博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

  • 新刊一覧

現代ドイツの倫理・道徳教育にみる多様性と連携

中等教育の宗教科と倫理・哲学科との関係史

定価:本体 8,500 円+税

宗教科と倫理・哲学科との関係とその変容を分析し、ドイツの倫理・道徳教育にみられる多様性と連携の構造を解明。世俗性という教育学の規範が抱える複雑な問題を問う。

【著者略歴】
濵谷 佳奈(はまたに かな)

上智大学外国語学部ドイツ語学科卒業、上智大学大学院総合人間科学研
究科博士前期課程修了、上智大学大学院総合人間科学研究科博士後期課
程単位取得満期退学。学部在学中に1 年、博士後期課程在籍中に1 年ド
イツ・ケルン大学留学。博士(教育学)。現在、大阪樟蔭女子大学児童教
育学部准教授。

主な訳書・論文に、『ドイツの道徳教科書―5、6年実践哲学科の価値教
育』(監訳、ローラント・ヴォルフガング・ヘンケ編集代表、明石書店、
2019年)、「ドイツ:個々への支援を目指す、連邦と州による教育政策」「ド
イツ:健康な教員が担うインクルーシブな教育実践」(志水宏吉監修『世界
のしんどい学校―東アジアとヨーロッパにみる学力格差是正の取り組み
―』明石書店、2019年)、「宗教科と倫理科による市民性の育成―バイエル
ン州の場合」(武藤孝典・新井浅浩編著『ヨーロッパの学校における市民的
社会性教育の発展―フランス・ドイツ・イギリス―』東信堂、2007年)。
目次を表示します。
まえがき
序章 ドイツの倫理・道徳教育への注目―宗教科と倫理・哲学科との関係史を捉える視角―
 第1節 本研究の目的と意義
  (1)本研究の目的
  (2)宗教教育の歴史的背景とその現代的意義を扱う重要性の確認
 第2節 宗教科と倫理・哲学科をめぐる社会的背景と設定課題
 第3節 先行研究の検討
  (1)概要
  (2)宗教科と倫理・哲学科の法的地位に関する研究
  (3)宗教科と倫理・哲学科に関する教授学研究とカリキュラム研究
  (4)宗教科と倫理・哲学科の授業実践に関する研究
 第4節 論文構成と研究方法
 註

第Ⅰ部 宗教科と倫理・哲学科の法的地位をめぐる相克―対立から並存へ―

第1章 基本法における宗教科規定と各州の倫理・哲学科規定との関係
 第1節 「正規の教科」としての宗教科の法的地位をめぐる問題状況
  (1)連邦レベルにおける宗教科の法的地位―ヴァイマール憲法から1949年憲法へ―
  (2)バイエルン州―第二次世界大戦後の「必須教科」としての宗教科規定―
  (3)ブランデンブルグ州―東西ドイツ統一後の「補足教科」としての宗教科規定―
  (4)NRW州―2011年学校法改正によるイスラームの宗教科の導入―
 第2節 各州における倫理・哲学科の創設とその法的地位の確立
  (1)各州レベルにおける倫理・哲学科の創設―1970年前後及び東西ドイツ統一後―
  (2)倫理・哲学科の法的地位の正当性をめぐる論議―バイエルン州とブランデンブルグ州にみる倫理・哲学科の法的地位の整備と確立―
  (3)宗教家と倫理・哲学科との法的並存のあり方の確立
 註

第2章 宗教的多元化の中の宗教科と倫理・哲学科―2000年代以降のベルリンにみる倫理科の必修化―
 第1節 ベルリンにおける宗教的多元化
 第2節 ベルリンにおける宗教科の法的地位
 第3節 ベルリンにおける必修教科としての倫理科導入の経緯
 第4節 宗教科と倫理・哲学科との法的並存のあり方の多様性
 註
 第Ⅰ部のまとめ

