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近代日本書字教育史研究

初等教育における二元的書字教育論の形成過程

定価: 9,900 (本体 9,000 円+税)

言語理解と言語表現の二つの側面に着目しながら言語教育として国語科書写が成立するまでを歴史的に辿り、今後の手書きによる漢字教育の可能性を探る。

【著者略歴】
鈴木貴史(すずき たかし)
1973年、東京生まれ。
東北大学大学院教育学研究科 博士課程前期修了。
筑波大学大学院人間総合科学研究科学校教育学専攻 博士後期課程修了。
博士(教育学)。
現在、帝京科学大学教職センター 准教授。
目次を表示します。
序章
 第1節 問題の所在
 第2節 先行研究の動向
  第1項 書字教育史における毛筆芸術主義
  第2項 現代の書写教育に関する先行研究
 第3節 本研究における用語の規定
  第1項 「書字」
  第2項 「文字」
  第3項 「言語教育」
  第4項 「実用」と「芸術」
 第4節 章の構成と研究の方法

第1章 「習字」成立による総合性の解体
 第1節 「習字」成立による言語理解教育の分離
  第1項 「学制」以前の総合的な書字教育
  第2項 福澤諭吉による実学的教材開発
  第3項 「習字」の成立による字形と字義の分離
  第4項 「習字」教科書における文章読解の分離
 第2節 学制期における「習字」と「書取」の分化
  第1項 等級制による一斉指導の導入
  第2項 「書取」における字形の軽視
  第3項 「習字」の言語教育からの分離
 第3節 「習字」の技能教育化
  第1項 ペンマンシップ理論の拒否
  第2項 作文教育における模倣の意義
  第3項 明治10年代における「作文」と「習字」の分離
 第4節 「習字」成立による言語教育の解体

第2章 書字教育における言語的実用性の再評価
 第1節 明治初期の問答教授法における文字の機能
  第1項 学制期における音声言語の重視
  第2項 日本語の文字表記による問答教授法の限界
  第3項 わが国における欧米教授法書の受容
  第4項 教育目的としての文字言語
 第2節 ペンマンシップ理論の受容による身体的実用性の重視
  第1項 書字教育における明治10年代までの二項対立
  第2項 スペンセリアン・ペンマンシップ理論の概要
  第3項 三宅米吉による急進的習字改革案
  第4項 「習字」教科書の言語的実用性軽視
 第3節 書法の言語化と字義の回復
  第1項 書法の言語化の進展
  第2項 ペンマンシップ理論に対する反動
  第3項 書字教育における字義の回復
  第4項 明治20年代における道徳教育との連絡
 第4節 国語科「書キ方」成立の背景

第3章 国語科「書キ方」における二元的書字教育論の形成
 第1節 国語科「書キ方」の成立とその理念の後退
  第1項 国語科における三領域の連絡の理念
  第2項 国定第一期「書キ方」教科書成立以後の教授法
  第3項 水戸部寅松による毛筆「書キ方」教育論
 第2節 水戸部寅松による実用主義の形成過程
  第1項 水戸部寅松の略歴と著作
  第2項 水戸部による硬筆の積極的導入
  第3項 水戸部による身体的実用性の重視
  第4項 教師の修養としての芸術性と精神性
 第3節 水戸部寅松による二元的「書キ方」教育論の提唱
  第1項 発表と収得という二項対立
  第2項 低学年における毛筆廃止論
  第3項 硬筆「書キ方」の分離
  第4項 鑑賞教育導入による芸術教育の進展
 第4節 二元的「書キ方」教育論成立の意義

第4章 国語科「書キ方」の芸術教育化
 第1節 佐藤隆一による二項対立への提言
  第1項 佐藤隆一「書の科学及書の教授」
  第2項 収得教科としての書字教育
  第3項 昭和初期における佐藤隆一の影響
 第2節 国定第四期「小学書方手本」における語義の重視
  第1項 国定教科書における「書キ方」と「読ミ方」の連絡
  第2項 国定第三期「尋常小学国語書キ方手本」に対する批判
  第3項 国定第四期「小学書方手本」における語彙学習
  第4項 国定第四期『小学書方手本』への批判
 第3節 「書キ方」の芸術主義への一元化
  第1項 昭和戦前期における毛筆芸術主義の台頭
  第2項 東京高等師範学校における芸術主義
  第3項 石橋啓十郎における一元的教育書道論
 第4節 「書キ方」独立の主張
  第1項 石橋敬十郎による「書キ方」独立の主張
  第2項 教育書道論における芸術性と精神的修養の結合
  第3項 各務虎雄と角南元一による精神性
 第5節 毛筆芸術主義への一元化の功罪
  第1項 国定第五期「習字」教科書
  第2項 芸能科「習字」における教師用指導書
  第3項 毛筆芸術主義への一元化の功罪

第5章 二元的書字教育としての「書写」の成立
 第1節 戦後における芸能科「習字」批判の再検討
  第1項 国定第五期教科書の修正
  第2項 模倣の否定
  第3項 生活単元学習の提唱
 第2節 模倣の否定と教材の日常生活化の継承
  第1項 「毛筆習字」の再興
  第2項 模倣否定の継承
  第3項 芸能科「習字」批判の修正
 第3節 領域「書写」成立の背景
  第1項 近代学校成立時における書字教育の呼称
  第2項 戦前における国語科「書キ方」に対する批判
  第3項 戦後の国語科における「硬筆書き方」と「毛筆習字」の成立
  第4項 戦前における呼称としての「書写」の使用
 第4節 「書写」における言語習得機能の再認識
  第1項 「書くこと」と「綴ること」の分離
  第2項 上条による「書写」批判
  第3項 「書写」の成立による言語理解

終章
 第1節 言語的実用性としての言語理解の意義
 第2節 二元的書字教育論の意義
 第3節 二元的書字教育論による自己陶冶性

あとがき
初出原稿一覧
参考文献
著者鈴木貴史 著
発行年月日2021年02月15日
頁数366頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-2351-3