博士論文・心理学・教育学など書籍・学術出版社|(株)風間書房

清末・民国期郷村における義務教育実施過程に関する研究

定価: 15,950 (本体 14,500 円+税)
清末 民国時期の宗族社会でどのように公立学校経費を捻出したのかを郷紳を中心に論じることで、主に広東省の郷村の義務教育実施過程を明らかにした新著。
目次を表示します。
中国南部の地図
広東省の地図
平遠県の地図
序章―研究目的と研究方法―
 1 中国における義務教育の歴史
 2 研究方法
 3 先行研究
 4 主要史料
第1部 清末における義務教育の実施
第1章 伝統的教育機関の設立と維持
 第1節 伝統的教育機関の普及
  (1)清朝の伝統的教育機関に関する政策
  (2)伝統的教育機関の種類と普及
  (3)宗族内の教育状況
 第2節 地方教育界における郷紳の活動
  (1)義務教育実施過程に郷紳が果たした役割
  (2)地域における生員の実態
  (3)師範教育における科挙及第者の位置づけ
  (4)速成師範教育機関における生員・郷紳
第2章 郷紳による小学堂の設立
 第1節 清末における義務教育の開始
  (1)変法派知識人による義務教育実施案
  (2)義務教育関連法令公布
  (3)省教育行政機関による学堂経費の調査
  (4)宗族による積極的な小学堂設立
 第2節 伝統的教育機関の小学堂への転用
 第3節 地方教育行政機関の整備
  (1)省政府の教育財政
  (2)地方教育行政機関の誕生
  (3)教育行政機関の任務
第3章 教育税による小学堂設立の状況
 第1節 各省における教育税の徴収
 第2節 広東省における教育税の徴収
  (1)各地域における小学堂の設立と維持
  (2)教育税による各種小学堂の設立
第4章 郷村における教育税による小学堂設立
 第1節 郷村の義務教育実施状況
 第2節 平遠県の教育近代化
 第3節 公立九郷両等小学堂の設立(1908年)
  (1)学堂経費
  (2)勧学員への反発
 第4節 運営経費問題(1910年)
  (1)牛屠税徴収の始まり
  (2)牛屠税徴収問題をめぐる対立―賛否両派の構成―
  (3)牛屠税徴収賛成派の主張
  (4)牛屠税徴収反対派の主張
 第5節 郷指導者層による運営経費の共同負担(1911年)
  (1)省提学使司の関与
  (2)校長公選と運営経費の公開
 第6節 教育行政官と郷指導層の和解
第2部 中華民国における義務教育の実施
第5章 北京政府時期における公立小学校の設立と維持
 第1節 地域社会における義務教育経費の負担
  (1)義務教育関連法令における学校経費規定
  (2)教育税徴収の問題
 第2節 省における義務教育の実施過程
  (1)広東省における教育行政体系
  (2)広東省における義務教育経費の不足
  (3)各省における学校経費の補助
  (4)安徽省の学校経費調達
 第3節 県・郷村における義務教育の実施過程
  (1)広東省各県における義務教育実施状況
  (2)小学校による経費確保
  (3)郷紳の役割
第6章 南京国民政府時期における教育部・省の義務教育実施政策
 第1節 教育部による義務教育実施
  (1)義務教育経費の保障
  (2)学校経費の保障
  (3)戦時下の政府による地方教育財政の管理
 第2節 省における学校経費の徴収
  (1)広東省における義務教育経費
  (2)省政府による県への学校経費補助
  (3)戦時下における学校経費の不足
  (4)第二次世界大戦終結後における学校経費の徴収
第7章 南京国民政府時期の県・郷村における公立小学校経費の調達
 第1節 1930年代における学校経費の徴収
  (1)義務教育実施の状況
  (2)学校経費徴収の問題
  (3)県府主導による義務教育普及
  (4)広東省中山県における地方自治の発展と義務教育普及
 第2節 1940年代における学校経費の徴収
   (1)広東省内の郷村の小学校を支える環境
   (2)中心学校設立
   (3)区・郷・鎮教育行政の問題
   (4)郷鎮造産による学校経費の確保
   (5)郷神による学校経費調達
第8章 1930年代郷村公立小学校における校董会・籌備委員会の活動
 第1節 1930年代の平遠県の状況
  (1)義務教育実施状況
  (2)平遠県教育計画書、学務視察報告書
 第2節 小学校経費の不足
  (1)郷立小学校の経費不足と教員の労働条件の悪さ
  (2)学校経費の不足に伴う県府と省教育庁の判断
 第3節 地域の公的資産の活用
  (1)神会費用の小学校経費への転用
  (2)四郷聯立小学校の事例
  (3)そのほかの事例
 第4節 学区再分割に伴う学校経費をめぐる諸問題
 第5節 校董による経費徴収
  (1)教育会の義務教育への関与
  (2)各学校の校董合議
  (3)校董の力量不足
 第6節 郷村における郷長・校長の地位
 第7節 籌備委員会の職務
第9章 1940年代郷村公立小学校における基金管理委員会の活動
 第1節 国民学校経費の不足
  (1)国民学校学校経費に関する法令
  (2)管理統制下の学校経費
 第2節 保国民学校籌備委員会と基金保管委員会の役割
  (1)保国民学校の籌備委員会の職務と人事
  (2)籌備委員会から基金保管要点会への転換
  (3)基金保管委員会と宗族
  (4)校長による帳簿操作
  (5)私塾による学校運営妨害
 第3節 郷村における義務教育実施の特徴
終章
補論 都市における小学校の普及―広州市における学校経費の分析を通して―
 第1節 北京政府時期における義務教育の実施
  (1)広州市行政
  (2)独自の教育税徴収
  (3)公的機関の誘致
  (4)小学校教職員聯合会による教員の地位向上
  (5)私塾の隆盛
 第2節 南京国民政府時期における義務教育の実施
  (1)広州市教育行政機関
  (2)学枚経費の不足
  (3)市教育局の政策関与
  (4)日中戦争下における学校経費の工面
  (5)第二次世界大戦後における学校経費の調達
あとがき
主要史料及び参考文献
学校系統図
索引
著者朝倉美香 著
発行年月日2005年02月28日
頁数334頁
判型 A5
ISBNコード978-4-7599-1478-8