博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

源氏物語における「藤壺物語」の表現と解釈

定価: 7,700 (本体 7,000 円+税)
源氏物語の藤壺に関する表現において、未だ解釈の揺れている箇所などを取り上げて、「ことば」の用例と文法・語義を中心とする、新たな視点からの考察を試みる。

【著者略歴】
山崎和子(やまざき かずこ)
1973年、高知女子大学文学部国文学科卒業。
2007年、法政大学大学院人文科学研究科日本文学専攻博士後期課程満期退学。
法政大学非常勤講師。
2010年、博士(文学)。

著書
『源氏物語注釈 五~九』(共著 風間書房 2004~2012年)
『日本語の語義と文法』(共著 風間書房 2007年)
『大斎院前の御集全釈』(共著 風間書房 2009年)
目次を表示します。
序 源氏物語における「藤壺物語」研究の現状と本研究の方法
 第一 「藤壺物語」研究の現状
      はじめに 
      一 「藤壺」呼称について
      二 従来の「藤壺」「藤壺物語」研究
 第二 本研究の目的と方法
第一篇 藤壺と光源氏
 第一章 〈夢〉の乖離―「醒めぬ夢」詠―
      はじめに
      一 源氏物語の「夢」
      二 和歌における「夢」
      三 源氏の「夢」と藤壺の「夢」
      おわりに
 第二章 「そら」の恐懼―罪意識の形象化―
      はじめに
      一 源氏物語の「そら」
      二 神や魂の飛翔する「そら」
      三 『古事記』・『万葉集』・『日本書紀』における「そら」
      おわりに
 第三章 「おほかた」の視点―藤壺の恋情表現―
      はじめに
      一 「おほかた」の語義
      二 紅葉賀巻例の解釈
      三 花宴巻例の解釈
      四 賢木巻例の解釈
      おわりに
 第四章 逆照射される〈禁忌の恋〉―「おほけなき心」の受容―
      はじめに
      一 「おほけなし」の語義
      二 「おほけなき心」の主体
      三 「宿世」「うたて」からの考察
      四 「あはれ」からの考察
      五 「夢」からの考察
      おわりに
第二篇 藤壺と東宮
 第一章 藤壺の〈身の破滅〉―出産の「あやまり」と関連して―
      はじめに
      一 史実と物語に見る密通
      二 出産の遅れ
      三 「命長くも」の嘆き
      四 出産による死
      五 「身のいたづら」の内実
      おわりに
 第二章 〈露〉の縁(ゆかり)の〈なでしこ〉の花
      はじめに
      一 「よそへつつ」の歌
      二 「常夏」から「なでしこの花」へ
      三 「袖ぬるる」の歌
      四 「露のゆかり」の「やまとなでしこ」
      五 「袖ぬるる」と「なほ」の解釈
      おわりに
 第三章 東宮の御容貌―〈女じて見まほし〉美―
      はじめに
      一 従来の解釈
      二 「女にて」と「見る」の関係
      三 「女」の表現性
      四 〈女にて見まほし〉美の本質
      五 東宮の御容貌
      おわりに
第三篇 藤壺の生涯
 第一章 女の〈黒髪〉と〈身意識〉―出家の契機として―
      はじめに
      一 源氏物語の「御髪」「髪」
      二 女の〈黒髪〉への視点
      三 〈自らの視点〉による〈黒髪〉
      四 禁忌の〈黒髪〉
      おわりに
 第二章 輝く日の宮の〈落日〉―哀傷歌の象徴性―
      はじめに
      一 「たなびく薄雲」の哀傷
      二 「薄雲」の独自性
      三 「入日」の象徴性
      四 〈落日〉の喩
      五 哀傷の〈落日〉
      おわりに
 第三章 「藤壺物語」の終焉―「結ぼほれつる夢」の喩―
      はじめに
      一 「かきつめて」の歌
      二 「なき人を」の歌
      三 「結ぼほれつる」の解釈
      四 〈夢〉と〈うつつ〉の交錯
      五 哀傷の「夢」
      六 〈冬の夜の夢〉の喩
      おわりに
結 ことばが拓く「藤壺物語」
論文初出一覧
あとがき
索引
著者山崎和子 著
発行年月日2012年10月31日
頁数268頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1944-8