の萌芽的構想
   (2)「教員身分法案要綱集」の長期研修規定
   (3)「学校教員法要綱案」の長期研修規定
   (4)「国立、公立学校教員法要綱集」の長期研修規定
   (5)「教育公務員法要綱集」の長期研修規定
   (6)「教育公務員の任免等に関する法律案」及び「教育公務員特例法案」の長期研修規定
   (7)長期研修制度構想の原理
  2.現行長期研修制度の課題
  3.教特法施行後の長期研修制度構想
   (1)長期研修制度構想の停滞
   (2)中・長期的改革構想
  4.「一定勤務年数での長期研修機会附与制度」の創設
   (1)「一定勤務年数での長期研修機会附与制度」構想骨子
   (2)制度創設に関する教育関係者の意見
 第2節 教育公務員特例法改正の提言
  1.教特法に内在する矛盾
   (1)制定時から内在する矛盾と課題
    ①「研修」概念の混乱
    ②研修費支給規定の欠如
    ③私学教員・事務職員問題
   (2)改正により生起した矛盾
    ①「教員擁護の規定」から「教員統制の規定」へ
    ②長期派遣研修と大学修学休業の矛盾
  2.「教育公務員特例法研修関係規定改正私案」
 第3節 自主研修法制を支える基礎的教育条件の改善
  1.教員の勤務・研修条件の抜本的改善
  2.非正規教員問題の飛躍的改善
  3.おわりに
参考文献一覧
あとがき
事項索引
人名索引
著者久保富三夫 著
発行年月日2017年11月30日
頁数460頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-2192-2

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