博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

談話・テクストの展開のメカニズム

接続表現と談話標識の認知的考察

定価: 9,020 (本体 8,200 円+税)

文脈の整合性を支える言語表現の体系的整理,経験として一貫した全体像を保持するための推論や前提的知識の働きの解明など,テクストを多角的に分析・実証した書。

【著者略歴】
甲田直美(こうだ なおみ)
東北大学大学院文学研究科・准教授
1969年 青森県に生まれる
1994年 筑波大学大学院 修士課程地域研究研究科 修了
1997年 京都大学大学院 博士後期課程人間・環境学研究科研究指導認定退学
1996年~1998年 日本学術振興会特別研究員
1998年~2006年 滋賀大学教育学部勤務
2000年 学位取得 博士(人間・環境学)(京都大学)
2002年~2003年 文部科学省在外研究員,米国マサチューセッツ大学Faculty Scholar
2006年より現職
※略歴は刊行当時のものです※
目次を表示します。
第1章 談話・テクストと文脈の理解
 1 文脈の整合性と理解
 2 談話・テクストと文脈
 3 日常言語と形式論理
 4 文脈の表示
 5 文脈の理解
 6 本論文の構成
第2章 慣習化された関係,間接的示唆による関係
 1 複合的イベントの認知的解釈
  1.1 前後関係と因果関係の混同 
  1.2 発話の意味
  1.3 論理結合子と自然言語の対応に関する議論 
 2 語用論的強化
  2.1 連結発話の解釈
  2.2 文脈効果の復元
 3 文脈が誘発する解釈
  3.1否定
  3.2 並列
  3.3 限定
 4 史的変遷
  4.1 助詞の系譜
  4.2 係助詞を前提とするもの
4.3 格助詞を前提とするもの
5 主観化
6 情報の強化とメタファーのプロセス
  6.1 接続表現と談話標識の語構成
  6.2 トピックと条件
  6.3 空間領域からの拡張
  6.4 時間の解釈
第3章 経験的基盤と文脈の理解―文連鎖における認知プロセス―
1 接続詞の役割
 2 文章読解におけるオンライン処理の促進
  2.1 後続文の予告
  2.2 読解時間遅延のデータ
  2.3 理解の方向性
  2.4 文の結合の記憶
 3 因果関係の効果 
  3.1 因果関係の重要性への指摘
  3.2 因果連鎖を基底とするモデルの検討
  3.3 スキーマの心的実在性
  3.4 因果関係とは
  3.5 結束性
  3.6 他の関係とのつながり
 4 処理の深さ 
  4.1 関連性のレベル
  4.2 解釈的レリヴァンス:関連性理論の評価と問題点 
第4章 文脈構成における関連表示句の機能
 1 シンメトリーの認識―選択と対称性―
1.1 先行研究
1.2 連結され得る項の文法的レベル
1.3 シンメトリーを要求する度合いの差 
1.4 漢文訓読系による語構成
2 時間経験の投影―事態の展開プロセスと主観化―
  2.1 空間における位置関係と時間性との対応
  2.2 時間展開から構成的理由へ
  2.3 相対時,絶対時における立脚点
3 対話的関係構成
  3.1 対話
  3.2 順接と逆接
  3.3 ムード制約
  3.4 判断実践について
  3.5 情報の受容と談話標識
4 談話構造の単位―話題の移行―
  4.1 転換の談話標識に関するこれまでの研究
  4.2 談話の構造
  4.3 先行文脈との関連 
  4.4 後続文の文類型 
5 メタ言語的操作
  5.1 発話に言及する談話標識
  5.2 接続詞との対比 
  5.3 等式的構成
第5章「語り」と再現性―接続詞と物語叙法―
1 文学と言語―日常言語と詩的言語―
2 接続詞の文法制約
2.1 関与者の連鎖と後続文の述語の種類
2.2 事態の連鎖と時間経験
3 接続詞と物語叙法 
4 物語の諸類型と接続詞 
  4.1 物語の構成要素 
  4.2 非人称的な物語機能
4.3 格化された語り手の顕在化
第6章 終章
1 本研究における考察の背景
2 全体論的見地 
3 各章の相関と意義
参考文献 
公表の方法・時期について
あとがき 
著者甲田直美 著
発行年月日2001年12月15日
頁数304頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1290-6