岡倉由三郎と近代日本
英語と向き合う知の軌跡
定価:
12,100
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序章 本書の趣旨と目的
第一節 問題の所在―グローバル世界と英語
第二節 対象と課題―なぜ岡倉由三郎なのか
一 英語の受容と教育・研究
二 英語での「日本」の語り
第三節 資料と構成
一 岡倉由三郎に関する資料
二 各章で論じること
注
第Ⅰ部 英語を受け入れる―近代日本の形成と言語という問題
第一章 生い立ちと思想形成―一八六八年~一九〇〇年頃
はじめに
第一節 ライフヒストリーとその語り
一 遍歴のキャリア
二 回想的語りについて
第二節 生活世界と岡倉覚三(天心)
一 家と父と兄
二 天心というアンビバレンス
第三節 帝国大学選科とB・H・チェンバレン
一 外国人教師チェンバレン
二 選科生という経験
第四節 チェンバレンの授業とその世界
一 「日本文典」について
二 「比較博言学」について
三 W・D・ホイットニーのインパクト
第五節 「国語」の制度化と上田万年
一 「国語」づくりの動向
二 「外国語」との関係
おわりに
注
第二章 一八九〇年の最初の著作にみる言語思想
はじめに
第一節 『日本語学一斑』について
第二節 『日本語学一斑』の概要とW・D・ホイットニーの位置
一 『日本語学一斑』の概略と特徴
二 W・D・ホイットニーとその著作
第三節 ホイットニー言語論の受容と変奏
一 基本的な言語観
二 言語習得と教育
三 第二言語/外国語
おわりに
注
第三章 一九〇一年度文部省外国留学生として
はじめに
第一節 留学生の拡大方針と規制強化
第二節 留学をめぐる経緯と背景
一 上田万年と英語学・語学教授法
二 内地雑居と外国語の問題
第三節 ヨーロッパにおける留学の実際
一 イギリスでの活動
二 フランスでの活動
三 ドイツでの活動
おわりに
注
第Ⅱ部 英語で語る(一)―イギリスにおける近代日本の紹介
第四章 一九〇五年のロンドン大学における講演
はじめに
第一節 ロンドン大学側のいきさつ
一 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス
二 J・Ⅿ・ホワイトという篤志家
三 社会学の講義と講座の開設
第二節 講師と題目をめぐる曲折
一 Ⅼ・ハーンと「日本の文明」
二 岡倉への要請と演題の決定
第三節 講演の概要
おわりに
注
第五章 『ザ・ジャパニーズ・スピリット』(一九〇五年)
はじめに
第一節 出版と構成
第二節 主題と先行文献
一 研究対象としての「日本」
二 チェンバレンと覚三の著作
第三節 内容と特徴―チェンバレン、覚三との間
一 「日本人」のルーツと神話の世界
二 「日本(人)の精神」の歴史的形成
おわりに
注
第六章 『ザ・ジャパニーズ・スピリット』の読まれ方
はじめに
第一節 欧米社会の反応・反響と評価
第二節 語られた「日本」の受け止め方
第三節 G・メレディスにおける「日本」
おわりに
注
第Ⅲ部 英語で語る(二)―アメリカにおける近代日本の紹介
第七章 一九一〇年のボストンにおける講演
はじめに
第一節 渡米のいきさつ
第二節 ローエル・インスティテュート
第三節 講演の概要
一 どのように臨んだのか
二 なにを・いかに語ったのか
おわりに
注
第八章 『ザ・ライフ・アンド・ソート・オブ・ジャパン』(一九一三年)
はじめに
第一節 出版の経緯と背景
第二節 構成と主題
第三節 内容と特徴―テクストと語り方
一 「日本」の自己表現とイメージ戦略
二 「西洋」批判と「西洋」受容のなかの天皇
三 「西洋」対「東洋」と「日本」の位置
おわりに
注
第九章 『ザ・ライフ・アンド・ソート・オブ・ジャパン』の読まれ方
はじめに
第一節 新聞・雑誌の取り上げ方
第二節 『アジア評論』にみるパターナリズム
第三節 『サタデー・レビュー』にみるレイシズム
第四節 『ボストン・トランスクリプト』にみる表象の臨界
第五節 『ネイション』にみるナショナリズム
おわりに
注
第Ⅳ部 世界そして英語を問う―近代日本の転換と行方
第一〇章 一九三一年の美術使節として
はじめに
第一節 トリード美術館の展覧会
第二節 美術使節の派遣について
一 日米の事情と利害・思惑
二 横山大観の代役として
第三節 美術使節としての活動
第四節 日本画についての語り
一 ニューヨークでのラジオ放送
二 レーリッヒ美術館のカタログ
おわりに
注
第一一章 「国際語としての英語」を求めて
はじめに
第一節 第一次世界大戦後の国際語の希求と日本の状況
一 ベーシック・イングリッシュ
二 H・E・パーマーと日本の「失敗」
第二節 N・Ⅿ・バトラーへの要請とⅭ・K・オグデンとの交流
一 アメリカでの英語世界語論
二 イギリスでのオグデン詣で
第三節 ベーシック・イングリッシュをめぐる取り組み
一 洋々塾とロックフェラー財団の助成
二 「基本英語文庫」について
三 実験的・実践的な開発構想
第四節 スペリング・リフォームをめぐる取り組み
一 アングリックへのまなざし
二 Y・O・Kアルファベットの提案
おわりに
注
終章 まとめと展望
第一節 要約―英語と向き合う近代日本の知の軌跡
一 英語の受け入れ方と近代日本の形成
二 英語での語り方と近代日本の展開
三 世界/英語の問い方と近代日本の転換
第二節 総括―岡倉の思想と活動の要点
一 「英学」からの脱却と継承
二 「英語教育」の思想的基盤
第三節 現代の再審―グローバル世界と英語を問い直す
一 グローバル化ともたれ合う英語教育改革の磁場
二 放置される「外国語」と「国際語」のねじれ
三 「英語」と向き合うということ
注
あとがき
索引