第Ⅱ部 宗教科と倫理・哲学科による市民性の育成と倫理・道徳教育の質保証―カリキュラムの並存から連携へ―

第3章 宗教科による市民性の育成―1990年代以降のカリキュラムの分析―
 第1節 宗教科カリキュラム改革の背景
 第2節 宗派間協同作業の導入
  (1)1998年の共同声明に至る経緯
  (2)宗派間協同作業の内容と意義
  (3)宗派間学習から宗教間学習へ
 第3節 宗派間・宗教間学習の展開―NRW州とバイエルン州の事例―
  (1)NRW州の事例(1999年版)
  (2)バイエルン州の事例(2004年版)
 第4節 NRW州におけるイスラームの宗教科カリキュラムの内容的特徴(2013年版)
  (1)カリキュラム開発の背景
  (2)イスラームの宗教科カリキュラムの内容的特徴(2013年版)
 第5節 宗教科による市民性の育成と宗教教育の新たな次元
 註

第4章 倫理・哲学科による市民性の育成―1990年代以降のカリキュラムの分析―
 第1節 倫理・哲学科のカリキュラム編成上の背景と問題点
 第2節 NRW州実践哲学科による判断力の育成(1997年大綱草案)
  (1)導入の経緯
  (2)目標と学習内容
 第3節 バイエルン州倫理科にみる人間の尊厳の尊重(2004年版)
 第4節 倫理・哲学科と宗教科の教科間に通底する市民性の育成
 註

第5章 宗教科と倫理・哲学科による倫理・道徳教育の質保証―コンピテンシー・モデルに基づくカリキュラムへの転換―
 第1節 倫理・哲学科によるコンピテンシー志向のカリキュラムの導入
 第2節 コンピテンシー志向のNRW州実践哲学科コアカリキュラム(2008年版)
 第3節 コンピテンシー獲得に寄与するブランデンブルグ州LER科大綱レーアプラン(2008年版)
 第4節 コンピテンシー・モデルによる倫理・道徳教育の質保証
 註
 第Ⅱ部のまとめ

第Ⅲ部 授業実践にみる宗教科と倫理・哲学科

第6章 教科書にみる宗教間学習の特徴―宗教科(カトリック)教科書と実践哲学科教科書との比較―
 第1節 第二バチカン公会議と宗教間対話
 第2節 教科書分析の方法
 第3節 『希望のしるし』(2002年版)にみる諸宗教に関わる学習
  (1)ヒンドゥー教および仏教に関わる学習内容
  (2)小単元「様々な宗教―過去と未来」の学習内容
 第4節 『実践哲学』(2002年版)にみる諸宗教に関わる学習
 第5節 宗教間対話への理解の深化
 註

第7章 生徒の意識にみる宗教科と倫理・哲学科の連携に向けた課題―質問紙調査に基づいて―
 第1節 宗教科と実践哲学科の間の差異と関連性―NRW州での質問紙調査の背景―
 第2節 ギムナジウムを対象とする調査の概要
  (1)調査の方法
  (2)カリキュラムの全般的特徴―各教科の目的、教授・学習方法、学習領域―
 第3節 生徒の意識に関する分析と考察
  (1)様々な宗教の共存・共生に関わるテーマ領域の重要性認識度
  (2)学んだことの自己評価
  (3)生活や人生における意義
 第4節 宗教科と実践哲学科の連携を進める上での課題
 註

第8章 宗教科と倫理・哲学科との教科間連携への模索
 第1節 宗教科と倫理・哲学科との教科間連携の背景
 第2節 授業実践と教員養成課程における倫理科と宗教科との連携―ベルリンでのインタビュー調査から―
 第3節 教員継続教育の手引き(2014年)にみる教科間連携の特徴
  (1)倫理科と宗教科との教科間連携の前提
  (2)倫理科による連携のための構成要素
  (3)イスラームの宗教科による連携のための構成要素
 第4節 宗教科と倫理・哲学科との教科間連携の意義と課題
 註
 第Ⅲ部のまとめ

結章 宗派的宗教教育と世俗的価値教育との関係性
 第1節 第二バチカン公会議以降の宗教科と倫理・哲学科との関係の変容
 第2節 宗派的宗教教育と世俗的価値教育の歴史的経緯とその現代的意義
 第3節 今後の研究課題
 註

資料
参考資料・文献
初出一覧
あとがき
人名索引
事項索引
著者濵谷佳奈 著
発行年月日2020年02月15日
頁数328頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-2306-3