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現代韓国を生きる若者の自立と親子の戦略

文化と経済の中の親子関係

定価: 7,150 (本体 6,500 円+税)

急速な社会変動を経験した韓国社会における若者の自立の困難とその背景にある親子関係を描き出し、新たな家族社会学理論により分析検討。家族政策に関する現実的な支援の方途や政策的な提言を可能にするための基礎的研究。

【著者略歴】
尹 鉁喜(ゆん じんひ)

お茶の水女子大学大学院人間文化研究科ジェンダー学際研究専攻博士後期課程修了、博士(社会科学)。島根県立大学北東アジア地域研究センター客員研究員、島根県立大学総合政策学部非常勤講師などを経て、同志社大学社会学部教育文化学科准教授。 
目次を表示します。


序章
  1. 本書の目的と構成
  2. 本書の意義

第1章 韓国の若者と親子関係をめぐる社会的背景
 第1節 韓国の社会変動と若者の「成人期への移行」の変化
  1. 韓国における急速な近代化と家族の変化
  2. 教育機会の拡大による高等教育の普遍化
  3. 若者の「成人期への移行」の変化
 第2節 韓国における親子関係の特徴
  1. 韓国の親子関係における「家族主義」
  2. 韓国の親子関係における「孝規範」
 第3節 韓国の経済不況による若者の困難経験
  1. 外貨金融危機以降の若者の就職困難
  2. 若者の就職困難が家族および親子関係に与える影響

第2章 先行研究の検討
 第1節 成人期への移行過程
  1. ライフコースにおける「成人期への移行」
  2. 「成人期への移行」における親子関係
  3. 経済状況による「成人期への移行」の変化
 第2節 成人移行期における若者の自立と親子の戦略
  1. 成人移行期における若者の自立
  2. 成人移行期における親子の戦略

第3章 研究課題と調査概要
 第1節 研究課題の設定
 第2節 調査概要と調査対象者の基本属性
  1.調査I:韓国における若者の自立意識に関する調査
  2.調査Ⅱ:韓国における若者の自立と親子関係に関する調査
第4章 成人移行期における若者の自立意識
 第1節 成人移行期のライフイベントと若者の自立意識
  1. 就職
  2. 離家
  3. 結婚
  4. 自己決定
  5. 小括
 第2節 成人移行期の親子関係と自立をめぐる葛藤
  1. 息子の就職に対する親の過剰な期待
  2. 離家による親―娘の葛藤
  3. 結婚に対する親と息子の認識の相違
  4. 小括
 第3節 結論

第5章 親―息子関係と自立をめぐる親子の戦略
 第1節 成人移行期における親―息子の意思決定過程
  1. A家族の事例:息子の人生における親の意思の優位性
  2. B家族の事例:家族の利益が優先された息子の意思決定
  3. C家族の事例:隠された親の期待と息子の自己決定の困難
  4. 小括
 第2節 息子の自立をめぐる親子の戦略
  1. 親の戦略
  2. 息子の戦略
  3. 小括
 第3節 結論

第6章 親―娘関係と自立をめぐる親子の戦略
 第1節 成人移行期における親―娘の意思決定過程
  1. F家族の事例:娘の人生における親の意思の優位性
  2. G家族の事例:親の意思決定の優位性に対する娘の戦略
  3. H家族の事例:ジェンダー化された親の自立意識と娘の戦略
  4. 小括
 第2節 娘の自立をめぐる親子の戦略
  1. 親の戦略
  2. 娘の戦略
  3. 小括
 第3節 結論

終章
 第1節 分析のまとめ
 第2節 結論と今後の課題
  1. 主体性を持つ個人としての親子の戦略
  2. 韓国の親子関係における孝規範
  3. 若者の自立におけるジェンダー差
  4. 経済不況による家族の保守化傾向
  5. 今後の課題

文献
巻末資料 各調査における質問紙
  1. 調査I:韓国における若者の自立意識に関する調査
  2. 調査Ⅱ:韓国における若者の自立と親子関係に関する調査
あとがき
著者尹鉁喜 著
発行年月日2019年02月20日
頁数272頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-2267-7